マンホールコレクション
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事 牧野 佑紀(ライティング・ゼミGW集中コース)
私は「マンホールのふた」を目的に旅行をする。
今回も、6枚の「ふた」を手にいれた。
もちろん、本物の「マンホールのふた」を持っていったら窃盗である。
私が集めているのは、全国各地のマンホール蓋(ふた)をカード化した、「マンホールカード」である。
「マンホール」と聞くと、「くさい」「地味」といったイメージがあり、「カードを作ったところでコンテンツとして成立するのか」といった声が聞こえてきそうだが、侮るなかれ、現在までに日本全国で600種類以上のカードが発行されており、その数は時を経るごとに増えている。
また、「マンホーラー(=マンホール蓋マニアの人たち)」のイベントも各地で開かれているらしい。
マンホールカードに興味を示す人も増えており、マニアの人たちを指す言葉として、上述の「マンホーラー」や、「ふた女」といった言葉も出てきている。新しい妖怪の名前ではない。
私はマンホールに関係のある仕事をしていたが、正直なところ、マンホールカードについては特に興味を抱いていなかった。
それがある日の旅行中、山口県防府市の防府天満宮を訪れた際、「マンホールカード配布中!」と書かれたのぼりが目に入った。
それを見た瞬間、なんだか見知らぬ土地で職場の親しい友人に出会ったかのような安心感を覚え、気が付いたら防府市のふんだんな自然が描かれたマンホールカードを手にしていた。
そして1枚手にすると、「もっと集めなきゃ」という思いが湧き出してきて、翌日の時間は全てマンホールカード収集に費やした。
これまで30種類ほどのマンホールカードを集めたが、マンホール蓋の絵柄が書かれたカードを集めることの何が面白いのかについて、私なりの考えを紹介したい。
なんといっても、色とりどりのマンホールカードは見ていて楽しく、コレクション魂をくすぐるものだ。
ご存じの方もいるかもしれないが、現在全国各地では、様々なデザインのマンホール蓋が設置されている。
その土地に縁のある作者のマンガのキャラクターや、乗り物、建造物、お祭りなど、多種多様なモチーフがデザインとして採用されている。
皆さんの家の近くにはどんなデザインのマンホール蓋があるだろうか。
一度、注意深く見てみるのも面白い。
それはさておき、こうした色とりどりのマンホールカードは、「集めて楽しい」「眺めて楽しい」ものだと思う。
カードは、その地域が指定する場所に直接行かないと、手に入らない。
個性が際立ったカードがあれば、「話のタネになる! 欲しい!」と思えるし、手に入れた後には満足感に浸れる。
この満足感が、また新しいカードに向かおう、というモチベーションになる。
このカード収集のサイクルが、いつか旅行の目的そのものになっている。
私は冒頭の旅行で、島根・鳥取の計6種類のカードを1日で集めた。
カードが無ければ、出雲大社や鳥取砂丘など、お決まりのルートをたどって帰ってきたと思う。
でも、カードを集めることを目的に据えたことで、その通り道にある、さまざまな地域の顔を見ることができた。
大山の特徴的な山頂を眺めて、はるか昔に人知らず打ち捨てられたお寺で感慨にふけることができた。
また、作者がその地域に縁があったことから、「名探偵コナン」のキャラクターで彩られた駅の写真をたくさん撮ることができた(ちなみに、駅のすぐ近くで、「名探偵コナン」デザインのマンホール蓋をもらうことができた)。
旅行から帰っても、集めたカードを並べてデザインを眺めることで、旅行中にみた景色をありありと思い出すことができる。
そして次にどこに行こうか思いを巡らせていると、「この地域に行けばこんなデザインのカードが手に入る」「このあたりに行けば何種類もまとめて手に入る」といったことを発見し、次の旅行が楽しみになってくる。
私は一人旅が好きだが、少しマンネリ感を感じていた。
それがマンホールカード収集という「コレクション」の楽しみを知ることで、そのマンネリから解放されたと思う。
メジャーな観光地をガイドブックに沿って回るだけでなく、カードを求める途中で人知れない観光スポットを発見することもできるし、何よりコレクションの達成感を味わうできた。
楽しみの幅が広がって、満腹感を得ることができるようになったと思う。
もちろん、上述のコナンなど、子どもが喜びそうなデザインもあるから、家族連れも楽しむことができると思う。
それに、自分の地元を自慢したり、他の地域の友人と交換するなど、様々な楽しみがあると思う。
いずれにしても、マンホールカードは自分がこれまで持っていた、楽しみの幅を広げるポテンシャルを持っている。
日本全国いろんな地域から出ているから、皆さんも、お気に入りの「マンホールのふた」を集めてみませんか?
(ちなみに「マンホール」というのは、下の空間も含めてのものです。地上に見えている丸い形は、あくまで「マンホールのふた」です!)
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