失恋ダイエットのすすめ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:村井 美月(ライティング・ゼミ日曜コース)
この世に生を受けたその瞬間、私の体重は既に4,000g。
それからその「失恋」まで、私はずっと太っていた。
私は昔から、超がつくほど食欲旺盛だったらしい。
幼少期は食べられそうなものを見つけると全て飲み込んでいたそうで、唐辛子を大量に飲み込み救急車で搬送されたこともあったとか。給食では、アーモンドチーズを21個食べた記録がある。(欲しいからちょうだい、とテーブルを回ってチーズをせびった苦い記憶……)コロッケが大好物で、母親が作ってくれたコロッケは、帰宅後の「おやつ」として最低でも6個は食べていた。
そんな生活をしていたから、当然ながら私はいつも平均より太っていた。
小学生の頃は食べることばかり考えていたが、中学生に上がり思春期に突入してからは、食べないことばかり考えるようになった。
とはいえそれまで食欲旺盛だった私が食べる我慢をできるわけがなく、食べないようにしようとすればするほど、ストレスで爆食い。
全く痩せなかった。
大学に入ってからも、私は変わらず万年ダイエッター。
カロリミットを飲んだり、りんごばかり食べたり、当時モデルたちが飲んでいたコントレックスという硬水を飲みまくったりしたが、食べることに余計に執着してしまい、一時的に成功してもすぐにリバウンド。
やはり痩せなかった。
そんな私が、大学三年になってから、なんとたった二ヶ月の間に10キロ痩せた。
しかも、その時の体重を今現在までずっとキープしている。
大学に入ってすぐ、私は結構変わった人と付き合い出した。
彼は、高校生の頃サッカー選手を目指していたが、食中毒にかかり長期入院を余儀なくされ、留年。一年遅れで卒業してから、サッカー選手の夢を諦めてまた一年浪人し、私と同じ大学に同級生として入学した。
つまり入学時に既に、現役合格した私の2歳上だった。
性格もちょっと変わっていて、よく言えば大胆で刺激的、悪く言えば自意識過剰で無計画な人だった。
私は彼と別れるまでずっと、「付き合う人は、自分とは性格も趣味も生い立ちも、真逆な人こそ面白い」という恋愛観を持っており、彼はその基準にドストライクにはまっていた。
すべての事柄に対して自分と全く異なる意見を持っている彼の話は面白く、はじめの一年間は価値観の違いを楽しめていたが、徐々にその違いが喧嘩に発展するようになり、二年間の交際の末、遂に彼と別れることになった。
彼と交際していた頃はよく泣いていた。
友人からはよく「あんなに泣いてたんだから、別れてからも毎日泣いてばっかりなんじゃない?」と言われたが、別れた後は一度も涙が出なかった。
ようやくこの関係から解放されたという思いの方が強く、自分でも意外なほどすっきりしていた。
失恋の痛手で食事が喉を通らなくなった、なんて日もなかった。
みなさん、ここで疑問に思われるでしょう。
じゃあなんで、「失恋ダイエット」に成功したの?
私は物心ついた頃からずっと、どんな時も必ず一日三食ご飯を食べなさい、と母に言われて育った。
平日だけでなく土日も、外出せずお腹が空いていない時も、毎日朝昼晩必ずしっかりとした料理が食卓に並んだ。
共働きだった母親は家に居ないことも多かったので、せめて食事だけは毎食ちゃんと食べて健康に育って欲しい、という思いがあったのだろう。(今思えば忙しい中とても大変だったはずなのに、必ず料理を作り置きしてくれていた)
大学に入ってからもその食生活を継続していたが、失恋をきっかけに朝寝坊することが多くなり、朝ご飯を食べなくなった。
というのもそれまで、朝起きてご飯を食べたらすぐ大学で彼氏に会って、という生活だったのが、彼氏と別れて一気に暇になったのだ。しかも、大学生なんて、だいたい遅い時間の授業をとっている。
毎日お昼頃ボ〜っと起きて支度をして、大学に通う生活に変わった。
失恋を機に、これまでずっと欠かさなかった朝ご飯を全く食べなくなったのだ。
するとなんと、何をしても微動だにしなかった私の体重が、たった二ヶ月ほどで自然に10キロ減っていた。
すっきりしたのは体型だけではない。
朝食を抜くようになってから初めて気づいた。
これまでずっと、朝ご飯を食べたあと午前中はぼんやりして、思考がストップしてしまっていたことに。
空腹の時は頭がすっきりと冴えて、色々なアイデアが浮かぶようになった。
体も軽いので、とにかくいろいろなところに出かけたくなる。
彼と別れてすぐの頃は朝寝坊したから朝食が食べられないという生活だったが、早起きして敢えて朝食を抜き、今まで以上に精力的に活動する生活になった。
この習慣に拍車をかけたのは、当時ちょうど話題になっていた南雲吉則先生のとあるインタビューだった。
南雲先生は、『一日一食健康法』を唱えている医学博士。
彼曰く、「一日三食食べると眠気が襲ってきて仕事に集中できず、自分にとって三食が合っていないことに気づいた。体が欲していないのに、一日三食食べなくてはという習慣にしばられ、脳に支配されていた。お腹が鳴って物理的に空腹の状態になった時だけ食事を摂るようになってからは、体重も減り、とても健康になった」という。(記憶では、確かそんな風におっしゃっていた)
朝食を食べなくなってから母親に「食べなさい」と注意されたし、世間一般的にも「朝食を抜くことは健康に良くない」とされていたため、朝ご飯を抜くことに罪悪感があったが、南雲先生のインタビューを聞いてからは自分の体の反応に正直になることにした。
とはいえ、南雲先生もおっしゃっていたが、一日一食とか、必ず朝食を抜くと決めているわけではなく、お腹が空いていれば食べる。私の場合、朝はいつもお腹が空かないので、自然と朝ご飯を抜いているだけ。
お腹が空いた時だけごはんを食べるようになってから、どんなものをどれだけ食べても太らなくなったのだ。
そして現在まで、当時の体重をキープできている。
何より、肉体的にも精神的にも、今までで一番健康だ。
ちなみに、変わったのは体重だけではない。
あの時の歪んだ恋愛観も、失恋を機に正された。
今、自分にぴったりの素敵な人に出会えたのは、あの時の失恋のお陰かも。
ああ、失恋よ、ありがとう!
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