フライパンは生活の質を上げるアイテム
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記事：長倉恵美子（ライティング・ゼミ平日コース）
日常の生活の中でちょっと不便だと感じているものを後まわしにしていることはないだろうか？ つい先日、私が後まわしにしていたちょっと不便なものはフライパンだと気づいた。
2年くらい前だったと思うが鉄のフライパンを使ってみたくて、しばらくは鉄のフライパンを使っていた。ところが使い方とメンテナンスがうまくないせいか、けっこう食材がくっついてしまうことが多かった。ただでさえ好きではない後片づけが面倒になっていった自覚が……ある。自然とフライパンを使う機会が少なくなり、料理をする時は何かを煮ることが増えていった。また、一昨年、昨年と出張や外出等で自炊をする機会が減ったこともある。
3月末から新型コロナウイルスを考慮して在宅勤務がはじまったが、最初のうちしばらくはフライパンのことはあまり気にしていなかった。しかし、あることをきっかけにフライパンを買いかえてみようと気が変わった。理由は安直でフレンチトーストを焼きたいという食欲に従った決断だった。
ある日、Twitterを見ていた時に美味しそうなフレンチトーストのレシピが目にとまった。最後に家でフレンチトーストを焼いたのは何年前？ というくらい前だったので無性に食べたいという欲求をとめられなかったのだ。そうは言っても今のフライパンでは、せっかく卵液に一晩つけたフレンチトーストを無事にくっつくことなく焼き上げられるのか疑問だった。それならフライパンを買いかえたらいいんじゃない？ という結論に至った。
近くのスーパーは幸いなことに調理道具を売っているコーナーがあるのでフライパンを買うのは簡単だった。大は小をかねるということでこれまで使っていたフライパンよりも少し大きな26cmを選んだ。今回はフレンチトーストを無事に焼き上げたいというポイントだけで選び、ちょうどセールになっていたテフロン加工と思われる2,000円くらいの一般的なフライパンを買った。その日は、そのままフレンチトーストの材料を食品売場で購入して帰宅した。
翌日、準備をしていざフレンチトーストを焼いてみる。あっさりとほどよく焦げ目のついたフレンチトーストが焼けた。あつあつのフレンチトーストとコーヒーを楽しんでからキッチンにむかう。フライパンに残っているのは取り損ねたパンのかけらぐらいだった。バターで少しペタペタした感じはあったが洗剤をつけたスポンジであっという間に汚れは落ちた。現在の毎日とにかく家で食事をするしかない状況では料理の後片づけが苦にならないというのはポイントが高い。
フライパンの扱いが楽だとわかったのをいいことに焼いたり、炒める料理をつくる機会が増えた。もっと早くフライパンを買いかえてみればよかったと思わずにはいられなかった。日常生活の中であっという間に電子書籍で2,000円ぐらい買ってしまうこともあったのにフライパンはためらっていたなんて……。めったにフライパンを処分することなんてないので、処分は面倒なのでは？ というのも思い込みだった。調べてみたところ、私の住んでいる場所ではフライパンは燃えないゴミにだしてよいと分類されていた。
今回のフライパン買いかえでの学びは、ちょっと不便だと感じたことを考えることを放棄しないことだ。フライパンを選んで買ったり、使っていたフライパンの処分を調べるのにかかった時間は実際のところはたいした時間ではなかった。セールだったこともあって、フライパン自体も2,000円ぐらいと大きな金額ではない。フタを買い足そうと思っているが、フライパン本体より高くなることはないだろう。そう考えるとフライパンの買いかえをめんどくさがっていたのは、なんとも情けない話だ。
時間を巻き戻せるとしたら、在宅勤務をはじめたばかりの3月末の自分に教えてあげたい。今すぐフライパンを買いかえるのだ！ 片づけのストレスが軽減されるし、フレンチトーストやホットケーキも気軽に焼くことができるようになるから。そうしたら外食できない不満も少しやわらいだだろう。フライパンが生活の質を上げるアイテムだともっと早く気づきたかったのが正直なところだ。ただ、5月末まで在宅勤務が続く今となっては、まだまだこれからの日々の食事でフライパンが活躍する機会はいくらでもある。
あなたにも日頃の生活の中で、つい後まわしにしてしまっている、ちょっと不便なことはないだろうか？ 今、もうしばらく自宅にいる時間が長い時期だからこそ、その改善にどのくらいの時間とお金がかかるのか考えてみるのもいいと思う。時間もお金もそれほどかからないのでは？ と判明した際は、ぜひ実行してみてほしい。きっと日常生活の満足度が上がるはずだ。
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