願えば叶うと信じている
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:隅倉 文子(ライティングゼミ・通信限定コース)
「ピーマンは残さず食べなさい」
「にんじんは栄養たっぷりだから、しっかり食べなさい」
そう言われる子どもをテレビなどで見る。子どもは野菜が苦手だ。わたしも野菜が苦手だった。だから、子どもができたら、絶対野菜が苦手な子どもにしないと思っていた。
ピーマンが嫌われるのは、苦みを嫌うからということなので、茹でることで苦みが消えるから食べやすくなるとか。
にんじんは、ゆでてやわらかくしたり、細かく刻んだりして、嫌いにならないように、いろんな食べ方を工夫してきた。
無農薬だったら、おいしいかもと思い、宅配の野菜を頼んだりしていた。
そうして工夫をしたおかげか、息子たちに野菜に対する抵抗があまりない。
その上、食に対しては、好き嫌いもあまりなかった。
だから、息子たちは、小学校になって給食で困ることもないようだった。
息子たちは、双子の上に3月生まれなので、他の同級生に比べて小さかった。だから、食べることで苦労するかなと思っていたけど、そんなことは、全然なかった。
野菜に抵抗なく育った、息子の一人は、農業科の高校に通って、野菜を作っている。
息子は、野菜についての知識を学んだことを教えてくれる。
じゃがいもは、よく晴れた日に植えないと、芽がでないとか。
なすは、一度作った土地は、別のものを植えないと、すかすかのものができて、それを「ぼけなす」ということ。
とうもろこしも作っていたが、学校では、ポップコーンになる品種をつくっていて、スーパーなどで売っているものとは、品種が違うこと。
すごく楽しく話してくれる。
私が苦手だからという理由で、手をかけた子育ては、成功したと思う。
私は、野菜を好きにすることと全く違うアプローチをして、苦手にしてしまったことがある。
それは、本を読むこと。
わたしは、いつからかわからないが、本をよむのが好きだった。
読み聞かせをしてもらった記憶がない。一人でいつの間にか読んでいたと思う。
小学校になってからは、図書室に時間があれば、通っていた。
本を読みなさいと強制されたことは記憶にない。
私の父も本が好きだったし、私の兄も本が好きだった。本が家にあれば、本の好きな子に育つだろうと思っていた。
しかし、そうはならなかった。
時代のせいかもしれないが、本を読むよりゲームや他のことをして遊ぶほうが楽しいようだった。
一緒に本屋さんに行ったり、図書館に行ったりしたと思うが、本を読む習慣は身につかなかった。学校で本を借りてくる様子もなかった。
たぶん、野菜が好きになってほしいと思うほど、本を好きになってほしいという思いがなかったのかもしれない。
もっと、本を読む楽しさを教えてあげればよかったのかもしれない。
息子たちの通っていた学校は、統合されてできた新設校だった。学校の施設がどれもきれいだった。なかでも、図書室にあたるメディアルームは、吹き抜けになっていて、窓が大きくて、統合前の学校からの本と新しく購入した本があり、かなりの蔵書があった。
PTAで何度かメディアルームへ行ったことがあるが、私なら、1日中ここにいても飽きないなと思った。
しかし、息子たちは、興味がないようだった。
二人とも「メディアルームは、おもしろくない」と言われて、すごく残念な気持ちになった。
その時は、すごく後悔した。
「こんなにも本を読むことに興味がないなんて」
でも、ある日、本を買ってほしいと言われた。
それは、大好きなアニメのマンガ版と活字版の両方が読みたくなったそうだ。
農業系の高校に行っている息子は、少し自宅から離れているので寮生活をしている。
だから、Wi-Fiの環境が悪いのでスマホができる時間が限られている。そのため空いている時間に本を読むようになったそうだ。マンガの本だとすぐに読めてしまうから、本のほうがいいらしい。
最近、買ってほしいと言われた本がある。
凪良ゆうさんの「流浪の月」という本だった。
本屋さんへいくと、コーナーができていて、なんと今年の本屋大賞の作品だった。
すこし読んだが、なかなか面白い本だった。
でも、300ページもある本を、息子が読めるか心配だった。
本を渡すと私の予想通り、本の厚さと活字の多さにおどろいていたようだった。
それでも、
「ありがとう。頑張って読んでみるよ」と言っていた。
なんだか、とてもうれしかった。
息子たちが、本に興味をもってくれたのは、やっぱり私が、好きになってほしいと願い続けたからだと思っている。
いつか、本について語りたいと思う。
***
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