三つ子の魂百まで ～心を通わすことが出来なかった妹との日々～
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記事：さくらしおり（ライティング・ゼミ通信限定コース）
「妹なんて欲しくなかった！」
「どうせなら、もっと頼りになる、協力し合える妹が欲しかった！」
私には、３つ年の離れた妹がいる。
祖母は、よく私達に、「２人きりの姉妹だから、仲良くしないといけないよ」と言い聞かせた。
幼い頃の妹は、私がどこへ行くにも、後ろを追いかけてきた。
私は、名前の一部をとって、「みーちゃん」と呼ぼうと、家族に提案した。
「みーちゃん、みーちゃん」と、私は、妹を可愛がった。
そんな可愛い「みーちゃん」が、高校生になった頃、なんだか様子が変わり出した。
次第に、交友関係や、外見が派手になり、家族の言うことも、ろくに聞かなくなった。
その頃、父は、冗談でよくこう言った。
「２人（私と妹）の性格を足して、２で割ったらちょうど良かったのに……」
それほど、２人の性格は、見事に正反対だった。
私が２８歳の頃、父と祖母が、相次いで亡くなった。
田舎の仏事は、想像していたよりも、大変だった。
葬儀は自宅で行い、その後も、四十九日まで毎週のように、３０人前後の親戚や近所の人達を招いて法要を行った。
中心となって動いていた私は、妹にも、手伝いを頼むことがあった。
しかし、何かを必ずしなければならないということにプレッシャーを感じたのか、「行けたら行く」、「やれたらやる」、「無理」の３つが、当時の妹の口癖だった。
協力を頼んでも、毎回、快く承諾してくれない妹。
そして、私にばかり負担が集中する状況に、腹立たしい気持ちでいっぱいだった。
私は、怒り心頭で、いつも、こう思っていた。
「妹なんて欲しくなかった！」
「どうせなら、もっと頼りになる、協力し合える妹が欲しかった！」
そして、最後には、
「もう、妹の助けは期待しない！ 私１人でやる！」
と、心に決めた。
そんな私に対して、妹は、
「大変ならもっと軽く、大変じゃないようにやれば良いのに……」
くらいに思っていたと思う。
３０歳を過ぎても、私と妹の距離は遠いまま。
軽い話は出来るが、真剣な話になると、話が噛み合わない。
互いに、イライラして、ストレスを感じる。
それが嫌で、込み入った話は、第三者を交えることが多かった。
しかし、アラフォーと言われるようになった今。
２人の間に、予想もしなかった変化が起きた！！
悩みや心配ごとがあれば、相談し、アドバイスしあう。
困った事があれば、出来る範囲で協力しあう。
一緒に、食事にも出かけるし、ショッピングもする。
馬鹿な冗談を言っては、笑いあう。
死ぬまで、深く理解しあえないと、半ば諦めていたのに……。
今は、素の自分でいられるので、妹と過ごす時間はとても楽だ。
一体、何が変わったのか？
互いが、年を重ね、色々な経験を積んだ。
視野も少しは広くなって、性格も丸くなったかもしれない。
でも、一番、変わったのは、何なのか？？
それは、「互いの違い」を認められるようになったことだと思う。
友人、知人の場合、気が合わなければ、距離をとる、付き合いを止めることも出来る。
だが、家族の場合は、なかなか、そうはいかない。
自分への直接的な影響も大きい。そのため、余計に難しかった。
ここ数年、私も妹も、自らの内面を見つめる作業をしている。
その延長からか、自分とは違う感じ方、考え方もあるし、あってもいいと思う、心のゆとりが出来た。
「欠点だ」、「受入れ難い」と拒否してきた相手の性格を、「特徴」と思えるようになった。
「特徴」なので、良いも悪いもない。
みんな違って、みんな良い。
違うから、補い合える。
今でも、妹は、あらかじめ決めて、計画的に動くことを嫌がる。
そして、制約には、人一倍、ストレスを感じるようだ。
なので、私は、よほどのこと以外は、がちがちに決めるようなことはしない。
一方、今でも、私は、何でもきちんとやりたいと思い、一人で抱え込んでしまう。
そんな時、
「そんなに頑張らなくてもいいよ」
と妹が言ってくれる。
互いの基本的な性格は、今も変わっていない。
大きく変わったのは、相手の性格を尊重し、互いの違いを「特徴」として認めただけ。
長い間、私は、
「妹なんて欲しくなかった！」
「どうせなら、もっと頼りになる、協力し合える妹が欲しかった！」
と思っていた。
でも、今は、「妹がいて良かった」と心から思っている。
もし、過去の私のように、誰かの性格に困っている人がいるのなら、言いたい。
相手の性格を変えようと思っても、無理かもしれない。
「三つ子の魂百まで」とは、うまく言ったものだ。
幼い頃からの基本的な性格なんて、外からのどうのこうので、そんなに簡単に変わるものじゃない。
無理に変えようとして対立するよりも、「違い」、「特徴」として認めてしまった方が、良い方向に動く可能性が高い。
「違い」を受け入れられた相手は、受け入れてくれた相手の「違い」を受け入れる。
そして、そこに、互いへの「思いやり」が芽生える。
そんな愛の循環が生まれたなら、めっけもの（期待できないような状況で、偶然に得た幸運）だと思う。 私たち姉妹のように……。
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