自己肯定感は、本を読んでも手に入らない
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:中川誠斗(スピードライティング特講)
「この世で一番欲しいものはなんですか」
そう聞かれたとしたら、なんと答えますか?
お金?
人脈?
それとも……。
僕なら迷わずこう答えます。
「自己肯定感がほしいです」
自己肯定感。そう、これこそ今までの27年間の人生でもっとも欲していたものであり、これからの人生でもずっとずっと必要になるであろうものです。
僕と同じ答えをする人は、けっこういるんじゃないかと思います。本屋さんに行けばこの手の本を探し出すのにそれほど苦労しません。きっと多くの人たちが、この「自己肯定感」とやらを探し求めているのでしょう。
この自己肯定感とはいったいどうすれば手に入るのでしょうか。それを求め、僕は家で1人本を読んだり、ネットで調べていたことがあります。
「自己肯定感とは、自分を肯定すること。だから日記を書きましょう」。
そう言われてからは、毎日日記を書くようにしました。
「今日の良かったことを思い出してから寝るようにしましょう」。
そう言われると、ちゃんと寝る前に今日の良かったことを思い出すようにしました。
でも1ヶ月たっても2ヶ月たっても、特に変化はありません。そのうちにやらなくなってしまい、中途半端に終わってしまいました。
自己肯定感とはいったい何なのか。それはどのようにして養われるのか。生まれ育った家庭で左右されてしまうのでしょうか。あるいは性格的に、ある人ない人決まっているのでしょうか……。
実は、ぜんぜんそんなことなかったのです。自己肯定感とはあとからいくらでも獲得できます。僕の自己肯定感はまだ低いでしょうけれど、先日ソイツのしっぽをつかむことができました。
先に言います。
自己肯定感とは自分で作り出すことはできません。それは他人から与えてもらうものだったのです。
写真を展示している、都内のあるギャラリーでの出来事でした。僕はその日、自分の作品を搬出するために向かっていました。
写真を趣味にしてから、かれこれ2年くらいになります。はじめはカメラを持って近所を散歩しているだけだったのですが、撮った写真を人に見てもらいたいと思ってブログを開設し、写真をネットで公開するようになりました。
ブログやSNSでは、写真に対するコメントがもらえます。僕も他人の撮った素敵な写真をみては、今でもよくコメントするようにしています。そういったやり取りもまた写真撮影のたのしさの1つとなり、しだいにネット上ではなくもっとリアルな場で、現実の場所で直接人とやり取りできたらいいなぁと思うようになりました。
そこで、僕は初心者向けの写真展に参加してみることにしたのです。ちょうど2019年の冬に初めて参加し、たのしかったので今回2度目の出展を決めました。
自己肯定感とは何かを知ったのは、その2度目の出展が終わるころでした。
「わたし、これ好きだなぁ」
「あぁ、なんかそれも良いよね。サイズもちょうどいいし、わたしもそれ好き」
飾った写真の片付けには意外と時間がかかるのを知っていたので、僕は少し早めにギャラリーに到着していました。中へ入ってみると、まだお客さんが2人いるようでした。僕は邪魔にならないように隅っこでじっと待っていたとき、話し声が聞こえたのです。僕のところからは、ちょうど自分の写真と、それを指差す女性の手が見えました。
僕の撮った写真を好きだと言ってくれている! 恥ずかしさと嬉しさのあまり、思わず顔を伏せてしまい、ギャラリーを一度出ました。撮った本人が「それ、僕が撮ったんですよ〜」と言って急に現れてもビックリするだろうし、なにより恥ずかしかったからです。
ネットでもごくまれに自分の写真を好きだと言ってくれる人はいましたけれど、こうして本当に目の前で褒めてもらえると、嬉しいよなぁ。写真というのはとても内面的なものなので、良いと言ってくれるだけで自分を受け入れてくれたように感じるのです。外の空気を吸いながらそんな思いに浸っていると、どうやらその方たちは退散してしまったらしく、運営の人から片付けの合図をもらいました。
嬉しい思いを受け取ったなと思っていると、さらにもう一つ、とても素敵な贈り物をいただきました。感想カードです。お客さんが展示者さんに感想を書いてあげるメモ用紙を、ギャラリー側が用意してくれていました。
友達や知り合いをたくさん呼んでいた展示者はたくさんのカードを受け取りますが、僕はたった1人しか呼んでいません。僕の場合、写真とはまるで言語化できない自己紹介のようなものなので、極めて仲の良い人しか招待できないのです。それでも6人の方からメッセージをもらうことができました。
「これからもたくさん写真を撮ってください」
「素敵な写真でした」
そうした手書きの感想カードの中で、とびきり嬉しいものがありました。
「写真を撮るときの目線が、自分とそっくりでビックリしました」
どうやら僕の写真を見てくれた中の1人が、自分とそっくりだと感じたようです。その人も驚いたでしょうし、僕も驚きました。このコメントを読んだとき、僕は他人から認めてもらえたような感覚を味わったのです。僕と同じような人もまた、この世界で僕の知らないところで生きているんだと知って、僕はまだ生きていていいんだな、とも思えたのです。
「僕は生きていていいんだ」。自分で自分にそう言い聞かせても、なんだかわかったようでよくわかりません。だから自己肯定感を欲しているのです。
自己肯定感とは、まるで心の必須アミノ酸なのです。それは心のなかでは生成されず、他者の言葉や振る舞いによってのみ補給されるものなのだと思います。
だから、自己肯定感がほしいという人は、1人家にこもって本を読んでいても、ネットで検索しても手に入りません。外に出て、人と会いましょう。自己肯定感がなくてツライと感じさせるのは他人の存在ですが、自己肯定感を与えてくれるのも、また他人なのです。
***
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