ダイソン派? ロボット掃除機派? それとも……
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:藤原智子(ライティング・ゼミ特講)
「最近くみちゃん動いてなくない?」
私はギクッと立ち止まり、
おそるおそる向けた視線の先には、長女の不思議そうな顔があった。
5歳の長女がいう「くみちゃん」とは、
半年前に我が家にやってきた、ロボット掃除機の愛称だ。
ドン・キホーテのセールで購入した、ロボット掃除機のくみちゃんは、購入直後こそ頻繁に動かしていたが、
3ヶ月前の次女出産以降、一度も動かすことがなくなっていた。
自信を持って言うが、私はズボラだ。
近頃は時短家電というものに目がない。
家電を買うために働いている気さえする。
掃除も洗濯も料理もなにもかもがめんどくさい。
しかし毎日しなければいけないのも事実。
この事実を受け止めた上で私が取った行動は、「任せる」だった。
独身時代に使用していた、紙パック式の掃除機が壊れたタイミングで、ダイソンのコードレス式掃除機を買った。
コードレスは楽だったが、掃除という行為がしたくないので、なにか無いかと探し、
思い切って今回、ロボット掃除機を購入してみた。
娘が、「名前はくみちゃんにする!」と。
我が家で初めて、名が与えられた家電だった。
(よし! 勝手に掃除してくれるくみちゃんに床掃除を任せよう!)
……
すると、今度は椅子をテーブルの上にあげたり、床に置いているものを寄せるのが億劫になった。
ズボラはどこまで行ってもズボラである。
次女が産まれたことで、ウイーンという稼働音も気になってきた。
音に敏感な次女は、小さな生活音でもすぐに起きてしまい、家事どころではなくなることが多々あった。
かなりの死活問題である。
生活音を出さないことは不可能だが、なるべく最小限にしたい。
泣かれてしまう方が大変だ。
とにもかくにも起こしたくないのだ。
なにかと理由をつけては動かさずにしていると、
ロボット掃除機に掃除を任せられなくなってしまった。
しかし、床は毎日汚れる。
髪の毛も落ちるし、食べカスもこぼれる。
どうしたものか……。
そんな時に思い出したのが、学生時代に母が買ってくれたクイックルワイパーだった。
押入れの奥に眠っていたクイックルワイパーを呼び起こし、
すぐさまドラッグストアに、ドライシートとウエットシートを買いに行った。
そしてシートを取り付け、早速床掃除をした。
無音で、次女を起こすことなくさくさくとゴミが取れる。
ゴミがついたシートは、すぐにはずしてゴミ箱に捨てられる。
ロボット掃除機や、コードレス掃除機は、中の掃除がまた大変なので、ゴミを溜めるだけ溜めてから捨てていた。
私は今の自分ニーズにピッタリとあった、クイックルワイパーの虜になった。
5歳の娘も、軽くて動かしやすいので、掃除を手伝ってくれた。
クイックルワイパーのことが気になり、開発元、花王株式会社の公式サイトを覗いてみた。
そこにはクイックルワイパーの開発秘話が書かれていた。
花王株式会社は、オムツの「メリーズ」や生理用品「ロリエ」などの商品を販売している。
この素材を利用して、お掃除で悩む主婦をサポートできないか考えたのが始まりと書いていた。
当時は、紙パック式の掃除機が主流で、ほこりが舞うのが気になったり、
雑巾がけは腰に負担がかかるなど、床掃除の悩みは誰もが抱えていたようだった。
そこで開発者たちは、一般の主婦たちに意見を聞きながら試験を重ね、ついに完成したのが、クイックルワイパーだった。
まさに消費者目線! 時代の最先端商品だった。
こんな事もなければ、きっと公式サイトまで見て、クイックルワイパーについて調べなかっただろう。
クイックルワイパーの良いところは、ドライシートとウエットシートの二刀流ができるところだ。
一本で、ほうきと雑巾の役割を果たせる。
その姿はまさに、投手と野手どちらも一流な大谷翔平選手のようだ。
使用するときは、大谷選手の登場シーンのような盛り上がりで、
「ショウヘーイ、オオタニー!」と言いながら掃除を始める。
こんなズボラな私だが、出身地は大谷選手と同じ岩手県である。
一緒にされたくないだろうが、これもまた事実だ。
我が家に大谷選手がいる。
なんて贅沢なことだろう!
大袈裟かもしれない。
失礼かもしれない。
それでもいい。
便利さに目が眩み、
時短と思っていたのに、なんだか余計な時間を使っていた自分。
そのときの自分の状況に応じて、
使用する家電や物は、変化させていけばいいのだと理解した。
買ったから、これを使わなければならないという、自分が作ったしがらみに、勝手に苦しんでいたようだ。
任せるからこそ、得られる便利さと、
任せずに自分でやるからこそ得られる便利さ。
それぞれの良さがあることに、クイックルワイパーのおかげで気づくことができた。
先日、久しぶりにロボット掃除機を稼働した。
「なんで動かしてないの?」と言っていた長女は、動いてるくみちゃんを見て、嬉しそうにひたすら話しかけていた。
久々の掃除に、くみちゃん本体も喜んでいるように見えた。
初対面の次女は、終始不思議そうな顔をしていたが、泣かずにじっとくみちゃんの動きを追っていた。
昔からあるものと、最新のもの、
どちらかを切り捨てるのではなく、どちらとも共存していく。
相変わらず、最新家電に目がない私だが、
今あるものを大切にしながら、生活していこうと思う。
あなたはダイソン派? ロボット掃除機派? それとも……?
***
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