身体の余白に音楽が響く
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:和田清美(ライティング・ゼミ7月開講通信限定コース)
「お腹を意識して下半身はどっしりと、地面に根っこを張るように。
上半身は軽やかに、首肩はふわっふわに」
ヨガとピラティスのレッスンで必ず言われる、基本姿勢だ。
運動嫌いの私にとって、唯一続いている趣味、というか健康法がヨガとピラティスである。
細く長く、かれこれ20年は続いている。
レッスンの度に基本姿勢を確認して、ポーズをとる。
だから、私は姿勢が良い方だ、ずっとそう自負していた。
しかし、肩痛のため4月から通い始めている整骨院で、ショックを受ける。
「隠れ猫背」と言われたのだ。
そんなバカな、と思ったが、写真を見せられ、説明を聞いて納得。
両肩が耳より前に出ていて、若干ストレートネック。加えて反り腰。
悲しいかな、確かに姿勢が良いとは言い難い、立ち姿だった。
「体の重心が前面に寄っています。バランスを整えましょう。
ただし、長年定着した癖はすぐには取れません。気長に頑張りましょう」
フルートの先生と同じこと言ってる……。
ショックを受けつつ、別の部分でハッとした。
ヨガより長く続いている趣味が、フルート演奏だ。
見た目だけでなく、私が姿勢を気にする理由は、ここにある。
繰り返し、先生たちに言われてきたこと。
「腹筋と背筋が働いていないと、美しい音は出せない」
「楽器吹きで姿勢が悪いなんて、ありえない」
細々と演奏を楽しんでいるのだが、ここ数年、思ったように音が出せない悩みにぶち当たった。
その解決法を見つけるべく、2年前からフルートレッスンに通っている。
先生は、実演と巧みな例え話で、徹底的に基本を教えて下さる。
立ち位置から楽器の構え方、息の吸い方、吐き方、その時の身体の使い方。
音を出すときのイメージ方法。
妥協を許さない、根気強いご指導のおかげで、少しずつ少しずつ長年の癖を矯正してきた。
最近の課題は、重心のかけ方と、前面背面への力のバランス。
まさに、整骨院で指摘されたことだった。
今まで、ヨガやフルートを吹く時、その時その時で姿勢を作ってきたけど、それでは良い姿勢が定着していなかったのか。
日常生活から、ヨガやフルートで教わった姿勢を取り入れて、そこに動作をくっつければいいのかもしれない。
無理のない範囲で普段の姿勢から意識したら、それもトレーニングになる……か?
考えを切り替えて、改めてレッスンを受けてみる。
芯のある深みのある音を吹くために、
「背を伸ばす感じで、でも重心は下半身にどっしりかけて。背面を意識して」
フルートの先生の言葉に、ピラティスの授業を思い出す。
頭が天井に吊られているイメージで、下半身はどっしり重くする。
さらに、整骨院のトレーニングを重ねてみる。
椅子から真上に立ち上がる時の腹筋・背筋を意識。
身体の余白と背面に空気を送り込むイメージで、息を吐く。
作った姿勢で出来た身体の余白へ、音を響かせるように息を吹き込む。
……出たのである。自分なりの芯のある深みある音が!
殆どOKを出さない先生も「それ! その音!」と言ってくれた。
意識した身体の使い方で、結果がカチッとハマった感覚は、今回が一番大きかった。少しだけ、自分で身体をコントロール出来た気持ちだった。
身体に対する力のかけ方も、今まで程必要がない。
疲労感もこわばりも少ない。
これが力のバランスかぁ。楽に音が出る。
これまでは、薄くて固くて余裕のない音だった。
これが嫌で解消しようともがく程に、身体に力が入って固くなるという悪循環。
力で押すのではなく、引いて広げればよかったのだ。
引いて力を抜いたら余裕が生まれた。
生まれた余裕に息を送ったら、身体全体に音が響いたのだ。
これは、楽器演奏に限ったことではないと思う。
コミュニケーションや情報に対する気持ちの向き合い方も、同じではないだろうか?
身体に力が入って縮こまっている状態では、言葉や情報は自分の中に入って来づらい。
緊張で張りつめている人には、周りの人も気を遣って、かける言葉を躊躇してしまう。
余裕が無いと、目の前にある情報を見落とす可能性がある。
リラックスして姿勢良くすれば、身体に余裕が生まれて、そこに新しい言葉や情報が入って来やすくなる。
気持ちが追いつかなければ、形から入ってもいいかもしれない。
姿勢良くすれば、気持ちがリラックスして身体が開く。
開いた余白に、思いがけない言葉や情報が入って来るのだ。
今回、私は各分野の先生たちから教わったことを取り入れて、身体に余白を作った。
すると、音を響かせることが出来た。
身体のバランスを保つための、一つの指標を手に入れた気分だ。
今後、音が響きづらい時は、身体に余白がない証拠。心に余裕がない証拠。
あの響きを、偶然で終わらせるのではなく、定着させていきたい。
そのためには、練習と日々の心掛けが大切。
私が作った余白には、次何が入って来るだろうか?
ちょっとワクワクしている。
あの時に味わった音と身体の響きを思い浮かべながら、今日も腹筋と背筋にちょっと意識を向けるのだ。
***
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