みんなから良く思われることを手放した私が思ったこと
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:岡本 サキ(ライティング・ゼミ日曜コース)
人に嫌われてうれしいと思う人は、あまりいないだろう。
できれば、人間関係を円滑にしたいと思う人が多いはずだ。
職場、近所、友達などさまざまな人間関係がうまくいかないと、余計なストレスを感じることになる。
でも、私は思う。
だからと言って、みんなと仲良くして、みんなから良く思われる必要があるのだろうか。
これは、私が、みんなから良く思われることを手放したときに分かったことの話である。
20代の頃、私はとても社交的で、友達(というか、知り合いというか)がたくさんいた。
友達の友達と知り合って、一緒に遊んだり、飲みに行ったりすることが楽しかったし、いろいろな人と知り合えるのが、うれしかった。
そして、友達から、「この前一緒に遊んだ友達が、サキちゃんのことおもしろいねって言ってたよ」などと自分に関する良い情報をもらうと、さらに喜びが増した。
でも、初めて顔を合わせる人と遊んで帰ったその日は、なんだか気疲れしている自分もいた。
今考えると、自分への高い評価を聞きたいがために、誰にでもいい顔をして、誰とでも会っていたのかもしれない。
それは職場でも同じだった。
勤務年数をそれなりに経て、後輩と呼べる人たちができたとき、その後輩への業務上の指摘が的確にできなかった。
はっきり注意して傷つけたくない、そして、この人コワイと思われたくない、そんな思いだった。
そんなことを考えているので、せっかく後輩を注意したのに、言葉をオブラートに包みすぎて、真意がほとんど伝わっていないことがよくあった。
その結果、トイレの鏡の水滴跡は、自分で拭く羽目になった。
そう、トイレ掃除の件について、その日の当番だった後輩を注意したが、当の本人は「はぁ…」みたいなカンジで、「なぜこの人は私にそんなこと言ってくるんだろう」という顔をしていた。
そして、私は、「ああ、自分でやったほうが早いわ」と思ってしまい、鏡拭きに精を出したのだった。
結局、私は、この後輩に嫌われるのが怖かったのだ。
あるとき、同じ後輩を、また同じことで注意しなければならない状況になった。
「やっぱりあのとき、私の話は通じてなかったか」という気持ちを抱え、彼女のもとへ向かった。
その途中、私のなかで、怒りと呆れの中間くらいの感情が湧き上がった。
そこで何かが吹っ切れ、もう別に嫌われたっていいからきちんと言わなきゃダメだな、という思いが出現した。
私は彼女の横に立ち、「○○さん」と声をかけ、今度ははっきりとこう告げた。
「トイレの鏡ね、水滴の跡だらけで汚いの。あれじゃ、掃除したことにならないから、もう一度拭いてくれる?」
すると彼女は、「はい、わかりましたぁ」と言って、トイレに向かってくれた。
自分ではものすごい気合いで臨んだのに、やけに簡単に事が済んでしまい、なんだか拍子抜けした。
こうして私は、みんなから良く思われたい、と思うことをやめた。
私にとって、みんなから良く思われることを手放すということは、すっぴんの自分になるようなものだった。
以前のフルメイクで着飾っていた私は、「常にいい人でいなければいけない」という思い込みに支配されていた。
しかし、それを手放したすっぴんの自分は、本当の自分に戻れたような感覚があった。
つまり、生きることがラクになったのだ。
必要以上にニコニコして相手の機嫌をとらなくていいし、積極的に意見や質問もできる。
誰かを注意することも、以前より簡単になった。
だからといって、相手に思いやりを持たずに接しているワケではない。
注意した後はフォローを入れるし、「ありがとうございます」や「申し訳ありません」は適切な場面で使う。
友達に対してもそうだ。
自分の評価を知るための知り合いを作るのをやめた。
また、これまでの友達であっても、なんだか考えが合わなかったり、自分がその場にいるのが心地よくない、疲れると感じたときは、距離を置くようにした。
本当に自分に必要な人であれば、また親しくなる機会が必ず来ると、私は思っている。
そのためには無理をせず、その交友関係をいったん手放すことも必要だろう。
世の中のすべての人から良く思われることは、はっきり言って、難しい。
ひとりひとり考え方も違えば、置かれている状況や環境も違うからだ。
ただ、私が思うのは、「みんなから良く思われること」ではなく、「自分が良いと思うこと」を誠実にやっていると、いつしか周りの評価が上がっていくこともあるのではないか、ということだ。
人のことは、気にしない。
まず、自分に軸を置くことを大切にして日々を過ごすことが、みんなから良く思われる近道なのかもしれない。
***
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