婚活3ヶ月で結婚し、失敗した男がすすめる婚活攻略小説
*この記事は、「リーディング・ライティング講座」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:佐伯英雄(リーディング・ライティング講座)
【傲慢と善良】辻村深月・著。
すでに、かなり売れている。
今更かもしれない。
しかし敢えて書きたい!
なぜなら、この本は、めちゃくちゃ面白い恋愛ミステリ小説であると同時に、最高の婚活バイブルになっているからである!
何故、こんなにムキになっているのか!
それは、とても悔しいからだ。
この本と、せめて30年早く出合っていたら、私の人生は全く違ったものになっていた、と思う。
正直、自分の恥を晒すようで非常に書き難い部分もあります。
しかし、どうしてもこの本をすすめたい人たちがいるので、恥を忍んで書かせていただきます。
今から約30年前、私は29歳で、結婚を真剣に考えていました。
そんな時、私の兄にお見合いの話が舞い込んできたのです。
なぜかその見合いの写真を、
「取りに行って来て欲しい」と親から頼まれたのです。
なぜ私が取りにいかなければいけないのか?
不可解な気持ちを抱えながら、そのご縁を繋いでくれる知人のおばさんに会いに行きました。
待ち合わせたのはファミレス。
ここで見せられた写真が、運の尽き。
見た瞬間、私は「ウッ! 」と言葉にならないうめきをもらし、
頭の中がカァーっとなった。
(かっ、かわいい!)
あろうことか、私はその場で縁結びのおばさんに向かって、
「これ、俺じゃだめ? 」
と言ってしまったのです。
おばさんは一瞬躊躇しながらも、
「別にあなたの家で問題が起こらなければ、私は構わないけど?」
と言ってくれました。
話は決まった。
私はこの縁談を自分のほうに、グイっと捻じ曲げた。
やがて3人で会う機会を設けていただく。
場所は同じファミレス。
その初回、会って間もなく、意気投合。
会話は3時間を越えた。
その後、何度か二人でデートを重ね、話はとんとん拍子に進み、3ヶ月後の9月に挙式。
新婚旅行も、当時、超人気だった、「オーストラリア」へ。
もう天国気分で浮かれまくる私。
煌めくゴールドコーストの波間を横目に見ながら、砂浜に「アイシテル」の文字を書き、「オレと結婚してくれてありがとう」「一生そばにいてくれるだけでいい」と、私は言った。
実はここが幸せのピークだった。
すでにここから「地獄行きジェットコースター」は動き出していた。
旅行の最終日、新婦はオーストラリアの免税店で、ブランド品の爆買い物をする。現金もトラベラーズチェックも使い果たし、それでも満足できず、私のクレジットカードの利用をせがんだ。
新婚気分でのぼせ上った私の頭は、この行動に全く疑念を抱かず、ホイホイとカードを渡した。
それが、その後、約10年間続くことになる「ブランド品買い物症候群」との戦いの入口とも知らずに。
最悪期、毎月のローンの支払額が30万円に膨れ上がった。
「マルイ」や「伊勢丹」でVIP扱いとなる。
しかし、私の収入とのバランスが崩れ、サラ金大手4社から、限度額いっぱいに借りる愚挙に走る。
私は、目が覚めている間、ずっと返済のことを考える日々が続いた。
夜、クタクタに疲れた体に睡魔が襲って、意識が遠のく。その眠りに落ちる瞬間だけが、唯一の「幸せ」だった。
それに加えて、私が「そばにいてくれるだけでいい」と言ったせいか、
『ほんとに何もしない奥さんだった』
「洗濯物を干す」、が唯一の家事。あとは、炊事も掃除も一切やらず、一日の大半をテレビゲームに費やしていた。夕食は毎日「ホカ弁」。
そんな生活が10年間も続いた。
やがて神様が私の修行の期間が過ぎたと判断されたのか、ある日突然、彼女は私の下から去っていく。好きな男のもとへ。
離婚成立。
その後の人生は、この貴重な体験を糧にして、というか、どんな女性と出会っても「いい人」に思え、幸せな日々を送っている。
あの地獄の10年間も、月日の経過とともに良き思い出として、記憶の彼方へと消えていくのでありました。めでたしめでたし、、、、。
ところがである。
30年というコンクリートで固めたような時間の瘡蓋を、
ぺろっと剥がした本があった。
【傲慢と善良】である。
一年半ほど前、辻村深月さんの【かがみの孤城】が話題になっていた。図書館で借りて読むことにした。その時【傲慢と善良】が新刊で出たばかりだった。内容も全く知らずに、ついでに予約をした。
申し訳ない、「ついで読み」だった。
しかし、
これが面白かった! ほんとうに面白かった!!
と、その辺は世間で話題になっていますので省略。
私も面白くて夢中になり、一気に読んでしまいました。
しかし読んでいる途中からだんだんと自分の過去とオーバーラップして、苦しくなる場面が増えていきます。
登場人物たちの気持ちが痛いほどわかってしまうからです。
やがて、30年のかさぶたが剥がれ、思い出したくないたくさんの悲劇と喜劇が頭の中に溢れ出し、胸の中になにやら得体のしれないモヤモヤ感が溢れ出てきた。
終盤、物語が終わりに近づいた頃、私は、一番知りたくない真実に気付かされる。
「『ブランド品買い物症候群』と言うモンスターを育てあげてしまった責任の半分は夫である私にあったのだ」ということに。
まさか小説を読んで、30年前の自分の過去がひっくり返されるとは思わなかった!
この本は、現代婚活事情とその中でもがく婚活者たちの心のひだひだを丁寧に描いた婚活恋愛小説です。
どうか婚活中の皆様、結婚と言う人生の大いなる決断の前に、この1冊をぜひ読んでみてください。
***
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