欠点を愛でる高級カメラ道
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:村人F(ライティング・ゼミ特講)
先日、天狼院書店のフォト部という活動に初めて参加した。
町中や公園を何人かで写真を撮りながら渡り歩くゆるい感じのイベントである。
写真に興味を持ち始めた私にはこれ以上ない最適なイベントであった。
そこにiPhone片手に突撃したわけだが、やはり他の参加者の方はウン十万くらいの高級カメラユーザーだった。
そのため自己紹介でもカメラを我が子のように自慢する雰囲気になるわけだが、面白いなと感じることがあった。
欠点を自慢気に語るのである。このカメラは寄りの絵は無理だとかフォーカスの合わせづらさが難点だとか、色々と欠点を必ず話してくるわけである。
その点私の持っているiPhoneなんかは特に欠点なんかは思いつかない。誰でも使えてそれなりの写真が取れる優等生なカメラという印象である。私みたいな初心者にとっては数万のカメラなんか買わなくてもiPhoneで結構なレベルまで行けるんじゃないかという思ってしまう。
高級カメラユーザーはそういうのに満足ができないから手を出すわけであるが、そういう方々が選ぶカメラはだいたいなんでも行けるオールマイティーな物は選ばれない印象だ。
むしろ自慢気に語っていたような欠点があるものをあえて選ぶ傾向がある。
なぜそうなるかと考えたが、オールマイティーの欠点を彼らは熟知しているのだろう。
なんでもそれなりに取れるというのは聞こえはいいが、ある意味では個性に欠けるという事もできる。高級カメラに手を出すほど写真をやっている人にとってはそれが耐えられないのだろう。
なぜなら、残したい写真の色味が繊細になっているから。
それゆえiPhoneが勝手にしてくれる補正みたいなことが余計なお世話になってくるのであろう。
だから多少苦手分野が欠点としてあるようなカメラでも、自分の撮りたい絵に対し最高のパフォーマンスを発揮できるカメラを選ぼうとするのだろう。
そして欠点を理解できるほど自分がカメラを理解しているということに誇りも同時にあるから、欠点を自慢気に語ることができるのである。
欠点、多くの人は欠点を悪いものだと思っている。
教育でもそうだ。ファッションでもそうだ。
自分の欠点は恥ずかしいものだというのは誰もが持つ感情だと思う。
しかしこの高級カメラの話を考えてみると、欠点が恥ずかしいものだという思い込みは捨てていいのではという風に思えてくる。
なぜなら欠点は、見せ方によっては自分の長所を鮮明化させる効果があるからだ。
物語に出てくるキャラクターも、主人公には弱みを必ず持たせるというのが定石となっている。
弱みがあることで共感を生むし、さらにそれを乗り越えることで彼らが持つ長所がより際立って見えるわけである。だから欠点を恥ずかしいと思って直していくという努力の方式もあるが、あえて残しておくという戦略も十分にあると思うのである。
その戦略を考える上で、高級カメラの考え方はかなり応用できるなと思った。
1つ目の考え方は、欠点を理解するためにはその世界における基礎的な技術の習得が必要だということである。
多くの人にとって欠点は自分で触れたくない物だからあんまり考えないようにするものである。しかし、それを理解し共存しようという考え方をするためには、真剣にそこに向き合う必要がある。そのためには自分の理想だったり一般常識といった多方面での知識が必要となる。
カメラはまさにそうで、このレンズはフォーカスの調整スピードが遅いとか、ピントが定まるまで時間がかかるなど、欠点を正確に説明するために必要な専門知識はかなりの量がある。
だから欠点と真剣に向き合うだけでも自分の能力向上に結構役立つというのがカメラからわかるのである。
2つ目の考え方は、欠点にはそれを上回る長所が必ずセットにあるということである。
例えばカメラだったら寄りになると絵がボヤけまくるという欠点の代わりに、遠景のピントは絶品だという風に、必ず欠点を補ってあまりある長所が必ずあるのである。
これを自分の性格批評のときにそっくりそのまま使うことができると、自分に対して自信が持てるんじゃないかと思うのである。私の場合だったら、協調性のないことが欠点に挙げられるが、その代わり自分の道を貫き通せるというような考え方で自分を肯定することもできるわけである。
そういった訓練の場として、高級カメラ選びは良質なものとなる。レンズ、ボディそれぞれに欠点と長所がセットになっている。それらを比べて選ぶことで、自分に対してもそういう考え方ができるようになるはずである。
色々考えてみると高級なものは何をやらせても完璧にできるとついつい思ってしまう。
しかしそれに手を出すユーザーは知っているのだろう。
良いものを際立たせるためには、欠点が必要だということを。
カメラを選ぶ時の目線を、自分に対しても向けることで、自分に対しても自信を持てるようになりたい。
***
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