フルーツバスケットから芸人の男女比の謎を探る
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記事:野村美帆(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
お笑いが好きになり、テレビで見るようになってから、ふと疑問に思ったことがある。
「なんでお笑い芸人は男が多くて、女が少ないんだろう」
ネタ番組やバラエティー番組を見ても、女性芸人は男性芸人より圧倒的に少ないという印象を受ける。いつからこの構図になったのだろう。
「お笑い芸人」という職業柄、男性と女性とで向き不向きがあるかどうかはわからないが、少なくとも現在の脳科学においては、男性と女性の脳に差がないことが解明されている。では、なぜこの比率になるのだろう?今思い返せば、私が小学生だった頃から、このようなことが普段から見受けられ、同じ疑問が生じていた。
その一例が、学校の学活の時間にクラスで行うフルーツバスケットだ。
私は、フルーツバスケットが嫌いだった。ゲーム自体が嫌いなのではない。負けた人が直後にやる罰ゲームが地獄だったのだ。しかも、一発ギャグ。ゲームの最中は気が気でなく、とにかく自分のターンが回ってこないように祈っていた。しかし、そんな心配もおろか、いとも容易く最悪な事態が起きる。普段絶対に人前でギャグをしないであろう、物静かな女子が罰ゲームの餌食になってしまったのだ。お笑い芸人でも、一発ギャグで笑いをとるのは難しい印象がある。ましてや、小学生の女子が一発ギャグでクラスを沸かせるなんて不可能に近いと、どうしても思ってしまう。本人も緊張するだろうが、観る側も緊張する。その空気感に私は何とも耐えられないのだ。しかし、そんな事態も束の間。女子を前に、気の利いた男子、もしくはお調子者の男子が「オレが代打をやるから」の一言でギャグを肩代わり。一瞬で、解決させた。
しかし、不思議な点があった。このピンチヒッター制度は、同性に対しては適応されなかったのである。おとなしい男子が罰ゲームになった時、かつてのピンチヒッターたちは大人しく席に座りニヤニヤしながら状況を見守っていたのだ。また、ピンチヒッターに女子が起用されることは一度たりともなかった。脳の機能においては男女平等であるはずなのに、いつもクラスで騒ぐのは男子、ギャグをするのも男子。決まって男子が多かった。いつしかこの光景が当たり前になり、大して疑問も抱かなくなったが、お笑いを見始めてこの疑問が再燃したのである。
この疑問に対する私の考えは、当初「きっと能力的に男性は女性より面白いものだから」というものだった。女性の芸人の活躍が少ないのは、面白さの表現する力量が少なさだと。しかし、フルーツバスケットを振り返り、必ずしも女性の力量が原因とは限らないのでは、と考えるようになった。男性も少なからずこの現象に関与していると思うのだ。
こうした考えに至った理由は、フルーツバスケットで男子が女子の一発ギャグを肩代わりした、という点にある。クラスの空気をいち早く察した男子のおかげで女子はギャグから免れることができて、安堵したかもしれない。しかし、違う見方をすれば女子の出番を奪われたと捉えることもできる。おとなしい見た目で、決して人前でギャグをやりそうにないと高を括っても、実はギャガ―かもしれないのだ。実際にやらせたら予想外の結末(ウケる)だってあり得たかもしれない。この女子はギャグをやりたくないとは一言も言っていないのだ。しかし、こうした意思の確認作業を行う間もなく、出番がなくなってしまった。ただ、これは女子の出番を横取りするためではなく、厚意のもとに行われたものだと思う。おそらくあの時、男子は視線が集まる中で恥をかくリスクから女子を守ろうとしたのだと思う。ギャグの出来味よりも先に女子のリスク回避を優先させた。すると、結果的に男子は救世主のように女子から感謝され、女子も女子でその厚意に甘えて気楽になったことで、両者の間でWINWINの関係性が構築された。どちらも一番納得する形である。このような関係を基に、女子の表に立つ機会が減っていくことが、結果的に芸人界の男女比につながっているのではないかと思う。
そして、女子にしたのと同じ行為を男子に対してしなかった理由としては、異性と同性との接し方に差をつけたかったからだと推測している。接し方を変えることによって、言葉以外で伝わる気持ちを表現できるからだ。男子には助け船を出さずギャグをやらせることによって、女子対する行為の特別感を際立たせているのだと思う。
以上のことを踏まえ、「女性芸人が男性芸人より少ないのは、男性が女性を愛する限り、自ずと女性が表に立つ機会が減るように誘導されてしまうから」という結論に至った。これは、あくまで個人の意見である。また根拠は全くないため、その点を留意してほしい。
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