読みやすい文章のヒントは“クセがすごい”にあった
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:大附 祐貴(ライティング・ゼミ日曜コース)
テレビを見ているとき、ライティングのヒントは突然降ってきた。
「あっ、そういうことだったのね!」と。
ライティングスキルを向上させるために「天狼院ライティング・ゼミ」に通う私。
そこでは課題として2000字の記事を提出しなければならない。締め切りは月曜日の深夜であるため、週末が近づいてくるたびに「あっ、今週も記事を提出しなきゃ!」と筆を走らせている。
課題はビジネス、フィクション……とどんな形式でもよい。
けれども、「エッセイが一番書きやすいよ」と講師の三浦さんから助言があったので、ライティング初心者の私はエッセイを書いてみようと考えた。
しかし、これまで小説やエッセイはほとんど読んでこなかった。
好んで読むのは新書やビジネス本ばかり。どちらかというと「硬めの文章」に慣れていた。
だから、どうしても文章を書いてみると、それに影響されてか、難しい言葉がたくさんあったり、その言葉に関する説明が長くなったりして、とっつきにくい作品に仕上がってしまう。
「難しそうだな、読むのやーめた!」と読者に心を閉ざされてしまいそうな駄作だった。
作った私ですらできれば読み返したくないぐらい……
「リーダビリティ(文章の読みやすさ)を意識して、なるべく難しい言葉を使わないようにして書いてくださいね」と言われているので、とにかくそれを念頭においてやってみようとは思うが、いざ書こうとなるとなかなか表現できない。
「どうやったらリーダビリティを向上させられるかなぁ……」
講義動画を何回も見返してみたり、天狼院書店のWEBサイトに掲載されている優秀作品を見たりして、その文体を見よう見まねで表現してみようとは思うが、すでに身についた「硬い文体」がそう簡単に取れていくわけでもなく……
頭の中では理解したつもりで、さぁ頑張るぞと書いては見たものの、
気が付けば、またしても読みにくい文章が完成してしまっていた。
「どうしようかなぁ……」
うーんうーん、と唸っているうちに、またしても週末を迎えた。
土曜の夜は、必ずテレビを見ることにしている。
最近見だしたテレビ番組のなかに、NHKの「突撃! カネオくん」というバラエティー番組がある。
世の中のお金にまつわるいろんなお話をVTRで紹介してくれるのだが、なかでも、スタジオで司会を務める有吉弘行さんと、カネオくんという番組進行役のキャラクターの“中の人”として出演する千鳥のノブさんのやりとりがお気に入りで、それを楽しみに毎週見ている。
有吉さんがボケて、ノブさんがすかさずツッコむ。
「はっはっは!」と笑いながら番組を見ているときに、「はっ、これだ!」とひらめいた。
ノブさんは今や“ツッコミ”で大人気だ。
たとえば、お決まりのフレーズでもある
「クセがすごい」とか、「どういうお笑い?」とかは、
前述の番組だけでなく、他の番組でも笑いを誘っている。
この2つのフレーズ、まったく難しい単語を使っていないことに気が付いた。
言葉が単純で明快だ! と……
そういえば、前述の三浦さんが「これは読みやすくていいよ!」と紹介してくださった作品に、川端康成の『雪国』という作品があった。
「(引用)国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった」
とても有名な書き出しのフレーズである。
この中に、一切難しい単語はない。
たまたまだろうと思って、太宰治「走れメロス」も調べてみたけれど、
「(引用)メロスは激怒した」
だった。次に続く文章も難しい言葉がほとんどない。単純な言葉で構成されている。
「文豪でも簡単な言葉を組み合わせて作品を作っていたんだ!」
文豪と聞くと、なんか気難しそうで、形容詞とか副詞とかで文章を複雑に見せて、初めて読む人たちに「うおっ、さすがは文豪!」と思わせるような作品を書いてるんでしょ? と思っていた私にとって、意外や意外、びっくりした瞬間でもあった。
ノブさんのツッコミには文豪の文章でも用いられるような「簡単な言葉」を使っている。
ツッコミが形容詞や副詞で飾られていたら、私もめんどくさいなぁと思うけれど、
その言葉が単純で分かりやすいから、一瞬で笑いになる。だから人気があるんだなぁ、と。
そこから、文章を書くときはそこを意識するようにした。
「ノブさんのツッコミのように誰でもわかるようなフレーズ」を使ってみようと。
「天狼院ライティング・ゼミ」では、多くの人に文章を最後まで読んでもらえる確率を上げることを目標としている。
せっかく書いているんだから、私だって多くの人に読んでもらいたい。
だから、難しい言葉や形容詞で埋め尽くされた“クセがすごい文章”を生み出してはならない。
“クセがすごい”というツッコミのように簡単な言葉で構成された文章を目指していく。
「ヒントは意外なところにあるんだなぁ」と思いながら、
今週もパソコンの前で記事を作成するのであった。
***
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