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「親友だよね」はさよならのバロメーター。


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記事:芽野あゆみ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
外出が難しくなったここ1年、私も例に漏れずよくYouTubeを見るようになりました。
つい先日おすすめに出てきたのがピース又吉さんのチャンネル『渦』。
一般の方が作った400字程度の文章を又吉さんが独自の視点で解釈する『インスタントフィクション』や、あるテーマに対して又吉さんが100個の回答を提示する『百の三』など、又吉さんならではのユニークなコンテンツが満載のチャンネルです。
 
その中にあったのが、『信頼できる人信頼できない人の見分け方』という動画。
世の中の信頼できる人と信頼できない人の特徴を、又吉さんの主観で100個挙げるという企画で、「飲み会でトイレに立った途端、トイレの前でスマホを見始める人は信頼できない」という又吉さんの言葉がグサッと刺さったり、「握手する時の握力が強すぎる人は信頼できない」という言葉に「それはない!」と勝手に自分上げしてみたり、又吉さんの鋭い指摘をどんどん聞きたくなる動画でした。
 
その動画を見てふと思い浮かんだのは、「私が信頼できない人はどんな人だろう?」という疑問。
そして真っ先に思いついたのは『親友だよねと言う人』でした。
 
誰かのことを親友だと思うのは素晴らしいことだけど、「親友だよね」とあえて確かめるのは違うのでは、と。
確かめている時点でもう既に疑いの余地あるだろ、と思ってしまうのです。
 
私は今まで、覚えている限り3人に『親友』と呼ばれたことがあります。
 
初めて私を『親友』と呼んでくれたのは、小学5年生ごろに仲良くなった女の子Aでした。
同じクラスだったAは漫画が大好きな子で、それまであまり漫画を知らなかった私に色んな漫画を教えてくれました。たしか当時アラバスタ編あたりだった『ONE PIECE』を教えてくれて、全巻貸してくれたのも彼女です。
彼女とは本当に気が合って、私自身初めて「親友ができた」と思えました。
私は「Aは私の親友」と言い切っていましたし、彼女もそう言ってくれました。心からの自信があったのです。
だけど、小学生の友情って儚いもの。中学校に上がり、クラスは離れ、お互い全く違う友達ができるとあっという間に疎遠になっていきました。
「親友止めよう」なんて言わなくても、親友じゃなくなっちゃったんですよね。
その時に「“親友”って言葉使うの止めよう」と漠然と思ったのを覚えています。友達って、言葉でつなぎとめておけるようなものじゃないんだなと。
 
その後、私を『親友』と呼ぶ人は2人現れました。
1人は高校時代に仲が良かった男子B、そしてもう1人は大学で同じ学部だった女子C。
Bとは本当に仲が良かったのですが、男女の友情って本当に微妙なもので、一旦バランスが崩れるともう元には戻らないんですよね。
仲が微妙になってから、Bは何度も「俺達親友だよな」と口にするようになりました。
それが何だかB自身と私に言い聞かせているみたいで、余計に「あぁ私達はもう元には戻れないんだな」という思いが強くなりました。
そしてCからは出会って1週間で「うちら親友だよね」と言われて、結構怖かった。
 
結局、「親友だよね」って確かめるということは、それだけ関係性に自信がないってことなんですよね。
 
私には昔から仲が良い友達が何人かいますが、『親友』と呼んだことはありません。
その中の1人は高校3年間同じクラスで毎日涙が出るほど笑い合ったし、彼女の結婚式には友人スピーチもして、彼女は300人近いゲストの中から私に花束までくれたけど、それでも『親友』と呼んだことはありません。
だって、一度『親友』って呼んでしまったら、『親友じゃない状態』も有り得るってことになるじゃないですか。それがすごく怖い。
 
「親友だよね」なんて言わないし、別に何でも相談し合うわけでもない。
みんな今はバラバラの地域に住んで、全く違う生活をして、LINEだって返さないこともある。集まれる時もあれば集まれない時もある。もしかしたらそのうち十年、二十年も会わない時も来るかもしれない。
でもそれで良いんです。会おうが会わなかろうが、みんな幸せでいてくれればそれで良いし、その結果みんなで集まったり連絡取ったりできたらただ嬉しいだけ。
 
今調べてみたら、『親友』って『互いに心を許し合っている友。特に親しい友』という意味らしいですね。(goo辞典より)
結局心が伴わなきゃ意味がないんだから、『親友』かどうかなんてどっちでも良いんでしょう。
 
私は今後も彼女達を『親友』と呼ぶことはないし、それを言いたくなった時はきっともう心の距離が離れて寂しくなった時なんだろうなと思います。
だから、「親友だよね」はさよならのバロメーター。
私は大切にしたい友達こそ、親友とは呼ばないでいたいです。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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