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わたしだって努力は裏切らないって言いたいの、今度は!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:佐藤 みー作 (ライティング・ゼミ 超通信コース)
 
 
「センター・レーンが好き!」
かっこ良すぎる!
もう何回繰り返し観ただろうか。是枝監督が撮りおろしの天才スイマー池江璃花子選手のドキュメンタリー。いや、彼女の偉業は「かっこ良すぎる」なんて陳腐な言葉で称賛してはいけないほどの快挙である。そんなことは十分わかっている。
 
でもでも、画面を観ながら言ってしまう。
「わたしだって努力は裏切らないって言いたい!」
 
2年前までの私は完全に舐めていた。
「東京マラソンの抽選に受かったら、練習する!」
そんな甘ちゃんだった私にチャンスの神様は振り向いてくれるはずもなく、その年も見事に落選した。初回から応募しているわけだから、もう何回落選しただろうか。「初マラソンは東京マラソン!」と決めていたけれど、いい加減保険でもかけとくか、と思って申し込んで当選したのが名古屋ウィメンズマラソンだった。しかも、申し込んだのをすっかり忘れていて、参加費の振り込み期日のリマインドメールで気が付いた。ついにマラソンの参加の抽選に当選したのだ!
 
抽選に当選した日はまるで、東京マラソンに当選したかのような喜びだった。名古屋ウィメンズマラソンは完走するとティファニーのアクセサリーがもらえる。しかも、プレゼントしてくれるのはタキシードを身にまとったイケメンのおもてなし隊だ!
 
が、しかし、大会まで、約半年。なんとなく走ったことはあっても、マラソン経験はゼロだった。
 
まずい……。
 
それから、マラソン経験者にわらをもすがる勢いで何をしたらよいのか聞きまくった。とりあえず、わかったのは何も練習をしないで走るのは非常に危険なこと。10キロ、20キロ、30キロとだんだん距離を上げていき、できればマラソン当日1か月前までには30キロを2回は経験するのがベスト。
 
それからは必死だった。それまでマラソンを舐めていた自分を諫めるかのように走りまくった。10キロを走れるようになるまではそうかからなかったが、ハーフマラソンを初めて走った日の脚の感覚はいまでも忘れない。「これの倍走るのか?」と、まるで、生まれたばかりの小鹿のように震える脚を抑えた。
 
それでも、タイムは度外視でなんとかフルマラソン当日までに30キロ走を2回走った。初マラソン当日。経験豊富な友人たちの後をただただついていくだけで迎えたスタートライン。後は、もう、無我夢中だった。タイムなんか関係ない。ゴールすることだけが、目標だった。
 
「こんなにも、こんなにも、42.195キロが長いなんて、どうして誰も教えてくれなかったのー?」と心の中で何度も泣き叫びながら、ただただ脚を動かした。沿道からの応援の温かさをこれでもかと感じながら。
 
ゴールした瞬間は自然と涙があふれ、大げさすぎるのはわかっているけど、アトランタオリンピックの有森さんのように天を仰いだ。5:12:40。目標タイムの6時間を超えていた。
 
すっかり、フルマラソンの魅力にとりつかれた。しかし、去年は軒並み中止かオンラインマラソンだった。
 
そして、今年、2年ぶりのフルマラソンを迎えた。大会は思い出の名古屋ウィメンズマラソンだ。2年前と違い、真面目に練習していた。でも、中止になるかどうかわからない中でのモチベーションの維持には苦労した。「こんなに走っても、中止になったら……」そんな思いが何度もよぎった。初めてのマラソンの時のような準備ができているような気がしていなかった。
 
そんな中、迎えた当日。不安感は否めない上に、前日、大会の受付に向かう途中、本人確認の為の保険証を自分のではなく、間違えて息子の保険証を持ってきているのに気づき慌てて引き返すハプニングまで引き起こしていた。
 
会場に着くと、「そこまでしなくちゃいけない?」という思いを何度かしたが、なんとか、この大会を成功させようという主催者やボランティアのみなさんの気迫に払拭された。「この大会でクラスターを発生させてはいけいない」、「わたし達、これだけ対策しているんだから、大丈夫! 安心して走って!」そんな思いが随所から感じられた。そうして迎えたスタート。強風の中、凍えながら、トップ選手がスタートしてから約7分後、やっと、スタートを切った。
 
沿道の声援は、ほとんどなかった。密を避けるため、応援が制限される中、それでもいろんな工夫をして応援してくれる人々の姿に、頭が下がる思いだった。
 
そして迎えたゴール。4:35;27。パーソナル・ベストだった。
 
「練習できていない」というのは完全に自分の誤解だった。2年前の私はただただ走ることだけが練習だと思い込んでいた。今の私にはコーチや一緒に練習する仲間がいる。筋トレが走ること以上に大切な練習になることを教えてくれていた。底がすり減っているにも関わらず、何年も同じランニングシューズを履き続け、携帯が時計代わりの私にランニングシューズやランニング用の時計が大切な武器になってくれることを教えてくれていた。そして、自分では上げられないモチベーションを上げてくれたのもコーチや仲間だった。ただただ走ることだけでは得られないマラソンに大切なことを知らず知らずのうちに学んでいたのにそれがわかっていなかったのだ。
 
それでも、なにかが物足りない。そんな時に目にしたのが、池江選手のドキュメンタリーだった。
 
今度マラソンを走ることができた時は、自信を持ってスタートラインに立ちたい。遠慮して、後ろの組からスタートしたくない。走る距離も、筋トレもやり切ったと思えるほどやって、ランニングシューズも時計も準備万端、一緒に走る仲間も最高、そして、ゴールしたら、努力は裏切らないって、心から叫びたい!
 
 
 
 
***
 
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2021-04-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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