ムダなプライドを捨てるために
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:蔵本貴文(ライティング・ゼミ超通信コース)
若い人に「完全に負けた」と思った時どうするか?
本当に凄い人がいる。
15歳くらいで世界を戦っているアスリート、楽器一つでヨーロッパで演奏する音楽家、本場ロシアでバレエを踊るバレリーナ、彼ら彼女らは日本を離れ、世界と戦っているのだ。
いやビジネスだったら負けないと思っても、最近は高校生で月に数百万円稼ぐ、ビジネス高校生という人もいるらしい。小学生YouTuberとかもいて、おじさんの立場からするとただただ脱帽するしかない。
そして、そんな彼らを見て、残念な大人が匿名のネットで彼らを非難する
「将来、絶対に失敗するぞ」とか、「子どもは子供らしく、学校に行け」とか、「周りの大人に踊らされているだけだ」とか……。
でも、匿名で攻撃している時点で、名前も顔も公開している彼らには負けているよね。
私は40代のごく普通のサラリーマンである。まだ転落はしていないものの、このご時勢いつ何があるかもわからない。年を重ねても成長して、変化し続けていかなければならない。
だから私は、そんな彼らに敵対心を持つのではなく、彼らから学ぼうと心がけている。
しかしながら、知れば知るほど大きな差を感じ、複雑な思いを感じてしまうこともある。やっぱり、はるかに若い人が完全に自分の上を行っていることを認めるのは、抵抗が大きいのだ。ムダなプライドというやつである。成長の天敵だ。
そんな複雑な気持ちを乗り越えるために、有効な考え方の話をしたいと思う。
簡単なことだ。完全に受け入れるのだ。「若い人の方が優れている」ということを。
例えばアスリートの世界を考えてみると、陸上や水泳など、記録の競技ではどんどん記録が更新されていることがわかる。
昔の人も今の人も同じ能力だとすると、確率的にこんなに世界記録が更新されていくことなどないだろう。だから、若い人の方が優秀なのだ。
これは絶対的な真理だと思う。よく昔の絶対的な王者と現代のチャンピオン、戦ったらどちらが勝つか、みたいな話をしている。もちろん実行はできないが、本当に実行できたら、ほとんどは現代のチャンピオンが勝つのではないかと思うのだ。
これはなぜだろうか? 人間自体が進化しているのだろうか? 昔の人の人間としての能力が劣っているのか?
そんなわけはない。人間の進化はそんなに急には起こらない。
進化しているのは環境である。
つまりスポーツであれば、スポーツ医学の進歩、トレーニング科学の進歩、メンタルケアの進歩、シューズやウェアの進歩、そんな風に技術や環境が進歩していることが多いのである。
トップのプロスポーツの世界は、アスリート一人に医者やセラビスト、メンタルコーチなどが着き、スポーツ用品メーカーの開発担当者がつくという素晴らしい環境にある。
これではテクノロジーの発達していない昔の人が負けるのは当たり前だろう。
そして、これはトップの人に留まらない。単なる高校生の学力でも同じことだと思う。
私が高校生の頃は、例えば英語だと、学校の先生の話を聞いて、分厚い辞書を引いて、日本人だらけの環境で勉強していた。
それが今はどうだろう。学校の先生の話だけでなく、日本でトップクラスの講師の授業もネットを通じて聞くことができる。1コマ数千円ほどで、ネットを使ってネイティブスピーカーから学ぶこともできる。辞書にしても電子辞書で、発音も教えてくれるし、調べた単語の履歴も残る、辞書が単語のテストまでしてくれるみたいだ。
こんな環境にある現代の若者に、まともに勝とうということがまず間違いなのだ。
「俺は紙の辞書にこだわる」だって? 冗談はやめてくれ。ただでさえ若者は肉体的に優位にあるのだ。ツールにまでハンデを与えてどうするのだ。自転車で新幹線を追いかけるようなことはやめよう。
たとえ若者が奇異に見えたとしても、彼らは自分達よりはるかに環境の適応力が高い。彼らの振舞いの方が正解なのだ。
1000年前、当時の最高の知性でも、地球が太陽を回っていることを知らなかった。しかし、今では小学生でもその真理を知っている。
それでは1000年前の学者は、今の小学生より知性が劣るというのか? いやそんなはずはない。
小学生がそれを知っているのは、単に後から生まれたからというだけ。1000年前の学者も含めた人類の知が積み重なり、その肩の上に乗っているだけなのだ。
しかも現在はかつてないほどに、知の進化のスピードが速い時代である。この1000年ほどの変化が、実に1世代以下で起きてしまう。
だから、若者に対して優位に立とうなどと考える必要はない。若者が見ているモノを見よう。若者がすることをしてみよう。そして若者が使っているツールを使おう。
ムダなプライドは捨ててしまって、遠慮なく彼らから学ばせてもらうことこそが、我々の成功にもつながるのだ。
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