歯の矯正は、大人になってからでも遅くない!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:宮崎亜子(ライティング・ゼミ日曜コース)
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「芸能人は歯が命」
これは1995年に放送された歯磨き粉のCMのキャッチコピーで、当時流行語大賞にも選ばれた名言だ。2021年の今、美しい歯は芸能人だけのものではなくなり、一般人でもホームホワイトニング(自宅でできる歯のホワイトニング)を行うなど、歯に対する意識は高まっている。
美しい歯、と言えば、歯の白さももちろんだが、何よりも歯並びが大事だろう。八重歯が可愛い、などと言われたのも昔の話。今や日本でも欧米のように、きれいな歯並びは社会的ステータスとも考えられている。
私も歯並びには昔からコンプレックスがあった。上前歯の右側1本が少しねじれて生えており、他人から見たら気にならない程度だったかもしれないが、自分の中では曲がった歯が大嫌いだった。自分の写真や鏡を見ては口元に目が行き、その都度落ち込んだ。正しい位置に戻すべく、毎晩指で歯をグイグイ押したりもしていた。
そんなことで歯並びが良くなるはずもなく、30歳の時に一大決心し、歯の矯正を始めることにした。
ネットで歯医者をいくつも調べ、自分の歯の状態に近い症例写真がある医院を選んだ。まずはレントゲンを撮ってカウンセリングを受ける。診断名は叢生(そうせい)。幸い、抜歯の必要はなく、他の歯を少し削って隙間を作ることで正しい位置に収まるようだ。矯正のワイヤーが見えることが気になったので、歯の裏側にワイヤーを付ける裏側矯正にしてもらう。費用は約40万円。これに、定期的な診察費等が加わることになる。当時の私の人生史上、最も高価な買い物だった。
そして私の矯正生活が始まる。
始めの頃は、とにかく苦痛だった。柔らかい口の中に、今まで無かったゴツゴツした器具が鎮座しているのだから、違和感は半端ない。歯の位置を動かすには少しずつ、しかし強い力を常に加える必要があり、鈍い痛みが1日中続く。活舌も悪くなり、常に舌足らずな話し方になる。食事中も、ワイヤーに食べ物が引っ掛かり(ほうれん草やネギは特に挟まりやすい)、人と食事をするときは口の中が見えないよう、会話も控えたものだった。
それでも、数か月経過する頃には次第に慣れ、痛みも違和感も気にならなくなってきた。肝心の歯並びも、当初は何の変化も感じずヤキモキしたものだが、徐々に、徐々に、曲がった前歯はあるべき場所に戻ろうとしていた。
私は毎日写真を撮って、変化を記録していた。1日単位で見ると何の変化もないように見える歯は、1か月、2か月単位で比較すると確実に動いていた。嬉しかった。自分の歯を、こんなに大切に思ったことは生まれて初めてだった。
約2年半の通院を経て、私の歯は、整った。
矯正器具を外した瞬間の爽快感と、左右対称に並んだ前歯は、私を長年のコンプレックスから解放し、心から笑顔にした。
あれから何度、人前で歯を見せたり写真を撮ったりしただろうか、と考えると、矯正をして良かったと心から思う。人と話す、笑顔を見せる、という極めて普通の行為にコンプレックスを抱いていた頃が嘘のようだ。
さて、矯正をする前は「子供の頃にちゃんと矯正していれば良かった」と両親を恨んだこともあったが、矯正を終えた今、大人になってから歯列矯正を始めることのメリットもあると感じた。
ここでは3点、お伝えしたい。
1つ目は、矯正をしていることが周囲にポジティブに捉えられること。
私は裏側矯正だったので気付かれることはほとんどなかったが、あえて自分から「今、歯の矯正してるんだ」と言うと、興味津々で質問をされることが多かった。
「どこの歯医者?」
「いくら位かかる?」
「私もやりたいんだよね」等々。
大人になって歯の矯正をしていることで、逆に「歯の健康意識の高い人」というポジティブな目で見られるのは意外だった。
ちなみに、子供の頃に矯正をしていた友人は、当時友達に「お前、子供なのに入れ歯してやんのー!」とからかわれたことがある、と語っていた。確かに、子供には歯列矯正の意義が実感しにくいかもしれない。大人だからこそ、矯正に対する共通の価値観が持ちやすくなるのだろう。
2つ目は、歯に対する健康意識が高まること。
矯正にはお金がかかる。私も、部分矯正とはいえ多額の費用を投じた。身銭を切っているからこそ、この歯を大事にしなければ、という想いが強くなった。
矯正後も、虫歯にならないよう歯磨きを丁寧に行う、定期的に歯医者で検査を受ける、という習慣がついたのは、長い期間と高いお金をかけて自分の歯に向き合ったからだ。
そして3つ目は、ダイエット効果だ。
ワイヤーでの矯正が終了した後、後戻りを防ぐためにプラスチックのマウスピースをつける期間がある。このマウスピースというのが曲者で、食事の時以外は常につけていなければならない。つまり装着中は食事ができないのだ。それまでは、仕事中にチョコレートやビスケット等のおやつをつまむ習慣があったが、それが一切できなくなった。最初は口さみしさを感じ、何か食べたい! とイライラすることもあったが、ちょっと食べるためにわざわざマウスピースを外し、食後にまた歯を磨いて付け直す、という作業の面倒くささが勝った。ちなみに、コーヒーなど色のついた飲み物も飲めないため、基本的に飲み物はお水。この食生活の改善によって、マウスピース期間中に2~3kgは体重が落ちた。これは意外な副次効果だった。
もし歯の矯正を躊躇っている方がいれば、ぜひ早めの行動をおすすめしたい。大人になってからでも、決して遅いことはない。歯は一生もののお付き合い。早く始めた分だけ、美しい歯で過ごせる人生が長くなる。そしてその人生は、あなたの笑顔を今よりもっと輝かせる。
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