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RE:青い鳥を探して


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記事:Mizuho Yamamotoさま(ライティング・ゼミ)

メールありがとう。今を生きる若い人々に、
どんなアドバイスができるのだろうと考え込
んでしまいました。

幸せの青い鳥は、手に入れられずにがっかり
してうちに帰ると、自分の家の鳥かごにいて。
隣の子がそれを欲しがっているとおばあさん
に言われ、貸してあげると病気が治り。でも、
エサをやろうとしてかごを開けたら逃げてし
まった…… チルチルとミチルの物語。

人生って、そんなものなんですよね。

頑張ってみても結果は出ず、しかし、思わぬ
ところに幸せが潜んでいた。でもまたそれが
逃げていく。

私が子どもの頃の日本は、戦後の復興著しく
右肩上がりの国でした。終身雇用で父さんた
ちは企業戦士だったけど安定した生活。エコ
ノミックアニマルなんて呼ばれてました。母
さんたちは「専業主婦」という名の、家事と
育児をすべて賄う家庭内労働者でした。

家事がどんどん便利になり、電気炊飯器、洗
濯機、冷蔵庫、テレビ。父さんの働きで新し
い電化製品を次々に手に入れていくのが、国
民のスティタスでした。それに、自家用車、
エアコン、そしてカラーテレビ。テレビが普
及し始めると「一億総白痴化」なんて言われ
たり。

それぞれの家庭が、次々にそれらを手に入れ
「一億総中流化」なんて言われたり。あっ、
今は「下流老人」と騒いでいますが。

その前の戦時中は「一億総玉砕」つまり、日
本人が赤ん坊から老人まですべて戦って死ぬ
までアメリカに抵抗するのだ! という思想
だったんです。

そして今、「一億総活躍社会」ですか?

あの~、一億って0歳の赤ちゃんも、100
歳のお年寄りも数に入っているんですけど。
0歳児の活躍っていったい?

非正規で収入が少ないから結婚できない、頑
張って結婚しても子どもを産むと預け先がな
い。でも働かないと食べていけないし、なの
に子どもを預ける保育園に入れない……

父さんだけが働いて、母さんが家で子育てと
家事をする時代は考えなくてよかったんです
が、今やそんな男女の役割を分けている国は、
なかなかありません。日本だって例外なく夫
婦で働き、夫婦で家事と育児をするのが当た
り前になりつつあります。

じゃぁ、夫婦が仕事に行っているとき子ども
はどうする? 

保育園に預けるのが筋でしょう。祖父母宅へ
は飛行機で行かないと…… という家族の何
と多いことか。だったら、自宅か会社に近い
ところに子どもの預け先があってしかるべき
です。

なのにそれが叶わない。さあてどちらかが仕
事を辞める? 父さんが辞める家庭は少ない。
昔の思想が生き残っていて、男は外で女は内、
育児は母親がするものだから?

でもですよ。母さんの方が仕事の能力があり
収入も良かったりする。さぁ、どうする?

主夫はまだまだ少数派。だったらやっぱり共
に働きたくはないですか? なぜか父さんた
ちの声がまだ小さい気がしますが。

小中高と勉強して、日々の生活を犠牲にして
勉強して、よりよい未来を手にするんだ! 
って。大学や専門学校でも頑張って、大学生
は3年になると黒いスーツ着て「就活」なる
ものをして。来る日も来る日も会社訪問で、
次々にお祈りメールを受け取って…… 。落
ち込みながらも何とか就職。

しかし、やっと入った会社はブラックだった
り、何だかうまく行かなかったり、こらえき
れずに辞めると、我慢が足りないと言われ。

それでも頑張ってまた就職して、何とか結婚
して、待望の子どもが生まれても、手放しで
喜べない。どっちが会社を辞める? なんて
いう状況になったら、子どもを愛せない。

ちょっと振り返ってみよう! 楽しかった「
今」はこれまでにあったのだろうか? 未来
のために頑張れば、いいことが待っていると
探し求めた結果が、これだとしたら。せつな
すぎる。

でも、最近の若者たちってえらいと思う!
小さな幸福をみつけるのが上手だから。

昨年末の話。

「冬のボーナスもらったらどうする?」

「う~ん、コンビニのスイーツおなか一杯食
べたいなぁ」

「それいいね!」

友人から聞いた職場の若者の会話。
私たちの時代は、ブランド物の服やバッグを
買い、高級レストランに行き…… 。
パーっと使うのが普通だった。貯金も少しは
したけれど。

確かにボーナスの額は減っているけれど、で
もそこまで落ち込んでいない職場でのこと。

身の丈以下のささやかさで幸せを感じられる
のは、今の若者の特技です。

「ささやかな幸せをつかめる社会」で何が悪
い!

いつもいつも先の幸福のために我慢して、自
分を律して、たどり着いた先が今の社会なら

「いち抜けた!」

でもいいかもしれない。

「今」のささやかさを楽しんでいいと思うよ。
若者たち。

今日は空が晴れてうれしい!

トーストの焼け方がきれい!

テレビの星座占いが1位だった!

ランチのお店が空いていた!

この仕事を済ませたら定時で帰れる!

帰りにバルでビールを1杯飲もう!

ささやかの積み重ねは、「幸せの青い鳥」を
心の中で飼うのと同じかもしれない。

ごめんね。うまく答えられなくて。
でも、これからを生き抜くには、そんな姿勢
が大事だと、人生の先輩は思うのでした。

 

***
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2016-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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