4月20日創刊の文芸誌「小説BOC」が未だかつてないほどめちゃくちゃ面白い件について《全力で文芸誌を売ろう 第一回》
「すげえ」と、自然に声が漏れた。
「すげえ、何これ、すげえ」
思わず、横にいた海鈴の服の裾を、ぐいぐいと強く引っ張った。
「え、何何」
「ちょっと、やばい、何これ、見て」
たまたま見ていたツイッターのタイムラインから流れてきた情報に、興奮が収まらなかった。
【小説BOC 4月20日 創刊】
新しい文芸誌が、発売するという告知だった。
***
書店員なのにこういうことを言うのはどうなんだとも思うのだけれど、私は文芸誌を読んだことがない。
いや、文芸誌を読む気がないわけではまったくないのだけれど、どうしても、あの細かい字が分厚い雑誌にびっしりと敷き詰められているところを見ていると、目がシパシパしてくる。小学校のときによく配られた薄っぺらいプリントみたいな匂いがする紙に、眼球の水分を全部奪われているような気がしてきてしまうのだ。
だから、文芸誌の表紙に好きな作家の名前や、面白そうな特集や、新しい受賞作の発表を見ても、手に取る気にならない。
雑誌を読むのは好きだ。新しい雑誌が出ると必ずチェックしてしまう。ファッション誌もライフスタイル誌もメンズ情報誌もカルチャー雑誌もデザイン雑誌も文具雑誌もなんでも読む。
でも、どうしても、文芸誌だけは読む気になれない。小説を読むのは好きなはずなのに、それが雑誌に載って、あの小さい文字になった途端に、自分には不釣合いの、頭がいい人しか読めないもののように感じてしまう。私なんかが読んでいい本じゃないような気がしてくる。
だから、驚いた。
これほどに興味を引かれている自分自身に、とても驚いてしまったのだ。
「小説BOC 創刊」という文字を見た瞬間、直感的に、「あ、売らなきゃ」とはっきりと思った。
これも、書店員として言うのはどうなんだと自分でも思うのだけれど、ぶっちゃけてしまえば、私は「売らなきゃ」という義務感にかられることは、あまりない。
三浦さんがよく言う「売らなきゃ」という使命感もよくわからなかったし、「売れればいいな」はあっても、「売らなきゃ」と思うほどの強い衝動にかられることは、ほとんどなかったのだ。
なのに。
「これは、売らなきゃ」
口に出して、海鈴にも確認するように、はっきりと宣言した。自分自身に言い聞かせているような気もした。
普段あまりタイムラインをチェックしない私が、たまたまその瞬間にその告知を見つけたことにも、何か、運命的なものを感じてしまったのかもしれない。
とにかく私は、中身も、どんな小説が掲載されるかもよくわかってもいないのに、その場で電話の受話器を取った。
「あの、新しく出るっていう雑誌、いっぱい売らせていただきたいんですけど」
よく考えもせず、衝動的に、中央公論新社の営業部の電話番号を押していた。
***
雑誌の発売日を気にするのなんて、いつぶりだろう。
きっと小学生の頃、りぼんを毎月買っていた頃ぶりだろうと思った。
私はそのとき「満月をさがして」という漫画が死ぬほど好きで、毎月発売日に必ず本屋さんに行ってなけなしのお小遣いを使って買っていた。たまに土日を挟むせいで発売日が遅れたりすると、その1日は気が気じゃなかった。あの話の続きはどうなったんだろう。満月はタクトとどうしたのだろうか。このあとは何を話すんだろう。
発売日には、学校から帰ったら速攻でりぼんを買いに行って、慈しむようにページをめくった。続きが気になるのに、すべてを読み終えてしまうのが怖くて、なるべくゆっくりと読もうとするのに、あっという間に終わってしまった。
20日、発売日に、「小説BOC」を手にしたとき、あの小学生の頃の気持ちを思い出した。子供みたいにわくわくして、送られてきた雑誌の箱を開ける。ただのダンボールが、まるで宝の箱みたいに見える。
手にとって、ぱらぱらとめくって、確信した。
ああ、やっぱり。
この雑誌、めちゃくちゃ面白い。
スタッフ川代です。
と、いうわけで!!
中央公論新社から、新しい雑誌「小説BOC」が発売になりました!!
いやー、もう読み出して、興奮がとまらない。
何しろ量が多いので、まだ全部は読みきれてないんですが、もうワクワクがやばいです。これマジで面白いです。
今まで文芸誌ってどうしても手に取る気にならなかったという人も、ここから導入していけば文芸誌の面白さにはまるかもしれません。
事実、私もそうです。
文芸誌ってこんな面白いんだー!! すげー!! ともう興奮が治まりません。
いやあ、文芸誌ってこんなに面白かったんですね。(おい)
こんなこと言うと出版社の方に怒られそうですが笑。
これを読み終わったら次はどれを読もうかな? とテンションの上昇を抑えられません。
ということで、「文芸誌を全力で売ろう」企画、始動です!!
面白い文芸誌をどんどん紹介していきますので、お楽しみに!
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