切り替え上手、万歳!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:前原正子(ライティング・ライブ福岡会場)
「新婚旅行は、どこ行きたい?」
「イタリア!」
彼に聞かれて、悩むことなく即答した私。優柔不断な私は、いつもなら、「ん〜、どこがいいかなぁ〜。観光もいいし、リゾートでゆっくりもいいなぁ〜。どっちがいい?」と、自分の悩んでる気持ちを伝えつつ、相手の意見を求めるのが、本来の私のスタイル。でも! 今回ばかりは、彼の持ち前の『即断即決』という切り札を私が出した。
イタリアは、私にとっての夢の国。
それは、ある映画の影響だ。イタリアを舞台にした映画といえば……『ローマの休日』『ゴットファーザー』『007』と有名どころはたくさんある。
私の目がハートになり、私も大好きな人と一緒に、そこからの景色をこの目で見てみたい! と思わせた映画は、『冷静と情熱のあいだ』だ。
え?! 知らない! という方の為に……。
江國香織&辻仁成によるベストセラー小説を基に、約20年前に公開された感動のラブ・ストーリー日本映画である。作品の中では、日本とイタリアが舞台となっており、日本にいる私も一緒にイタリアへ留学した様な感覚に陥り、イタリアに行きたくなってしまうのだ。順正役の竹野内豊と、あおい役のケリー・チャンが、日本で約束した『10年後イタリアでの再会』を、実際に叶えれるのか……。その場所が、イタリアにあるのだ! そう! フィレンツェのドゥオーモだ! 正式には、『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』のクーポラで会うこと。この10年の月日の中で、色んな事が起こり、ドキドキハラハラ……からの〜!!!
というわけで、私は、絶対、新婚旅行で大好きな旦那様と、クーポラに登って、絶景をみる! と結婚する10年前から決めていた。ので、即答できたのだ。
もちろん優しい彼は、私の希望を叶えてくれた。
彼は、基本的にこだわりが少なく、即断即決の人だという事を、結婚披露宴の打ち合わせで思い知った。ので、新婚旅行のプランは、一旦私が熟考して、悩んだところを彼の意見を聞くというやり方にした。という私も、『クーポラに登る』しかこだわりがなかったので、それが出来るプランを旅行会社の店員さんに探して頂いた。店員さんにも、どうしても登りたいんです! とこの熱い想いを伝えた。冷静かつ情熱的に。
すると、予算内の費用、予定通りの日程で、『クーポラに登る』プランが入っているツアーが1つだけあった。即決した! これしか(クーポラに登れる手段は)ない!
もう幸せすぎて、エンヤの曲が頭の中を終始流れる。あのシーンが脳内を占めている。ある意味、病気だ。
遂にこの日がやってきた!!!!
あ〜、やっと!!!!
あの赤煉瓦の屋根。あのてっぺんに登るんだ! 結構階段がきついと聞いていたので、めっちゃ覚悟していた。
え?! なに?!
どういうこと?!!!!
ツアーコンダクターの方からのひと言で、私は崖の上から突き落とされた。
「今日は、お休みのため、周りからしか見れないようです。クーポラには登れません」
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
酷い! ひどい! ヒドイ!
私の新婚旅行の最大の目的が……。
直後の私の態度と言葉は、想像つくに違いない。
大好きで結婚の約束をしていた彼から、急に別れを告げられたような感じだった。
何で?! 何で?! あんなに約束したのにっ!!!
そう。
何で?! 何で?! あんなに、(旅行会社の店員さんに)「ちゃんと登れますか?」って聞いて、「大丈夫です!」って言われていたのにっ!!!
彼が大変だ。こんな私の火事を消火しなければならない。周りのツアー参加者には到底消せないし、ましてや、この火を私は見せようとしない。一応、ちゃんとした空気読める大人なので。
もれなく彼にだけ見せていた。
すると、普段から穏やかな彼がひと言。
「よかったじゃん。また、ここに来る理由ができて。また、一緒に来よう!」
キューン。
あ、こんな彼の返し方が、好きになった所のひとつだった!
一瞬で消火された。全焼せずに済んだ。
マイナスな状況をプラスに捉える事が出来る。彼の特技だと思う。恐らく、今まで育ってきた周りの環境の影響だと思われるが、瞬時にそう切り替えせる彼を、私は尊敬する。
もし、マイナスの感情のまま過ごしていたら、きっと、その後の食事や観光、ショッピングさえも楽しめなかったと思う。そして、新婚旅行自体が、嫌な思い出になってしまっていたに違いない。
だが、一瞬で、冷静にプラスに捉え直せたおかげで、その後をしっかり楽しめたし、味わえた。正直、9年前の新婚旅行であるが、ネタにしちゃうぐらい根に持っている私がいる。だが、新婚旅行自体は、めっちゃ楽しかった! と言える私もいる。プラス、将来また彼と『クーポラに登る』という計画が出来たのは、大きな副産物だ。もし、あの時登れていたら、また来よう! には、なっていなかったと思う。そして、彼に『キュン』という感情もなかっただろう。
マイナスをプラスに、瞬間的に切り替える。
マイナスな状況は、日常的によく出会う。仕事の場面でも、プライベートでも。でも、よくよく考えると、マイナスな状況かプラスの状況かどうかは、捉え方次第だという事。自分次第で、どちらにも感じられる。
同じ状況であれば、プラスに捉えて、その瞬間を味わい楽しみたいものだ。
主人が60歳の還暦のお祝いに、イタリア旅行へ行こう! そして、クーポラに登ろう! その為にも足腰を鍛え、イタリア通の友達を作り、長期滞在をして、その日急遽休みでも、「あ、じゃ、明日登ろ!」と切り替えれるようにしちゃお!
そして、その前には、『冷静と情熱のあいだ』を観直して、イメトレしよっと♪
***
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