私が本が好きになった理由
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記事:おくの(ライティング・ゼミ・集中コース)
天狼院書店のHPを見ている人は、普通の人よりも本が大好きだろう。
あなたが、本を好きになったきっかけは何ですか?
本が好きになったきっかけ。それは、きっと人それぞれだ。
私が本を好きになったきっかけ。
それは、ある人の朗読を聞いた時だった。
私が本を読み始めたのは、小学1年生の時。
我が家には「子供はテレビを見てはいけない」というルールがあった。
テレビを見ている暇があったら勉強しなさい! という事だったのだろうけど、私は勉強が得意な方ではなかったので、夜の暇つぶしに教室の本棚に並んでいた本を片っ端から借りて読んでいた。
当時、低学年の教室にあった本といえば「シートン動物記」や「こまったさんシリーズ」「ズッコケ三人組シリーズ」それに「歴史の漫画」などだった。
小学4年生の時、クラス替えがあり担任がK先生になった。
K先生は、毎日A3サイズの学級通信を書いて配ってくれていた。当時は今の様にPCなんて便利なものはなく、全部手書きで書いたものをプリントしてくれていたのだ。
それがまた面白い! その日にあった出来事への感想、先生が見つけたクラスの子のいいところ、給食の感想などが書き留めてあり、毎日毎日それを読むのがとっても楽しみだった。
K先生はそれだけではなく、帰りの会で毎日、本を少しずつ朗読して読み聞かせてくれていた。
ある、夏休み前の朗読の時間。
「今日からこの本を読みます。これを朗読しながら先生は絶対泣きます。」と、笑いながら宣言をし、読み始めた。
本の題名は、おとなになれなかった弟たちに……
この本は、太平洋戦争の日本を舞台に書かれていて、主人公は当時の私と同じ小学4年生の男の子の話だった。
先生は、宣言通り泣きながら読んでくれた。
ただ、泣きじゃくりすぎて全く話の内容がわからない!
先生! 何言ってるの全然わからないよ!!
最初は、そう言って笑いながら聞いていたクラスメイト達。
しかし、最後には話の内容がわからないのに、クラスメイトのほとんどが先生につられてもらい泣きをしていた。私ももらい泣きした1人なのだけど……
私は先生がどうしてあんなに泣いていたのか、話の内容が気になり図書室でその本を借りて読んだ。
「おとなになれなかった弟たちに……」
その本を読んで、私は大号泣した。
今まで読んできた本とは違っていた。
話を読み進めると、主人公の気持ちが私の中に流れ込んできたのだ。
主人公の、その時見て感じていただろう風景が頭に浮かんできた。
強烈な悲しみと何とも言えない苦しみが心に刻まれた気がした。今まで感じた事のない、ものすごく不思議な感覚だった。
私はその本を読んで、初めて主人公の気持ちになり本の世界に入りこめたのだった。
本の世界に入り込む事を知ってしまった私は、本が大好きになった。
本を読めば、子供の私でもどこにでも行ける。何にでもなれる。おいしいものも食べられたし、苦しい冒険や幸せな体験もできた。
小説だけでなく、たくさんの漫画も読んで恋愛体験もたくさんした(笑)
ただ、恋愛漫画に関しては……。
現実とのギャップがありすぎ。
恋愛漫画のような男の子は現実にいない!! という事を学んだ。
私が本を好きになったきっかけを作ってくれたK先生。
今は、もうどこにいらっしゃるかわからないけれど、できる事ならもう一度お会いしたい。先生のおかげで、本が好きになりました! とお礼を言いたい。
もう、あれは30年ほど前の事なので定年されていると思うけれど……
大人になった今では、空想の世界に入り込むだけでなく、作家さんの言い回しや心地よい話のテンポ、面白い言葉遊びなども楽しめるようになっている。
そんな話をK先生に聞いてももらえたらいいな。
私にとって、本を読むことは心の旅行だと思っている。
これからも、たくさんの本を読んで、たくさんの事を学び、いい言葉を吸収して、心が豊かな大人でいたい。小説だけでなく、自己啓発やビジネス書などいろいろなジャンルの本も読んで知識をつけていきたい。
あなたが本を好きになったきっかけは、どんな事でしたか?
あなたにとって、本はなんですか?
そのきっかけを思い出してもらえたらいいな。と思って、今回この文章を書きました。
今の時代、ブログやnoteなど本以外の文章を簡単に読む機会が増えている。
でも、本はそういうものと違う面白さがたくさんあるんだよ。と周りの人にも知ってもらいたい。
私も、いつか。
K先生の様に、誰かが本を読むきっかけを作ってあげられたらいいな。
***
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