海を越えた「おれおれ詐欺」と「ドラッカー」
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記事:たむゆう(ライティング・ゼミ)
最近、驚いたことがあった……。
久しぶりに会うシンガポール人の友人と会話をしていたら、
「先日、びっくりというか奇妙なことがあったのよ」
「なにがあったの?」と私。
「電話。知らない番号から電話がきてね」
『お母さん、ぼくだよ、ぼく』
「えっ!」
『ぼくだよ、あなたの息子だよ。助けてほしい……』
「……わたし、子供いないけど」
「プチって電話が切れたの、変な電話だったよ」
私は言った。
「それって、おれおれ詐欺じゃないかな。日本で流行っている詐欺だよ」
友人に説明。予想以上にびっくりしている。
「おークレイジー。日本は、すごいね。詐欺も知能的なのね」
なんか感心している。思わず笑ってしまった。
「それで、そのおれおれ詐欺でどのぐらいの被害がでているの?」
「少しまってね。調べるから」
グーグルから検索し、マイナビニュースを見てみると、
「2015年特殊詐欺の被害総額は、約477億だよ。他に似たような詐欺被害も入っている数字だから参考程度だね」
「わあお、すごい数字ね」
「会社にしたらすごい儲かってる!」
と冗談を交えて言っているが、ほんとに驚いているようだ。
「日本人は騙されやすいの?」
「うーん、高齢者をターゲットにしているから、騙される人も多いかもしれない」と私。
「あと、日本人は離れて暮らしている人が多いからね。離れて暮らしていると会うことがないんだよ」
友人は、「うんうん」とうなずく。
「だから、騙される人もいるんだろうね」
「そうなのね……。日本人は家族を大切にしていく文化が薄れているのよね」
と友人。
よくここまで知っているなと感心している私。
まだ、質問が続く。
「どうやってお金をとっていくの?」
「おれおれ詐欺は、営業スキルがないとできないよね?」とか
「カンペがあるのかしら?」など。
私は、よくは知らないが、
「カンペというか、マニュアルがあるんじゃないかな。パターンが決まっている気がするからね」
友人は言った。
「日本人はマニュアルが好きよね。マニュアルに書いてあることをやってくださいというと、世界一ね。だから、良い製品が生まれるのね……トヨタなどね」
日本が大好きで文化までまめに調べている友人は、おれおれ詐欺を日本のものづくりに結びつけているようだ。たしかに、そういう考えることもできるのか、と私は感心した。
おれおれ詐欺は組織化されているとよく聞く。
緻密なマニュアルを作成し、リスト先に1件1件電話をしていき、ターゲットを絞っていく。まさに、一般企業の営業ではないか。「マネジメント」が機能している組織なのだ。
ただし、残念なのは、それは犯罪であること。そして、人を不幸にする行為。
こんなに、完璧なマニュアルと地道な営業ができるのに社会の為に生かせないのか。
それは、おれおれ詐欺の目的が「お金」だからだと思う。
「お金」を楽して稼げばよい。「お金」を楽して稼げるのなら、人をだまして奪ってもよい。
騙される人が悪いのだという考え方だ。その目的を掲げると、「楽してお金を稼ぐ」ことが目的のメンバーが集まってくる。目的が一緒の組織がつくられ、完璧なマニュアルがあり、多くの電話先リストがある。
これは、ドラッカーのマネジメントの3原則に似ている部分がある。
ドラッカーのマネジメント論を書いた、「マネジメント」に定義がかかれている。
ドラッカーの「マネジメント」の定義は、道具・機能・機関である。
このドラッカーの「マネジメント」の定義に当てはめると、道具は完璧なマニュアル、機能は、マーケティングと位置づけしているが、要はターゲティングである。これは、高齢者の電話先リスト。機関は、組織。この組織は目的に向かって、一つの方向にむかっていることが重要である。この一つの方向性に向かっているのは、「楽して儲けよう」という方向性だ。
もしかしたら、おれおれ詐欺のリーダーは、「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の本を読み、マネジメントを理解し、詐欺集団を作ったのではないか、と思うほどの組織である。
もし、詐欺集団のリーダーが「人の笑顔がみたい」という目的を掲げる組織を作ったとしたら、社会に大きな貢献をしていたのではないかと思う。
被害総額、約477億の売上を誇る、いやもっとそれ以上の貢献をしていく会社を作りあげられたかもしれない。
最近、「マネジメント」はよく聞くことば。多くの経営者、リーダー、マネージャーにとっても必要なスキルであり、企業の成長の課題となっている。
逆に、このおれおれ詐欺では完璧な「マネジメント」ができている。
それは、目的が明確だからかもしれない。「楽して金儲け」である。
「マネジメント」に悩む企業、経営者、リーダー、マネージャーは、目的の明確化がものすごく重要だということ。自分の仕事がどこに向かってだれに貢献しているのか、そして、自分にどれぐらい見返りがあるのか…、具体的に示すことが「マネジメント」の極意ではないだろうか。この目的に行動と成果がでてくると、人が集まってくる。この人たちは、目的に共感している人たちがあつまっているので、一つの方向に向かって進む、組織が作り上がっていくのだろう。
ちなみに、友人あての電話は、香港からの電話だったらしい……。
おれおれ詐欺は、海を越えていく。
おれおれ詐欺をここまで大きくしたのは、「マネジメント」である。
「マネジメント」次第では、組織あるいは、国が変わってくるのだろう。
「マネジメント」の重要性が詐欺組織からもわかってくる。
「マネジメント」の悪用は禁止だな。
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