【決意表明】私、スタバ行きます！
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記事：遠藤 誠（ライティング・ゼミ）
「トールホワイトモカノンティーマンゴーパッションフラペチーノ」
スタバによく行くという女の子から教えてもらったことがあるメニューだ。
解読すると、
「トールサイズ、ホワイトモカシロップを追加、紅茶抜き、マンゴー、パッションフルーツ、フラペチーノ」
らしい。合ってるの？
……いや、もうね、メニューじゃないよこれ。
呪文よ、呪文。気分的には「南無阿弥陀仏」と同じ。唱えてるだけで心、救われそう。
まず、トールサイズが何か分からない。調べてみると、スタバのドリンクのサイズは四種類あるらしい。
ショート・トール・グランデ・ベンディ
ショートとトールはわかる。英単語でも”short”と”tall”ってあったから。サイズ的には「ショート＜トール」なんだろう。
しかし、グランデとベンディ、お前たちは一体何者なんや……
わからなかったのでとりあえず「グランデ」で検索してみる。検索結果を要約すると、
「中世や近世までのカスティーリャ王国などの宮廷において存在した慣習。
国王の前での脱帽あるいは起立の義務を免除される特権を持つ者が存在した。こうした特権保持者が”グランデ”である」
……グランデ、お前特権保持者だったんか。めっちゃ地位高いやん！
じゃあグランデが一番大きいサイズか、と思ったら、実際は「グランデ＜ベンディ」のよう。なんでや……
ちなみにショートとトールは英語、グランデとベンディはイタリア語らしい。「混ぜるな危険」と言ってやりたい。
ホワイトモカシロップ
なんだこれ。どこのご家庭にもある調味料……ではないはず。少なくとも、私の実家には無い。
スターバックスのホームページを巡っていると、答えが！
どうやらホワイトチョコの風味がするシロップらしい。でもホワイトチョコではないらしい。難しい……
ノンティー、マンゴー、パッション。これはまだわかる。”ノン”がティーの接頭辞になっているんでしょう？
でも、確か大学のフランス語の授業で”non”という言葉を学んだ。これ、フランス語からきてるんじゃない？
そうだとしたら、英語・イタリア語・フランス語が混ざっていることになる。もう一度「混ぜるな危険」と言いたい。なんなら社長に直訴したい。
フラペチーノ
でた、フラペチーノ。”フラッペ”と”カプチーノ”を合わせた造語だと聞いたことがある。
しかもその発祥はスタバだそうで。ドリンクだけじゃなく言葉まで作っちゃったのか。
よく聞くワードだけども、実は未だに食べたことはない……
以前からずっと、一度はフラペチーノとやらを食べてみたいとは思っている。もちろん、 トールホワイトモカノンティーマンゴーパッションフラペチーノも。
だがしかし、どうしてもスタバに入れない。入らないんじゃなく、”入れない”のだ。
その理由はまず、注文の長さ。
”人見知り”な私は、コンビニのレジに向かう時でも、ちょっと緊張してしまう。緊張すると活舌がうまく回らなくなってしまうのだ。
そんな状態で
「トールホワイトモカノンティーマンゴーパッションフラペチーノを一つください」
なんて流暢に注文できる自信がない。
もしできる人がいるとすれば、その人はネイティブ・スタバ民に違いない。私のようなノンネイティブには、しばらく訓練が必要なのだ。
そして二つ目の理由が”Mac Book”だ。
スタバの前を通ると、かなりの割合でMac Bookを広げている人がいる。
最近なんて、「＃スタバでMac Book広げてドヤ顔」ってタグが作られるほどに一般化している。
ある意味、スタバに入店するためのパスポートのようなものになっているといっても過言ではない。
いや、別にそれが悪いとか、そういうことが言いたいんじゃない。
それはそれで一種のトレンドとなっているし、本気で仕事や作業に向かうためにそうやっている人が大半だと思う。
私だって、マクドナルドやドトールでノートPCを広げて作業することも多い。だけど、スタバでは、できない。
何が言いたいかというと、
私、Windowsユーザー、なんですよねぇ……
Mac Book、持ってないんです。持ってるノートPC、Acerの製品なんです……
12インチのスタイリッシュなMac Bookが並んでるなか、15.6インチのめちゃくちゃ分厚いAcer広げて作業してたら、めっちゃ浮くじゃないか。
人見知りであると同時に、公な場では目立ちたがらない私にとって、それはかなり酷なこと。”見せしめの刑”といってもいいくらい。
これは完全な被害妄想だが、
「あれ、あの人Mac BookじゃなくてAcer使ってんじゃん（笑） てかあんなデカいの、持ち運ぶの面倒そうじゃない？ （笑）」
とか周りの人に思われるかも。
そう想像してしまうと、不安とか”恥ずかしさ”が混ざり合って、店へ向かう足を止めてしまう。
そう。
散々やれメニューが長いとか、やれ言葉がめちゃくちゃだ、とか言いながら、結局は自分が原因なのだ。
”人見知り”と”恥ずかしがり”、この二つの自分の汚点から目を背けたいがために、スタバに入店することを拒んでいたのだ。
そんな私だが、心の隅っこでは「社会でバリバリ活躍したい！」とか、思ってたりする。
でも、実際に社会の第一線で活躍している人のほとんどは、きっと堂々としているだろう。決して、”人見知り”や”恥ずかしがり”ではないはずだ。
理想の私になるためには、きちんと今の自分と向き合わなければならない。
言い換えれば、社会で活躍するためには、まず”人見知り”と”恥ずかしがり”を克服しなくてはいけないのだ。
その第一歩として、私はスタバでフラペチーノを注文し、堂々とAcerを広げて作業をしようと思う。
「そんな決意か（笑）」と一蹴されるかもしれないが、これは私にとって、自分との闘いである。そして、理想の自分へ近づく大きな一歩だ。
よし。明日、スタバ行くぞ。
トールホワイトモカノンティーマンゴーパッションフラペチーノ。
トールホワイトモカノンティーマンゴーパッションフラペチーノ。
レジでちゃんと言えるように、今から練習しておこう。
＊＊＊
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