母乳について深く考えれば、大人の健康は手に入る。
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記事：ゆりりん（ライティング・ゼミ）
「母乳を飲んだ記憶、ありますか？」
この質問に対してほとんどの人はないと答えるだろう。もちろん母乳育児ではなかった人もいるかもしれない。飲んで育ったが、覚えていないという人が大半だと思う。
私もそのひとりだ。母が私に母乳を与えている写真を見て、「私も母乳を飲んで育ったんだな」と思う程度である。
記憶にない小さな存在だが、実は数多くの栄養素を含んでいる優れものである。
タンパク質や脂肪分、乳糖、ビタミン類、ミネラル、塩分、ホルモン、酵素。
書きながら、こんなにたくさんあるのかとびっくりするほどだ。赤ちゃんが成長発達していくのに必要なものがすべて、しかも適量含まれているのである。
さらに免疫を赤ちゃんに受け渡すという大切な機能もある。出産してから２〜３日の間の母乳を「初乳」というのだが、初乳には免疫物質が多量に含まれており、赤ちゃんは初乳を飲むことで細菌やウイルス、アレルギーから身体を守っているのである。
こんなに素晴らしい働きをもつ母乳。しかし赤ちゃんは、栄養のことを意識して飲んでいるわけではない。喉が乾くから、お腹がすくから飲んでいるのである。とても無意識で、当たり前の行為だ。
「今日は、ミネラルが不足しているから飲もうかな」
「お肌のためにビタミン補給しようかしら！」
「酵素が最近ブームだから、飲んどくか」
こんな風に思って母乳を飲む赤ちゃんはひとりもいないだろう。いるなら相当IQが高い。当たり前の行為だが、意識した途端にとても身体に効果的だったと気づくものだ。
これほど健康に効果のある母乳だが、一般的な大人は飲む習慣はないだろう。飲んだとしても、大人が必要とする栄養素が完璧に含まれてはいないはずだ。だって、赤ちゃんのためのものだから。
健康への意識が高い現代の大人は、どうにかして自分の健康を手に入れたいと思っている。母乳は無理だとしても、サプリメント、ジム、スーパーフードなど。お金を出して健康を買っている状態だ。ジムの会費の場合１ヶ月１万円代が相場である。6000円なら安い方だ。行けない日が増えてくると、ふと考える。
「値段高くない？」
そこで多くの人は思うのだ。もっと簡単＆安価で健康になれるものはないのだろうかと。大抵の人はランニングを思いつく。なにせ、タダだし。意気揚々と始めるが、途中で挫折。結局は続かない。ちなみにこれは私の話だ。
探しまわった末、簡単にしかもタダで健康を手にする方法を見つけた。
それは母乳のように、当たり前に存在しているものだが、意識した途端にとても身体に効果的だと気づくものだった。
ずばり、「呼吸」である。
普段呼吸を意識している人はあまりいないだろう。デスクワークが多い現代人は、パソコンの前で目をカッと見開き、飛び込んでくる刺激や情報に意識が向いている。顎に力が入り、奥歯を噛み締め、呼吸がとても浅くなっているのだ。浅くなっているということさえ気がつかない。それくらい無意識に呼吸をしている。
「腰痛や肩こりがひどくて」という大人もいるが、運読不足ではなくて呼吸が浅いことが原因の場合がある。呼吸が浅いので肺の外側にある肋骨が凝り固まっていて、不調が生じているのだ。
改めて考えてみると、呼吸の効果はすごかった。交感神経と副交感神経といった自律神経をコントールでき、気持ちを意図的に整えることができるのだ。イライラ・緊張・不安が解消され心が穏やかになる。また、肺が膨らむことで、肺の直下にある横隔膜が上がったり下がったりする。すると肝臓や腎臓、腸などの臓器もつられて収縮をする。普段使わない筋肉が動くことで、代謝がよくなり脂肪が燃焼しやすくなる。ダイエット効果があるのだ。
さらにお腹のインナーマッスルが鍛えられるので、バッキバキの腹筋にならずともウェストを細めることができ、今話題のおフェロボディに近づくことができる。女性陣、みんなで石原さとみを目指そうじゃないか！
少し書いただけでも、こんなに効果があるのである。あまりにも当たり前に行いすぎて、そのすばらしさに気づけていない。非常にもったいない話である。
私はこのすばらしさを伝えるべく、呼吸ヨガインストラクターになった。平日は会社員をやり、休日に教えている。
さあ、目の前にいるみなさん。今ここで私と一緒に深い呼吸法を行ってみませんか。
「目を閉じてー。両手を肋骨に添えて。
肺が気持ちよーく広がるのを感じながら、大きく鼻から息を吸って。
肋骨が広がるのがわかりますか？
地面に返すように鼻からゆっくりとゆっとりと息を吐き出して。
だんだんと、肺がしぼんでいくのがわかります」
どうだろうか。心地よい気分になっただろうか？ この呼吸法をいつでもどこでも取り入れて欲しい。サプリメント、ジム、スーパーフードより、はるかに手軽でしかもタダなのだから。
母乳も呼吸も、実は身体にとって非常に効果的なものであった。当たり前に行っている呼吸を意識することから、健康づくりを始めてみてはいかがだろうか。
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