離婚を許されない夫婦が、夫婦関係に悩んだ末に行き着いた考え方
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記事:ゆか(ライティング・ゼミ10月コース)
厚生労働省が公開する数字によると、日本では2021年、18万4,386組の夫婦が離婚しています。婚姻件数50万1,116組に対して約1/3の離婚件数であることから、近年では「3組に1組が離婚する」と表現されることもあります。
昔と比べて離婚に対するハードルは下がり、結婚後の別れを選択しやすくなりました。しかし、もし結婚後に夫婦関係が悪くなっても、離婚が許されないとしたら――。
世界の宗教人口において最も高い割合を占めるとされるキリスト教。その宗派の一つ「カトリック」では、結婚は一生にわたる神聖なものと考えられており、離婚は良くないものとされています。もしカトリック教徒が、結婚後パートナーと一緒にいたくないと思うようになったら、どうするのでしょうか。そんな危機に直面した、夫婦共にカトリック教徒である私の友人のエピソードを紹介します。
友人夫婦はお互いに、この人と一緒ならずっと幸せに過ごすことができる。そう思って結婚したはずでした。しかし結婚して間もなく、夫が妻にこのようなことを言ったのです。
「君のことは好きだけど、なんか一緒にいたくない」。
これを聞いた妻は、どうしたものかと悩みました。夫は突然花を買ってくるなど、よくプレゼントをする人でした。しかし妻はそれをうれしいとは感じず、むしろもったいないと思っていたため、「プレゼントはいらないよ」と夫に伝えていました。それに対して夫は「なぜ喜んでくれないんだろう」と悲しい気持ちになっていたというのです。一方妻は、料理を作ったり掃除をしたりしても「ありがとう」と言わない夫に、不満を募らせていました。
そんな状況の中ではありましたが、二人はカトリック教徒であること、お互いに好きな気持ちは変わらないことから、離婚は望んでいませんでした。しかし、これからも一緒に過ごす上で、夫婦関係を見直す必要がありました。
そこで二人は、夫婦カウンセリングを受けました。夫婦カウンセリングとは、夫・妻・カウンセラーの3人で夫婦間の問題について話し合い、夫婦の関係改善を目指すものです。話し合いを経てカウンセラーが指摘した夫婦の問題が、「二人の愛を伝える方法が異なる」ということでした。
愛を伝える方法「ラブランゲージ」には次の5つの種類があります。この優先順位が異なる相手同士では、お互いを思い合って行動していても衝突してしまうというのです。
<愛を伝える5つの方法>
①肯定的な言葉(言葉や文章で愛情を表現する)
②奉仕する行為(行動で愛情を表現する)
③クオリティタイム(共に時間を過ごすことで、愛情を表現する)
④スキンシップ(ハグやボディータッチで愛情を表現する)
⑤プレゼント(プレゼントで愛情を表現する)
この考え方は、長年結婚カウンセラーを務めるゲリー・チャップマンさんが発見し、このことについて記された著書「愛を伝える5つの方法」は世界で470万部を突破するベストセラーとなっています。
では、ラブランゲージが異なる夫婦はどうすれば良いのか。大切なことは、お互いのラブランゲージを知り理解し合うこと。そこで二人は自分のラブランゲージを知るための診断を受けたところ、次のような結果となりました。
<夫>
1位 プレゼント
2位 スキンシップ
最下位 肯定的な言葉
<妻>
1位 肯定的な言葉
2位 クオリティタイム
最下位 プレゼント
なんと、お互いに一番大切にしているラブランゲージが、相手にとっての最下位だったのです。
夫は、カウンセリングを受ける前までは、夫婦関係において肯定的な言葉が大切だとは思っていませんでした。しかし、妻が「肯定的な言葉」で愛情を感じることを知り、「お皿を洗ってくれてありがとう」「料理を作ってくれてありがとう」と言葉で感謝を伝えることを意識するようになりました。
一方妻は、夫が一番大切にしているラブランゲージが「プレゼント」であることを知り、夫からのプレゼントを「モノ」ではなく「愛情」だと認識できるようになりました。また、夫が愛情を感じる方法の2番目に「スキンシップ」があり、夫が特に背中を撫でられると安心することを知ったので、日頃から背中を撫でるようになりました。
このようにお互いが、相手が大切に思うラブランゲージを使って愛情表現をするようになり、良好な夫婦関係を築くことができたのです――。
パートナーとの別れを選択することは個人の自由であり、決して悪いことではありません。しかし、二人の関係をぎくしゃくさせている原因がもし「ラブランゲージ」の違いなのだとしたら、お互いの価値観を理解し合うだけで、関係を改善することができるかもしれません。
このラブランゲージは、夫婦や恋人だけでなく親子関係などあらゆる人間関係において参考になる考え方です。人間関係について悩んだ時には、ぜひ参考にしてみてください。
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