メディアグランプリ

夢にGPSをつけよう!~映画『ニューイヤーズ・イブ』に学ぶ奇跡の起こし方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:木村保絵(ライティング・ゼミ)

「えっと、23日の19時……」
手帳に予定を書き込もうとして、気がついた。
今年もあと1ヶ月。手帳のページも残すところあとわずかだ。
そろそろ、来年の手帳を買わなきゃな。
――あ、そう言えば。
ここ数年、この時期に必ず見ている映画を思い出した。

『ニューイヤーズ・イブ』
大晦日のニューヨークを舞台に、奮闘する8組を描く人間ドラマ。
残念ながらこの夏に亡くなった『プリティ・ウーマン』で知られるゲイリー・マーシャル監督の2011年の作品だ。

この作品は、大晦日当日ではなく、この時期に見ることに意味がある。
それは「来年はいい年になりそうだな」と期待を膨らませるよりも、
「このまま今年を終わらせるわけにはいかない!」という気持ちでいっぱいになるからだ。

新年に立てたはずの目標はいくつ達成できただろう……
今年こそ! と強く思っていたはずの願いは、いつの間にどこに消えてしまったのだろう……
溜息をつきたくなるような暗い気持ちを、優しくそっと包んでくれる。

でもさ、もう少しで新しい年も始まるし、また来年頑張ればいいよ!
どうせあと1ヶ月なんだし、最後は楽しんで、終わりよければ全てよし!
そんなちょっと呑気な言い訳には、ジンジャーティーくらいの程よいスパイスでピリッと刺激してくれる。

やってみようか。
大晦日に起こる奇跡のシーンを見ているうちに、そんな気持ちが湧いてくる。
今日が大晦日だと思って毎日を過ごしたら。
今年の間に、あと30回はチャンスがあることになる。
だったら、やれるかもしれない。
30回の内の数回くらいは、うまくいくかもしれない。
そのうちの1回くらいは、奇跡が起こるかもしれない。
――やってみよう。今年はまだ終わっちゃいない。
自然と、そんな思いにさせてくれる。

“Use your imagination”
――想像力を使いなさい。

何度も見ているこの映画だが、先日見た時にはこのセリフが一番心に刺さった。
「そんなの無理だよ」と言い放つ青年に、年上の女性が真っ直ぐな視線で伝える言葉だ。

もし自分があの青年だったら、次の全部を一日で達成しなければいけないと言われたら、想像力を駆使して、どのように達成するだろうか。

「仕事を辞める」
「ティファニーで朝食を」
「渋滞に会うことなく、タクシーでスムーズに移動する」
「命を救う」
「バリ島に行く」
「世界一周する」
「息を呑むほど圧倒される体験をする」
「年が開けた瞬間に、キスをする」

え? 1日で?
絶対無理でしょ。
まずどう考えたって時間が足りないし、お金だって相当かかる。
無理だよ。諦めて、美味しいもの食べて大晦日を楽しんだほうがいいよ。

わたしだったら、そう思ってしまう。
できないことを無理してやるくらいなら、今を楽しんだ方がいいよ。
そう自分に言い聞かせて、諦めてしまうだろう。
「時間がない」「お金がない」「才能がない」
自分には無理、絶対!
振り返ってみると、そう言い聞かせて放置してしまった夢が、本当に多くあった。

でも、この映画を見る度に、いつも気付かされる。
――「無理」なことなんて無い。
実現できなかったのは、自分が無理だと決めて、諦めたからだ。
絶対にやる。無理でもやる。
そう覚悟を決めさえすれば、想像力を駆使して奇跡を起こすことだってできたはずなのに。

でも、そうだとしたら、一体どうしたらいいんだろう。
やりたいことをやり抜くには、願いを成就させるには、夢を叶えるには。
現実の世界では、一体どうすればいいのだろうか。

“Use your imagination”
映画のセリフに従い、目を閉じて、想像力を広げてみる。

どうしてわたしは、いつも途中で諦めてしまうんだろう。
なんで、目の前の楽しいことに逃げてしまうんだろう。
「もったいない」と言われて悔しい思いをするのに、やり遂げられないんだろう。

これまでのことや、今までのこと。
どうしたら上手くいったのかな? 何があれば成功してた? どんな方法だったら達成できた?

目を閉じて、じっくり、じっくり考えてみる。

――あ!

すると、ひらめいた。
想像力をゆっくりゆっくり広げていったら、あるものが見えてきた。
GPS。GPSだ!
携帯電話やカーナビに付いていて、自分がどこにいるか教えてくれるアレだ!
そうだ、わたしに足りなかったのは、時間でもお金でも才能でもなくて、GPSだったんだ!
それは確信に近かった。
もう嫌だと思ってしまったことも、投げ出してしまったのも、わたしの夢には、GPSがついていなかったからなんだ。

それ以外、考えられない!
そう思い、わたしは慌てて目の前にあった2016年の手帳に、ペンを走らせていった。
そう、今のわたしの夢は「書いて食べていけるようになること」
だとしたら、えーと、えーと……
・ エッセイも小説も、リアルも創作も両方超絶面白く書けるようになる。
・ この人に書いてもらうと必ず売れる! 必ずしあわせになれる! と言ってもらえるような、紹介記事を書く力を身につける。
・ 読んだ人が「どうせ私なんて」を捨て去り「私にもできる!」と思ってくれるような文章を綴っていく。
・ 函館の名前を世界に広げられる作品を作る。

んー、今思いつくのはこんなところかなぁ。

それから……
・ 行きたいと思ったところに旅行に行ける
・ 洋服や靴は、心が惹かれる物、自分に似合うものを選んで身につけられる
・ 必要なセミナーには必要な時に参加できる
・ 自炊も外食も楽しんで好きなものを食べられる
・ 化粧品や体に触れるものは、自分が良いと思えるものを選べる
・ 映画、舞台、ライブ、本、刺激や学びのインプットは必要なだけ入れられる
・ 会いたい人と一緒にいられる時は、思いっきり楽しめる
こんなかんじかなぁ。だとしたら、月に必要なのは、これくらいなのかなぁ。
ってことは、仕事を続けながらだとこのくらい、全部辞めるなら、このくらいか。

で、もう一方は……
・ 天狼院書店プロフェッショナルゼミに通い、プロ級の人達と一緒に学んでいる。
・ web天狼院書店のメディアグランプリで週間総合1位が1回、お客様部門1位が2回、シーズンではお客様部門3位が1回。
・ 自分の名前で依頼を受けたメルマガ記事が月に1本
・ 自分の名前以外では、○○が月1本と、△△が1回
んー、なるほど。
実際まだまだだけど、前に比べたら随分進んでいる! これは諦めたらもったいない!

ということは……
・ メディアグランプリに毎週投稿する
・ リーディング・ハイに毎週投稿する
・ インタビューをして記事を書かせてもらう
・ ブログを書く
・ お金をもらって書く
・ 賞に応募する
・ 小説やシナリオに関する本をまずは10冊読んで自分のものにする
・ 色んな人の話しを聞き、本を読み、視野を広げ、冷静で俯瞰的な目を持つ
・ 書く度に出会える人が倍増し、人生を好転させるつもりで、毎回全力を尽くす

んー、まだぼんやりだけど、こんなところかなぁ。
ん? でも、これとこれなら、今日にでもできる。これも、1ヶ月あれば、できるかもしれない。
それに、積み重ねていけば、もっと具体的に見えてくるはずだし、これならできる。きっと進める!

自分で書き出した文字を眺めながら、わたしは嬉しくなった。
そうか、そうだったんだ。
わたしが夢を叶えるために必要だったのは、時間でもお金でも才能でもなく、位置を把握するためのGPSだったんだ。
まずは目的地を明確にし、現在地をきちんと把握すること。
そして、目的地にたどり着ける方法や、目印を見つけていくこと。
進む度に現在地と目的地を再確認し、最短ルートを考えながら進んでいく。
今まではそれが出来ずに、道草ばっかり食って、迷子になって、ただ無駄に疲れていたのだ。

実際、わたしが叶えられずに諦めた夢や願いは、曖昧だったことが多い。
「あの辺り」とぼんやりしているから、住所を入力して検索することもできない。
そんなんだから、何となく目指したって、辿り着ける訳がない。
進み出す時にはまず、はっきりとゴール地点を定めなければいけないのだ。

例えば「書いて稼げるようになる」という漠然した目標も、
「どんな物を書くのか」「どのくらい稼ぐのか」を明確にすればするほど、目指すべき姿が見えてくる。
「とりあえず行けば何とかなるでしょ!」では、どこにも辿り着けないのだ。

そして、わたしが見落としていたのは、現在地を確かめることだった。
自分は今どこにいるのか。
現時点でどんな力があって、どんなことを達成して、何に挑戦しているのか。
それが見えていなかった。
まずは現在地がわからなければ、地図を見たところで進みようがない。
過剰評価も過小評価もせず、GPSが示すように「そこにいますよ」という地点を自分で見つけていく。

そうすれば、現在地から目的地に行くまで、どのくらいの距離があるのか、どんな交通手段があるのか、いくらくらい費用がかかるのか、何を目印にしたらいいのか、そんなことが見えてくる。
現在地がわからなければ、目的地に辿り着くための方法も、調べようがない。
だからこそ、迷子になるし、どうしていいかもわからないのだ。

そうすれば、これまでみたいに、「自分には無理!」なんて怯える必要はない。
目的地が決まり、現在地を把握し、行き方がわかれば、気持ちは落ち着いてくる。
よし、進もう。自然とそう思えてくる。
もちろん、実際に進んでみれば、工事中だったり渋滞があったり、目印の建物が無くなっていたり、何かしらのトラブルは起こるかもしれない。
それでも、その度に現在地を把握し、そこから目的地までの位置関係を調べていけば、回り道をしても、必ずそこに辿り着ける。

そのためにも、地図だけではなく、衛星から位置を把握してくれる「GPS」が必要なんだ。
方向音痴のわたしにも、地図が読めないわたしにも、「あなたは今ここにいて、ここを目指すんだよ」と教えてくれるGPSが、必要なんだ。

夢を叶えるために位置を教えてくれる「GPS」は、色々ある。
例えば、尊敬する先生から指導を受けることでも、自分では気付けない今の位置や、これからも教えてもらえるだろう。
セミナーやグループに参加し、仲間を見つけることでも、自分の位置を確かめることができる。
もちろん、そこで実力のある人に嫉妬したり、自分はだめだと落ち込んでしまうこともある。
だけど、そんな時も、自分の現在地と目的地に集中すればいい。
そもそも、その人とは目指している目的地が違うかもしれない。
その人に近付いて追い越しても、自分が進むべきルートとは、大きく外れているかもしれない。
だとしたら、脇見せずに、目に映るもの全てに足を止めずに、自分のことに集中し、前に進めばいい。
一歩先行くその人に心や時間を奪われることなく、自分自身が前に進むためのエネルギーを吸収し、スピードを速める活力をもらえばいいのだ。

書くことに対し、そんな風に考えられるようになったら、肩の力が抜けた。
「そっか、まずはこの本を読まなきゃいけないんだ。それで今度はこれを書こう」
前に進むために必要な一歩に集中していると、他の人の存在が気にならなくなる。
「あぁ、そろそろ疲れたから、あの人に面白い話を聞こう」
「ちょっとエンジン切れてきてから、凄い人の話を聞いてエンジン燃やそう!」
それまで力が及ばない人に会っては疲れたり落ち込んだりしてばっかりだったのに、誰かに会うことが楽しみになってきた。

そして、賞やコンテストに応募したり、順位や点数が付くもので実力を試すのも、現在地を把握するためには有効だ。
以前のわたしだったら「どうせ出したってだめだよ」「わたしには無理だよ」そう考えてしまっていた。
だけど、「目的地に向かうための現在地を把握するためだ」
そう思うと、少しハードルが低くなる。
そうか、失敗とか恥ずかしいとか、別に無いんだな。
「わたしが今どこにいるのか知るのが怖い!」とか言ってたら、逆に変だよな、とそんな自分の姿を想像し、笑えて来るほどだった。

やってみよう。やるしかないでしょ!
そんな気持ちが湧いてきた。

せっかく夢を叶えられる可能性があるならば、迷子になってチャンスを逃していたらもったいない。
自分の夢にしっかりとGPSをつけて、目的地と現在地を把握していれば、必ず辿り着ける。
臆病で後ろ向きなくせに、呑気な言い訳ばかり並べていたわたしが、自然と真っ直ぐに前を向いていた。

“Use your Imagination”
そう。想像力を使えば、願いは叶えられる。
世界一周だって、命を救うことだって、想像力を駆使すれば1日で達成出来る方法がある。

そして、絶対に出来ると信じること。
奇跡は、信じる人の元にだけ訪れる。
だからこそ、信じる勇気を持つためにも、目的地と現在地を把握し、不安を取り除くことが大事なんだ。

やってみようか。
わたしは、あと数ページで終わるはずの2016年の手帳を再び手に取った。
これから目指すべき目的地と、現在地と、前に進むための方法が勢いのある文字で記録されている。

今日が大晦日だと思って毎日を過ごしたら。
今年の間に、あと30回はチャンスがあることになる。

いや、待てよ。映画の中に、こんなシーンがあった。
「あなたなら大丈夫。二度目のチャンスは深夜0時までよ」
そうか。大晦日には失敗しても二度目のチャンスまで許されている。
だとしたら、今日が大晦日だと思って残りの日々を過ごしたら、
今年だけでもあと60回はチャンスがある。
本を開く。一行書く。ネタを見つける。人に会う。
どんな小さなことでもいい。
1日2回、何かに挑戦すればいいんだ。
そうすれば、60回の内の数回くらいは、うまくいくかもしれない。
そのうちの1回くらいは、奇跡が起こるかもしれない。
――やってみよう。今年はまだ終わっちゃいない。

わたしは再び、2016年の手帳を開き、再びペンを走らせた。
「今年中に達成すること」
もう買い換えようかと思っていた12月のページに、嬉しそうな文字が並んでいる。
 ***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2016-12-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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