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がんばれ! 私とおカネ! 「はした金」投資家のルール


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:やまの とこ ( スピード・ライティング特講)
※本記事は、AI投資やダウの犬投資、原油先物投資、スウィング投資を推奨するものではありません。投資の判断はご自身の責任で。
 
 
まとまったお金が入った。夫の不倫相手からの慰謝料と、夫の愛車を売り飛ばした代金。
よし、このお金をタネ銭として投資だ。
自分への投資と市場への投資だ。
 
 
「離婚する気もないのに、はした金欲しさに、私だけ訴えて。そんなお金なんて、気持ち悪くて使えたもんじゃないでしょっ」
 
夫の不倫相手は吐き捨てるように言って、慰謝料請求に応じた。
「はした金」かどうか「使うのが気持ち悪い」かどうかは別にして、ここは有効に使わせていただくことにした。お金に罪はない。
 
不倫デートで使っていた車も速攻で売却処分した。
車好きな夫は、クルマ屋に通い詰めさんざん待った末に5年前、小さな赤いイタリア車を手に入れていた。チマチマと好きにいじってはいつもピカピカにしていた。電車通勤なので、ほぼガレージに止めてあったが、それでも、週末には家族を乗せてはあちこち出かけていた。助手席は私の指定席のはずだった。ところが、ある日から、乗るたびにシートの位置が微妙に違っていた。カーステの Bluetooth に家族の誰のものでもない iPhone がリストされるようになった。不倫の発覚。もういいや、そんな車。金輪際、家族用としては使いません。売っちゃえ、売っちゃえ!
 
こうして、転がりこんだお金を投資にまわして、最高に有効に使い倒してやろうと考えた。
 
まず、自分投資として、私の歯列矯正のメンテナンス。仕上げには、みっちりホワイトニングも付けてもらうつもりだ。
 
そして人間ドック。これは強制的に夫も一緒に。文字どおり、ハラの内を徹底的にさらけ出してもらう。
 
ここはケチらずに費用対効果を考えて、大学病院の検診センターが行っている少人数制のものにした。最新の医療機器の精度は目覚ましい。
オプションでバリウム検査の代わりに「上部消化器内視鏡検査」を受けた。超小型カメラがついたストローより細い柔らかいケーブルを鼻からスルスルと入れるやつだ。
いやーびっくり、検査中に喋れる。「先生。今、ちょっと手を止めたところ、何かあったんですか?」なんて話しながら、高解像度のモニターに映る自分の内臓をライブで眺めて、医学的な解説と実況が聞ける。検診後、ランチも付いていた。ふたりですき焼きを思いっきり食べた。得した気分だ。
 
結果は、まあまあの健康体だった。
 
自分投資としては、じゅうぶんだ。ふたりとも健康であるということは、未来の時間が担保されているようなものなのだから。「はした金」で大儲けした気分だ。
 
そしてもうひとつの投資、世界金融市場の荒波にも乗り出すことにした。浅知恵をふり絞って、おカネにしっかり働いてもらう方法をひねりだした。「はした金」投資家の誕生だ。※
 
手始めに、50万円のお財布を3つ作った。60歳までと期限を切って、どれが一番増えるのか競争させてみたいのだ。
 
あくまでも、3にこだわった自分が自分でもおかしい。
 
1つめは前から気になっていた AI投資。2万円の積み立て25回で、50万円になったら仕込み完了。後は置きっぱ。 ランニングコストはちょっと高いけれども、過去のデータも駆使してリバランスしながら運用していくらしい。AIがんばれ。人間に負けるな!
 
2つめは「ダウの犬」投資法。「米国ダウ平均の採用銘柄を配当利回り順に並び替え、上位10社」から50万円になるようにピックアップしてパッケージを作る。NISA枠を使って、売却益と配当金にかかる税金を軽減させる。円が弱いので、ヘッジなしは賭けだ。
ダウ犬、がんばれ。ドル円為替に負けるな!
 
そして3つめは私の裁量投資。「はした金」「使うのが気持ち悪い」からといって、溶かしてもいいなんて思ってもいない。倍ぐらいまで増やすべく鼻息荒く、レバレッジをかけて、まずは原油先物に、ウリから入ってみた(1枚だけだけど)。あとはスウィングで、売り買いを繰り返して、利益確定をしていく。増えたら再投資に組み入れて、タネ銭を転がす。ゴロゴロと雪だるま式に大きくなることを妄想している。
私、がんばれ。 おのれに負けるな
 
指南本に必ず書いてあることがある「自分のルールを決める」「特例を作るな」。
当然だ。それがないといつまでたっても利益は確定できないし、損を出しても見極め処分ができない。特例を受け入れてしまうと、後出しで言い訳をつけて逃げられる。
 
投資をしていると「決められない自分」と向き合うことが多い。だからこそ「自分のルールを決める」「特例を作るな」は重要だ。
 
これがなかなか難しい。すぐに、特例を許してしまう。苦し紛れに、ルールが守れない自分を許すルールまで作ってしまう。「なにかあったら、ルールを変える」というルールだ。
 
夫の不倫は弁護士が法に従って、時効前にきっぱり清算してくれた。
一方 家庭の再構築、夫婦関係の修復については、いまだにルールが作れない。こんなことにルール決めが必要かどうかさえもわからない。理由はわかっている。私が、夫を許すかどうか「決められない自分」がいるからだ。感情は、投資のようにルールに従って「利確」「損切」ができない。しかも最初から特例がちらついている。おまけに、こっちには時効がないのだ。まるで私の浅知恵が試されているようだ。
 
さてさて、「はした金投資」結果はどうなるのだろうか。「決められない自分」との勝負なのはよくわかっている。
AIもロボットなりに、ダウ犬も犬なりに、そして、私も私なりにがんばる。
 
「自分のルール」。どのように決めるも決めないも、特例を、認めるも、認めないも、そして、そのルールに従うも破るも自分自身なのだから。
 
60歳の期限までに、お金が増えるか、はたまた減るかは分からないが、私には使い道に目標がある。このお金を元手に還暦を過ぎた頃に、車でも買えたらなと思っている。
 
赤いフィアット。
 
今度は私が運転席。助手席には誰が乗るのだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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