ようやく囲碁がつまらなくなってきた
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:村人F (ライティング実践教室)
最近、囲碁がつまらなくなってきた。
対局アプリをプレイしてみても、問題集を解いてみても、最初の頃に感じたワクワクがないのである。
もちろん天狼院書店で行われる囲碁教室に通っているから、毎日少しは向き合うようにはしている。しかし、惰性のような感覚がだんだん強くなっているように思う。
原因は明白だ。
強くなりにくくなったからである。
ルールすらわからない初心者の段階は、すごく楽しかった。
石の置き方など、簡単な手順を覚えるだけで見違えるほど世界が広がったのだから。
そのため先生が勧めてくれた入門向けアプリも面白く、気がついたら終わっている状況である。
それもあり、最初の3ヶ月は面白いなと思っていた。
しかし今は、簡単に伸びるフェーズではなくなっている。
これ以上強くなるには一手打つごとに深く考えないといけないし、詰碁という実践的なパズルも解かないといけない。
つまり、どれだけ根気強く努力を続けられるかが勝負という状況になってしまったのだ。
こうなると、ひたすら地味な修行の道を歩まなければならないのである。
そのため最初の時に感じた楽しさが薄れていたのだ。
だが私には「ようやく、つまらないと思える段階に立てたな」という自信も芽生えていた。
なぜなら、初心者の段階を抜けたことを同時に示しているからである。
考えてみれば最初の頃に感じていた楽しさは「ひらがな」を覚えていくようなレベルのものだった。
「あ」やら「い」という文字がわかるだけで嬉しい。
その程度の浅い感動を味わっていたにすぎなかった。
これが成長するごとに「あい」が「愛」を意味し、それを表現することがどれだけ難問なのかを理解していくわけである。
この難しさが、今まさに囲碁をつまらないと感じさせる要因なのだ。
そうなるとむしろ、これからが本当の始まりとも言えるわけである。
実際、ようやく見えてきた世界もある。
プロの凄さだ。
史上最年少でタイトルを獲得した中学生棋士である仲邑菫(なかむらすみれ)三段や、国民栄誉賞を受賞した井山裕太九段。
そういう方々がどれだけ恐ろしいことをしているのか、少し理解できるようになったのである。
彼らは、私が一手打つごとに吐くほど考えているようなことを何千、何万回も繰り返しているわけだ。
しかも勝つか負けるか、はっきり分かれる状況でだ。
例え1回の対局に10時間かけたとしても、勝利の栄光を掴めるのは片方だけなのである。
そういう厳しい状況で己を磨いている存在がプロなのだとわかるようになってきた。
つまりWBC等でなんとなくすごいと感じていた野球の魅力が、より具体的に考えられるようなフェーズに差し掛かっているのである。
こう考えると、教室に通えている状況がとても幸せに思えた。
なぜならこの段階の囲碁が、初心者に独学できるような難易度ではないからである。
本を読み、AI等と戦って経験を積めばいいのはわかっている。
しかし、そこで得られる知識が自分だけだと非常に小さいのだ。
詰碁の問題集を読んでも解説が理解できないし、対局でも「なぜこの手をAIが推奨しているのか」などの疑問が湧き上がり続ける。
そのため一人でやるには、あまりにも挫折する原因が多すぎるのだ。
しかし、この囲碁教室は違う。
まず先生がプロである柳澤理志六段だ。
つまり小さい時から魅了され、天国も地獄も囲碁で味わってきた存在である。
そのため彼には私が将来つまずくであろう障害も読めているし、それを改善するための道筋も見えているのだ。
このような方が道案内をしてくれるのである。
これほど心強いことはないだろう。
それに周りには、自分と同じ悩みを持つ同志がいる。
おそらく日本では天狼院書店だけではないだろうか。
初心者の大人だけが集まる囲碁教室は。
それゆえ、お子様も通われているような場所で感じる「わからないこと」への恥ずかしさが軽減されるのである。
だから質問も手軽にできるし、単純な気付きにも素直に感動できるわけだ。
社会人になってこのような場に通えるのは、本当に幸せなことだと思う。
そして続けていけば、いずれまた囲碁が面白く感じることだろう。
それは簡単な問題集が解けた程度で得られた快感の比ではない。
絶対に負けたくないという気持ちを互いにぶつけ合って、バチバチとした読み合いの末にもぎ取る勝利の味なのだから。
これこそが千年以上も人々を魅了してきた囲碁の魅力なのだ。
その一端を感じられるように、天狼院書店の教室で牙を研いでいきたい。
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