事件は定食屋で起きているんだ!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:ちえみちえ(ライティング実践教室)
注文した定食には、小皿に『千切りキャベツ』しかない……。
先日、とある定食屋に一人で入り、昼食を注文し、料理が提供された時のこと。
カウンターに座り、店員にオーダーする。
「日替わり定食、ご飯大盛りでお願いします」
数分待って、私のテーブルにオーダーしたものが来た。
『大盛りご飯、味噌汁、日替わりおかずである豚肉と野菜のクリーム煮、小鉢が2つ、千切りキャベツとピーマンの天ぷらとちくわの磯辺揚げの小皿1つ』
のはずが、足りないのだ。
カウンターに座って食べている数人の客を横目で見ると、『ピーマンの天ぷらとちくわの磯辺揚げ』が付いているのに……。
食べる前に店員に言おうか、言うまいか? 少し迷う。
狭い店内にはお客さんが数人いて、忙しそうだ。それだけを言うために店員を呼び、持ってきてもらっても良いか……?
もしかしたら、ご飯を無料で大盛りにしてもらったから、一品足りないのか……?
頭の中で、気持ちをぐるぐるさせながら、空腹を満たすために食事をし始める。
左隣りで食べている若い男性二人組が会話している。
彼らが食べているのは『焼き魚定食』だ。
「このピーマンの天ぷら、美味いなぁ。焼き魚も美味いけど……。一人暮らしだと、こういうの作れないんだよね」
んんん? 焼き魚定食にだけ、小皿に揚げ物が付くのか……?
いや、違う!
右隣りで一人で食べている男性の日替わり定食には小皿に揚げ物が付いているではないか!
ますます、食べたくなる。
少し食事をし始めたが、やはり、しっかり伝えようと決心し、店員を呼ぶ。
「すみません。小皿に揚げ物が『最初から』付いてなかったんですけど……。食べてしまったんじゃありませんよ」
「食べてしまったわけではない」なんて無罪を主張するような余計な一言も加えてしまったことに後悔する。
「あっ、申し訳ありません。こういうこと、時々あるんですよ。言ってくれて良かったです。揚げたてを用意しますので、少し時間下さい」
数分後、店員が別皿で『ピーマンの天ぷらとちくわの磯辺揚げ』を持ってくる。
「お待たせしました。お詫びに、多めにご用意させていただきました」
何と、元々、各1つずつのはずが、2つになっているではないか!! これは嬉しい!
得した気分になり、残しておいたご飯と、店員が持ってきてくれた揚げ物を食べて、満腹になる。
食事が終わり、会計を済ませる。
「ありがとうございました。不手際があり、申し訳ありませんでした。最近の話ですが、お客さんと同じようなことがあって、SNSの口コミでコメントされちゃったんですよ」
「こちらこそ、早く伝えなくて、悪かったです……。ごちそうさまでした。美味しかったです」
店員に感謝されながら、気持ち良く店を出た。
確かに、今の時代、SNSで店の感想など良いことも悪いこともいくらでも投稿できる。
それにしても、今回のようなことが時々あるということは、なぜだろうかと疑問が残った。
店員が3名いて、おそらく慣れていない店員のミスだろうか?
今回のちょっとした事件で、学んだことがある。
それは、言いたいことがある時は、後から言うのではなく、言えるならば、その場で早く伝えるということだ。
SNSのコメントの内容は不明だが、おそらく、不快感を与えるようなものだったのだろう。
その店で食事しようと思ってネットで検索した人に、「ミスばかりする」ような尾ひれを付けて伝えてしまうこともある。
思い切って店員に伝えて良かった。
おわびで出されて食べた揚げ物は、他の客の2倍になっていただくこともでき、揚げたてで格別だった。
「食べていない」と無罪を主張して、認められたことも良かった。
食べ始めてからの報告では、受けた店員によっては、誤解を招くようなこともあり得るだろう。
「あらっ、お客さん、本当に最初から付いていなかったの? もう食べちゃったんじゃない?」
もし、そんなふうに言われたら、もう二度とこの定食屋には足を運ばないだろう。
自宅から近く、安くて美味しいということもあり、年に数回、行ったことがあるが、これからはもっと食事しに行こうと晴れ晴れとした明るい気持ちになった。
昨今の物価の上昇で、今まで880円で食べられたのが990円に値上げしたことで、しばらく行っていなかったが、味もボリュームもピカイチで、店員の対応も素晴らしい。
これからも、日常生活の中でこんな小さな出来事を少しずつ積み重ねていくだろう。
ちょっとした言葉や出来事は、時に人の心を悩ませ、時に炎上させてしまう。
だからこそ、問題が起こったら時間を置かず、その場でできるだけ早く解決していくことが大切である。
***
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