どうして引きこもりになってしまうのか?
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記事:齋藤由美
「私の悩みなんて、大したことなかった」
そう言って大泣きした50代の女性がいた。
これは、実際に起きた話だ。
わたしは、数年前に興味を持ったアメリカのメンタルトレーニングの手法を身に着けてから、人助けの一貫で、アメリカのディープセッションをしている。
わたしのところへセッションの依頼が入った。
その人は、このコロナ禍で、2ヶ月間寝込んでしまい、普通に生活が送れなくなってしまった。病院へ行くが、原因がわからず、たらい回しにされた。
そこで、知人の紹介でわたしのところへ予約が入った。
わたしはすぐに、セッションをすることを承諾して、日程を決めた。
まず、どうしてこうなったのか、特定するために事前にいくつかの質問をした。
大方、その質問で原因は特定できる。
そして、とらわれてしまった思い込みと、感情を解放するために
さらに質問を繰り返していく。
そう原因を掘り起こしていく作業をするのだ。
すると、自分がどうしてこうなってしまったのか、原因にたどり着く。
原因は、未曾有の出来事のコロナ禍において、連日流れる不安をあおるニュースに、
不安が拡大していってしまったのだ。それが、彼女の心を硬直させて、起き上がる気力をなくしていった。
すると、1回のセッションで、今まで起き上がれなかった人が、翌日の夜からおきあがれるようになった。
そして、2回目のセッションで、水を飲んでも吐いてしまう状態が、一転にして止まった。
セッションとは、人の心の深い部分まで掘り下げていく手法で、当の本人も何を言い出すかはわからない。
ただ、日常生活では気が付かなかった本心や、日常生活ではわからなかった自分の本音を知ることにより、分裂していた感情や思考が統合されていく。
そして、その自分の答えに行き着いた時、冒頭の「私の悩みなんて、大したことなかった」に行き着く。
このセッションの科学的根拠はまだ証明されていない。
でも、そのセッションだけで、人は起き上がれるようになり、嘔吐が止まるという結果は、
“ こころとからだは、繋がっている” ことを証明して入れているのではないか。
と私は思っている。
その引きこもってしまうきっかけは、本人もわかっていない場合もあるし、わかっている場合もある。
そのわかっていない人も、セッションをすることで、引きこもってしまった原因がわかり、自分を知ることになる。
この事例を通して、引きこもってしまた人や鬱になってしまう人は、ただ、1つの出来事に対する感情を手放せないでいるだけだということに気づいた。
そのために、何年も、何十年も、外に出ることもできず、人に関われないで、社会生活を送れないでいる。
メンタルのケアしていれば、一般の人と同じ人生が歩めたはずなのに、もったいないとしか思えない。
もう一人、不眠に悩まされていた男性の話を紹介したい。
その方は、睡眠薬を服用して何十年も経つということだった。
その方の希望は、睡眠薬を服用しないで寝ることだった。
試しにセッションをすることになった。
眠れない理由を探ってみると、
“ 子供の頃、いじめられていた ”ことだった。
その時の悔しさ、怒り、憎悪がその彼の中で、まだくすぶっていたのだ。
「どうして僕をみんないじめるの?」
「みんなを見返してやりたくて、すごい勉強して、出世しようと思った」
「当時は肥満児だったけど、今は、こんなにも痩せて、結婚もできたし、子供もいる」
と、当時、いじめた子たちに言えなかった思いを、堰を切ったように話し始めた。
いじめにあった人の心は、想像以上に傷ついていた。
いつかは復讐したいという、憎しみしかなかったのだ。
それは、50年経っても消えることはないという。
そして、いじめられた記憶は、徐々に薄らいでいき、彼は落ち着いた。
こうして、一通りのセッションを無事終了した。
それから一ヶ月後、再び彼とお会いする機会があった。
彼の顔は、最初にあったときと打って変わって、穏やかな顔になっていた。
顔からけんが取れたように思えた。
そして、効果の程を聞いてみると、
“ 職場の人間関係がうまくいくようになった ”
薬はまだ完全に手放せていないけど、ぐっすり眠れている。
「とにかく、負の感情を手放すことができたので、楽になった」というその彼は、
今まで負の感情を自分の中で消化できていなかった。
しかし、今では、その出来事にとらわれなくなったという。
鬱々とする時もあった彼が、今は、明るく毎日楽しく生きている。
仕事も成功し、家族も手に入れたが、彼の心の奥底には、いじめられたときの感情は終わっていなかったのだ。
それが彼を50年も苦しめていて、眠れない現象を引き起こしていたのだ。
いじめられた人や、親に傷つけられた人の多くは、その時に抱いた感情を手放せないでいることが多い。
もちろん例外もあるけど、引きこもりになってしまうケースも多々あるのだ。
これらを手放せた人の多くは、「もっと早く受けていればよかった」「もっと色んな人にうけてほしい」
そう口をそろえている。
そして、冒頭にある「わたしの悩みなんて大したことない」と言った彼女のように自分のとらわれを解放する人が増えることを願って、締めとする。
***
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