大人になってはじめてのおつかい
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:can(ライティング・ゼミ)
「変わりたい」
ずっと前から気づいていた。いや、気づかないようにしていた。
時々湧いてくるこの願望を、とうとうしっかりと捉えてしまった。
そうでなければ、今頃このような文章を書いているはずもない。
静かで平凡な事務員が、ぶっ飛んだ書店のライティング・ゼミを受講するに至ったのだ。
最初にライティング・ゼミに興味を持ったとき。
多くの人と同じく、私は「人生を変える」というフレーズに反応していた。
それは、好感と疑いが混ざったような気持ちだった。
なんだか面白そうだと気にはなっているけれど、素直にいいね! とは言えなかった。
もともと文章を読むのが好きで、特に心の内を綴ったもの、モヤモヤを抱えた時に何か気づかせてくれるものをよく読んでいた。
「人はそれぞれ、そのままで十分に素晴らしい」
この言葉もそんな文章の中で出会った。落ち込んだ時に、何度も救われてきた言葉。
だから本当に人それぞれに持ち味があり、素晴らしさがあると信じている。
わざわざ特別なことをしなくても、きっと誰しも価値がある。そう思いたい、それなのに。
「人生を変える」などという怪しげな文言に、どうしてこんなに惹き付けられるんだろう。
そのままでも素晴らしいのに、どうして変わりたいんだろう。わざわざ変わる必要があるんだろう。
信じていることと今の気持ちとが、噛み合わなくて居心地が悪い。
自分のことだけど、よくわからなくなっていた。
私にとってのライティング・ゼミは、テレビ番組「はじめてのおつかい」とよく似ている。
小さな子どもが、保護者を伴わずに自分たちだけで出かけ、初めての買い物や用事にチャレンジして帰って来る。その一部始終を観察する番組だ。
喜んで家を飛び出す子もいれば、イヤイヤ行く子もいる。
おつかいに旅立つ子どもたちは、パパやママと一緒のいつもの安全な場所から離れる。
他の誰でもない、自分の足で外へ歩き出さなければならない。
わざわざ怖い思い、しんどい思いをしてまでも、果敢におつかい任務を遂行しなければならない。
わずかな距離のおつかいの間にも、いくつもの物理的な難所、精神的な困難が現れる。
彼らが、ひとりでできるもん的な経験を積みたいのか、パパやママに褒めてもらいたいのか。
それとも単純に楽しいのか、細かい心境はわからないけれど。
怖さや不安を抱えたままでも、「やってみたい! やってみよう!」という気持ちが勝っているから、歩みを進めることができる。安全地帯としての「そのまま」の場所から踏み出して、外の世界と自分を知るチャレンジ。
私が当初イメージした「そのまま」とは、本心からそのままがいいんだと思えるものを指していた。
変わりたいと思ったのは、これとは別の「そのまま」からだ。
いつもと同じ暮らし・固定観念・身近な人間関係での常識・これまでの自分のイメージ。
そんな、安全を脅かさないためにそのままにしておこうとするもの。
「そのまま」は、言葉こそひとまとめだけど、中身は細分化していた。
そして自分の中には安全地帯としての「そのまま」を死守したいサイドと、そこから変わりたいサイドが存在する。言わば、対立的な関係だ。
きっと今までなら、安全地帯サイドの全力抵抗に、変わりたいサイドの足は止まっていただろう。
「そんなところに飛び込んでどうするんだ、お前にはついていけないよ、そんな余裕もないだろう、大人しくしていなさい」
安全地帯サイドの発言力はなかなか大きい。妙に説得力もある。
無理もない、もはや当たり前の思考回路になっているのだから。
だけど今回は、変わりたいサイドもそう簡単には丸め込まれなかった。
Web天狼院で面白い記事を読んでしまい、感想を送ったら「あなたの文章も読んでみたい」と言われて、舞い上がる。それが自分ひとりに対しての言葉ではないとわかっていてもだ。
こんな私にも何か書けるのかもしれない、書いてみたい、という思いに内心は小躍りしている。
それでもなお、受講を躊躇していた。それほど私の中の安全地帯サイドは強い。
あと一歩が踏み出せない私に、ピンポイントで語りかけてくるようなライティング・ゼミ潜入レポートまで読んでしまう。私は大きく頷いて、呟いた。
「もう、観念しよう」
後から思えば、観念ってなんだよ! という感じではあるが、不思議としっくりきた。
きっとこれが、私の中の安全地帯サイドからの、ため息混じりの降伏宣言だったんだと思う。
こうして私は、安全地帯から片足を踏み出した。
とんでもないところへ来てしまったと、今でも思っているけれど。
「人生を変える」ライティング・ゼミに入ると決めたその時点で、私としては既に人生が変わっている。大げさかもしれないけれど、そんな気がしている。
おつかいの途中で弱気になった子どもたちのように、「やっぱり帰りたい!」と叫びたくなることもあると思う。それでも、泣きべそかきながらでもやり遂げて、再び家に帰って来よう。
4ヶ月後、一味違う表情で「ただいま!」と言おう。
パパやママにではなく、自分の中の安全地帯サイドに。
変わりたいのはきっと、自分の中で何かが動き出す予感があるからなんだ。
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