思っていたものとちがった
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記事:まり(ライティング・ゼミ6月コース)
なんでこんなに重いん? と、illustratorを立ち上げた瞬間に思った。全然動かない。少し動いたと思ったら、すぐに固まる。最悪だ。
これは、かの有名なAdobe社が提供するデザインツール、illustratorとPhotoshopを我が家のパソコンにインストールしたときの話だ。
デザインの勉強をはじめて早3カ月ほど。ほとんど毎日、学校でデザインの勉強をしている。基本的には、ソフトの操作方法や講義の時間だけで完結する課題の制作のみ。だが時には、講義の時間だけでは完成しないような課題も出る。そんなときは、1日の全ての講義が終わった後に設けられている自習時間で課題を行うこともある。
お休みの日にも、illustratorやPhotoshopを触れたらいいなと思っていた。今なら学生料金で購入することもできる。幸いなことに、所有しているパソコンは、Adobeの公式HPに書かれているスペックを満たしていた。
とりあえず1週間トライアルをしてみよう! 少しの気がかりを抱えながら、そう思った。
学校で使用しているillustratorとPhotoshopを順番にインストールしていく。Illustratorは、それなりに順調にインストールができた。だが、次にインストールしようとしたPhotoshopが、いくら待っても、インストールが完了しないのだ。
あれ? おかしいな……
そう思ったが、Photoshopは重たいって聞くから、気長に待ってみることにした。だが、いくら待っても、いっこうにインストールが完了しない。
このパソコンを買ったのって、たしか5年以上前だった気がする……
このパソコンで、次回のライティング・ゼミの課題も作成しないといけないの。家でのデザインの勉強は、諦めるから!
検索結果に表示された対処法を、そんな気持ちのなかで行った。無事にPhotoshopのインストールが完了した。
気を取り直して、illustratorで作品作りに取り掛かった。だが、全然動かない。冒頭の言葉は、この瞬間に思った言葉だった。
なんで、公式サイトでスペックを確認したのに! そんな気持ちを抱えながら、再度Adobe公式サイトで、必要とされるパソコンのスペックを確認した。所有しているパソコンは、書かれているスペックを満たしていた。だが、推奨16GB以上と書かれていた。
推奨スペックってことは、おすすめってことでしょ? 別に、「推奨スペック」を満たしていなくてもちゃんと動作するってことじゃないの? そう思った。だけど、念のためGoogle先生に聞いてみた。
私が思っていたことは、ちがっていた。必要スペックと推奨スペックという概念があって、所有しているパソコンは、必要スペックを満たしているだけだった。必要スペックは、「動作確認はできた」というレベルらしい。本当に快適に使用したいと思うと、推奨スペックを満たしたパソコンを用意しなければいけなったらしい。
お菓子のレシピで、「バニラエッセンス数滴(あれば)」と言った表現を見かけたことはないだろうか?
そういうレシピの時、「うちには、バニラエッセンスなんてシャレたもんはないよ」と思いながら、バニラエッセンス抜きでお菓子を作る。あればいいけれど、無くても特段支障のないバニラエッセンス。推奨スペックも、これと同じものだと思い込んでいたのである。
推奨スペックなバニラエッセンスだと思い込んでいた。だが、実際にはそんな「無くても支障のないもの」ではなかった。
推奨スペックは、ココアケーキのレシピにおけるココアパウダーだったのだ。きっと、ココアケーキのレシピからココアパウダーを抜いても、おいしいプレーン風味のケーキは出来上がる。だが、それはココアケーキと呼べるものではない。だって、味がガラッと変わってしまっているんだから。
推奨スペックを満たしていないパソコンに入れたillustratorは、ココアパウダーを入れ忘れたココアケーキだ。我慢さえすれば、操作はできる。本当はココアケーキが食べたかったのに、と悪態をつきながらプレーンケーキを食べるみたいに。
ココアケーキを作ろうとして、バニラエッセンスがない。そんな些細な問題じゃない。
本当に食べたかったのは、ココアケーキだったのに。でも、ココアパウダーが入っていなくても、甘くておいしい。ケーキであることには変わりはない。そう、自分自身に言い聞かせて、ココアケーキ(偽)を今も食べ続けている(訳:1週間トライアル後、解約せずにillustratorとPhotoshopは購入しました)。
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