文章が書けないからゼミに入ったのに、文章を書けと言われて困ったから書けた文章。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:伊東良之(ライティング・ゼミ2月コース)
締め切りまで25時間25分。
睡眠時間、明日の仕事、日常生活のルーティンの時間を差っ引けば、
この課題に取り組むことができる時間は2,3時間といったところか。
2000字まであと1914字。
書けないからゼミに入ったので、当然書けない。
挙句の果て、こんな文章を書き始めた。
そもそもできないことをやろうとしていることに無理がある。
でも最初からしんどいことは分かっていたんだ。
もういい歳だ、苦手なことを克服するには時間が足りないかもしれない。
全然集中できなくて、Facebookを眺めていると次々とゼミの参加者が課題をアップしていく。
焦る、焦る、もう焦りまくって課題に手がつかないから部屋の掃除を始める。
部屋が散らかっているので、しばらくは課題ができない焦りから逃れることができる。
片付けが苦手で良かったと思う。初めてそう思う。
でもそんな心理的安息はあっという間に過ぎ去っていく。
部屋がきれいになってしまった。
だめだ、まずは真剣に、正面から課題に向き合おう。
違うな、まともに向き合う前に、課題に取り組めない理由を考えた方がいいかもしれない。
漠然と考えても進めない、冷静になって考えてみよう。
「書けない理由は何だろうか?」と考えるといきなり的を射た答えが思い浮かんだ。
「日ごろから何も考えずに生きているから」
流石に何も考えてなかったら生活できないから、正確に言うと「物事に対して深く考えず生きているから」ということだろう。
そう、私は好奇心が旺盛で、いや旺盛すぎて、1つ1つのことに時間と取って向き合うことができず、様々なことを薄っぺらく見て、そして浅くしか考えないで行動しているのだ。
おまけに、いま思い出したのだが、会社勤めだった時の上司にも、付き合ってきた女性たちにも(妻にも)「話聴いてる?」と問われることが何度もあった。
私はちゃんと考えることもできない、更には人の話もまともに聴くことのできない人間なのだ。
日頃「考えない」「話しを聴かない」人間が文章を書こうとしている。
それも2000字。こんなに長い文章を書くのは大学の卒業論文以来だ。
第三者視点からだと圧倒的に不利な戦いだ。勝てる理由が無い。
一晩寝て、仕事が終わり、課題に取り組む時間ができた。
締め切りまで、3時間51分。
まだ半分も書けていないようだ。
「勝てる理由が無い」、なんだか聞いたことのある言葉だ。
そうだ、少年野球のコーチをやっていた時のことだ。
試合に負けた小学生の選手たちに「勝てる理由が無いんだよ。練習でお前たちが勝つ理由を作るんだ!」と激しく素振りをさせたりノックしたりしていた。
勝利から逆算してやるべきことを積み上げるのだと話した。
同じことか。
この不利だけど、自分がやろうとしている戦いに勝利する理由を作ろう。
「勝てる理由」、つまりまずは「文章が書けるようになる理由」を考えるのだ。
3か月後、自分は文章が書けるようになっている。
そう、私は圧倒的に不利だと思っていた戦いに勝利し、文章が書けるようになっている。
凄いな、人生において数十年に渡り苦手だと思っていた「文章を書くこと」ができるようになっているのだ。
そんな目を見張るような成果はどのようにもたらされたのだろうか。
やはり、日々一つ一つの事柄や事象に対して深い考察をするしかないのか。
やはり、人の話をちゃんと聴ける人間になるしかないのか。
いや3ヶ月で、たった3ヶ月でこれまで数十年の間できなかったことができるようにはならないだろう。
でも、今の自分はこれまでの自分とは違う視点を持っている。
「文章を書こうとする自分」、3か月後に「文章が書けるようになっている自分」、この視点を持った今の自分は、もう少し物事を深く考えたり、もう少しちゃんと人の話を聴いたりすることを、「文章を書ける自分」になるためにできるのではないか。
自分を変えることのできるチャンスだ。文章を書くためにモノを見たり、人と話したりしてみよう。自分が見たものを、聞いた話を、どうやって表現したら読んでくれる人に伝わるか考えながら過ごしてみよう。
1日前までは「文章を書く」ということは自分を苦しめる修行のように感じていたのに、今は少し感じ方が変わってきている。
なんだか少し心が軽くなった気がしてきた。
いま私は1日前の自分より深く考え、自分の話をちゃんと聴いて文章を書いている。
できそうだ、少しずつやればいい。
3ヶ月は短いが、とても濃い人生の時間になりそうだ。
そして、とりあえず最初の課題提出の期限には間に合った。
***
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