プロフェッショナル・ゼミ

とあるライティング・ゼミ受講生〜地方都市在住中年女〜がABCユニット発案者である天狼院書店店主の記事をアクセス数で抜くまでのキセキについて《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講申込みページ/東京・福岡・京都・全国通信】人生を変える!「天狼院ライティング・ゼミ」《平日コース》〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
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記事:小堺ラム(プロフェッショナル・ライティング)

小春日和の二月末の金曜日、午後5時近く。
私は職場のデスクで仕事を無理やり片付けようとしていた。
あと小一時間で仕事から解放され週末を迎える華やいだ時間帯である。
昭和用語で言うところの、ザ・華金。
しがらみから解放され、つかの間の週末という自由な空気を一番に感じられるそんな格別な時間帯のはずだ。
なのに、私の心はもやがかかったようだった。
PM2・5のせいでなんだか頭がイマイチスッキリしない時のような、くぐもった空気が私全体に充満していた。
私がこんな気分に陥る理由が2つあった。
一つは、翌日締め切りとなっているライティング・ゼミに提出する作品が、まだ途中で仕上がっていないこと。
そしてもう一つは、これからある男と食事の約束をしていることだった。
え、デートかって?
う、うん……。
まあ、そうとも言う……。
積極的に男から誘いがあったので、これを受けたのは私だ。
私が自分の意思で決断した華金の夜の予定だった。
でもさあ、デートって、「誰とするか」がとっても大切じゃない?
私、何度かデートしているこの男には全くときめかなかった。
えー、だったら断ればいいのにっ!って、今ツッコもうとしたアナタ!
アナタの言う通り、全くときめかないんだったら断ったらいいのにねっ。
そうだよねっ。
でもさあ、あちらから来ているせっかくのありがたい誘いを断った後、私の相手をしてくださるような後任候補は皆無なのだよ。
これを切ったら誰もいなくなるのだ。
デート相手の絶無。
このようなげにおそろしき事態の発生を、自ら招くような状況は絶対に避けたかった。
だから私は自分をだましだまし、男と会い続けていた。
そして今日も待ち合わせ時間の厳守のため、無理やり仕事を終わらせるべく職場のデスクで葛藤していた。
今日なら残業大歓迎なんだけどなあ。
誰か私に頼んでくれないかな残業。
というように、いけ好かない男とのデートというマイナスに、金曜夜の突発的残業というマイナスを掛けて打ち消そうとしている血迷った発想に追い込まれていた。
週明けの月曜日に取引先にオーダーする用品のチェックをしながら、ふとデスクに置いていたスマートフォンの着信表示画面がやたらと光るのが見えた。
何だろうか?
今日はやけに着信数が多い。
まあ、どうせ女友達からのふざけたLINEだろう。
後でバスの中でチェックしよう。

結局誰も残業を頼んでくれなかったので、渋々デート現場に向かうためバスに乗るべく、机を片付けた。
バスの時間、ギリギリ!!
メイクを直す時間もないけど、まあいいか。
メイクを直すテンションも上がらないようなデートだし。このままでいい。
コートだけ羽織って、職場のフロアを出て小走りにバス停に走る。
肩にかけて揺れるバックを小脇で大事に抱えて走った。
最近、いつでも思いついたらライティングの作品が書けるようにとMacをバックに忍ばせているのだ。
ひょんなことから文章を書き始めて1年が経過し、最近ようやく作品を発表することの面白さがわかりかけて来たのだった。
そうか、もう、作品を書き始めて1年が経つのか〜。
しかし、年間に2冊ほどしか本を読むことがなかったようなこの私が、学生の頃の読書感想文でさえ、8割がた、あらすじの丸写しで終わらせていたこの私が
まさか物語を書くようになるとは……。
人生は意外な展開をするものである。
まさにABCユニットでいうところのギャップである。
ABCユニットというのは、最近書店の風雲児的存在である「天狼院書店」の店主である三浦崇典氏が発案したライティング理論である。
いや、正確に言うと、ライティング理論だけにとどまらず、経営にも応用でき、アート写真撮影にも適応できるという、世の道理の根幹をしっかりと抑えた
本質に迫り切った理論なのである。
それがどれほどすごいかというと、ABCユニットを使って物語を展開すれば、何気ない日常のエピソードさえ、オートマチックにドラマ化されて、クライマックスへ一気に駆け上がるようなカタルシスを孕んだ作品に仕上がるのだ。
しかも、それは再現性が高い。
言い換えると、ABCユニットを使えば、発案者の三浦氏だけでなく、誰もが、人を魅了する作品を書けるようになるということなのである。
どうだ!すごかろうが!!
到着したバスに乗り込み、空いていた窓側の座席に座ってすぐさまMacを開く。
ライティングの締め切りに間に合わせるように、バスに乗っている間でできるだけ物語を進めよう。
この作品にまつわるABCユニットをもう一度見直して、私は夢中でキーボードを打ち始めた。
信号待ちでバスが停車した。
ふと窓を見ると、観光客らしき大きな荷物を持った女性たちが連れ立って、爽やかに笑い合いながら信号待ちをしていた。
あー、楽しそう!!
知らない土地で新しいものと出会うきらめきに満ちた表情をしていた。
あ、なんか天狼院書店と初めて出会った時の私も、あんな感じだったかも。
私は、約3年ほど前のことを思い出していた。

3年ほど前、私は、たまたま観光で訪れた東京の街で、これから地元に帰るための飛行機の中で読む本を買おうと思い立ち、ふらりと、とある書店に入った。
ここが天狼院書店だったのである。
三浦氏はこの時店頭で仕事をしていた。
こたつが置いてある変わった書店で、私は何冊か本を購入し、その際三浦氏と二言三言会話をし、私の地元に2号店の出店計画があることなどを知った。
東京には面白い本屋があるんだなあ、しかも、1年後には私の地元に出店する計画があるという。その時は、面白いことになりそうだなあ。お店ができたら絶対に行ってみようと思った。
もちろん、この時は、まさか私が物語を書くようになるだなんて微塵も思いついてない。
単に、東京から面白い書店がやってくるなら、私も一顧客として楽しみたいという、とあるイチ消費者の願いといったささやかな願望だった。
だから、その頃の私の世界には「物語を書く」という発想など皆無であった。
存在すらしなかったのである。
その後、地元への出店準備のため、毎月、三浦氏が私の地元にやってくるようになった。
その時は、「ライティング・ラボ」という今でいうライティング・ゼミの前進版のワークショップを開催するようになったのだった。
私はこのワークショップ開催の事実を偶然にフェイスブックで知ることになり、東京で一度観光した懐かしさも手伝って、ほとんど冷やかしのようにワークショップに参加した。
これは後になって知ったことだが、このワークショップには地元の名だたるクリエイターの方々がこぞって参加していた。
そんな中、クリエイターではないけれどこれから素敵な物語を書いてみたいという心意気のある、私の人生にとって大切なキーマンとなる友人のケイコちゃんと私は出会うことになるのであった。
ワークショップで三浦氏がABCユニットについて熱く説明をする。
私は、これを聞くだけ。
それだけでも、楽しかった。
どうやら、これを実践することで確実に人生が変わるらしい。
東京の西部さんという受講生は、この理論を使って作成した作品が、インターネット上で何十万pvもアクセスがあったそうで、まさにこのABCユニットの素晴らしさの体現者であった。
三浦氏がここまで、この理論の素晴らしさを語り、しかも、このワークショップに参加した参加者たる私には、作品の添削付きで書店のWebページに作品がアップされるという素晴らしい特典までついていたのにも関わらず、私は作品を作る気はサラサラなかった。
何度もいうように、私の世界には「物語を創る」という発想がなかった。
面白そうな書店の面白いプロジェクトの片隅にちょっとだけ間借りさせてもらって、それで創作の活気のようなもののしぶきを、ほんのちょっとだけ浴びさせてもらう、ただそれだけで当時の私は満足していた。
自分で自分の人生を運転するという、そんな気概にかけていたのかもしれない。
ところが、こんな怠惰な幽霊参加者である私に対して、当時真剣な面持ちでこのライティングラボに参加し、優れたヒット作を次々と生み出してアクセスを稼いでいた友人のケイコちゃんがある時、私にこう言った。
「姉さん、何で書かないのさ。あの理論さえ使えば、人生が変わるんだよ。人生が勿体ないよ。」
この時、私たちは焼酎と日本酒をしこたま飲んでいた。
かなり酔っていたはずだ。
でも、私は今でもこの時のことをはっきりと覚えている。
私たちは小洒落た座敷で、骨董品のような茶台を挟んで差し向かいあっていた。狭いお座敷に私たちが二人だけ。
先ほどまでフグの皮を肴に黒佐藤※のロックを上機嫌で飲んでいたケイコちゃんが突然、黒佐藤のようにキリリとした顔で私に言ったのだった。
人生が勿体ない……か。
確かに、三浦氏はこのライティングテクニックで人生を変えられると言っているし、目の前のケイコちゃんも、これまでの生活に加えて、毎週作品を発表し読者からのフィードバックをもらうという弾みのある生活を送っていた。
そこまで言うのなら、私も一度だけ来週の作品提出日に書いてみようか。
「わかった、来週は書く」
私はケイコちゃんに言って、その日の酒宴は終了した。

忘れもしない初作品。
三浦氏に教わった通りのABCユニットを使って書いた、わずか1800字の作品を書くのに、6時間近くもかかった。
一日の4分の1を費やしたのである。
この作品は今でもWebページを検索したら読めるが、読み返すと、まだユニットをうまく機能させきれておらず、私の想いの丈が主張しているようなものだった。
だけど、これが私のまぎれもない第1号作品なのだった。
このちんちくりんな作品を、本当に投稿して添削を受けるのだろうかと思うと、心臓に悪かった。
でも、ケイコちゃんと約束したし。
勿体ないと言われた私の人生の、少しでも思い出になるなら記念として投稿するしかない!!そう思って、思い切って投稿した。。
1週間後、三浦氏の添削を受け、私の作品は晴れて天狼院書店のWebページに掲載されたのである。

面白いもので、どんなに自信がなかったとしても、書店のWebページに自分の作品が掲載されるとなると、誰かに言いたい、誰かに見せたいという欲が湧き上がってきた。
私は掲載されたWebページを添付して友人たちにメッセージで送った。
リップサービスかもしれないけど、みんなが口々に「面白かった!」と言ってくれた。
私は、この時味わった3つの感情が忘れられなかった。
一つ目は、作品を作る時の試行錯誤の懸命さ。
まさに人生を選択の連続で進めているという実感があった。
二つ目は、作品が仕上がった時の達成感。
やった!できた!という非常にシンプルだけど手応えのある快感を大人になっても味わえるとは思わなかった。
そして三つ目は、みんなが私の作品を読んで、私に対するフィードバックをしてくれた時の幸せな感覚。
作品を読んでくださる人の温かさに触れ、私は世界と繋がっているんだという実感にあふれていた。
ABCユニットのABCにはそれぞれの意味があるんだけど、それは実際にライティング・ゼミを受講すれば体得できるだろう。
だけど、私はこのユニットの裏の意味は、人生の「試行錯誤、達成感、世界との繋がり」に集約されるんじゃないかなあと密かに思っている。
このように、初投稿で創作と発表の醍醐味を味わった私は、それから、途中で一時休止することはあっても、この1年間作品を継続して作っては、投稿を続けている。
割とアクセスが多かった作品に対しては、私が知らない方がこれを読んで、丁寧な感想のメッセージをいただいたりした事も、一度だけではなかった。
その後、ライティング・ゼミの猛者たちで構成されている「プロフェッショナル・ゼミ」に於いては、東京と各地方都市の隔たりなんて全く感じないほどに、それぞれの受講生が真剣にしのぎを削り、切磋琢磨の末、どんどんとそれぞれの腕を上げているのが目に見えてわかるのだった。
私たちの関係は、仲間であり、家族であり、そして良きライバルなのだった。
大人になってからこういった繋がりができるだなんて、私はなんという幸せ者なんだろうかという思いで、ここ最近は過ごしている。

このように一年前は、作品を書くという発想がまるでない世界の住人で、単に面白そうな書店のイベントに乗っかるだけで満足してた私だけど、今では、創作と発表の醍醐味を味わい続けたくて、待ち合わせに向かう間のバスの乗車時でさえ、暇を見つけて作品を書くようになった。
思い返しながらしみじみとしていると、二度目の信号待ちでバスが停車した。
あ、そういえば、確か、友達からラインが来てたはず。
バックからスマートフォンを取りだす。
溜まっているラインのメッセージを一つ一つ開いた。
全て違う友人から来ているメッセージだったが、送られて来た文章は全く同じものだった。
「ライティング作品のランキングで、ラムちゃんの作品が三浦越えをしているよ!」
ええええ??まじか??
私の作品、三浦越えしてるの???
三浦越えとは、その週に投稿した作品に対するWebページでのアクセス数が、ABCユニット発案者の三浦氏の作品を超えていることをさすのだった。
まさか、そんなことはあるまい。
私は、Webページで作品のアクセス数ランキングを発表しているメディアグランプリのページを開いた。
「三浦越え、してる……」
座席に座ったまま、私は全身の力がぬけたのを感じた。
嘘だろうという思いと、ホッとした気持ちが入り乱れた感覚だった。
まあ、まぐれだろうけど、三浦越えしたわけだ。
喜びを感じると共に、今週の提出作品は特に気を抜けなくなった。
もうすぐ、いけ好かない男とのデート現場最寄りのバス停にバスが到着する。
デートはきっと消耗戦で、楽しくないことがすでに確定している。
そんなデート、行く必要なんてない。
私は何を恐れていたんだろう!
それよりも、もっと賭けるべきものがここにあるというのに!!!

バス停について、バスを勢いよくヒールの靴で飛び降りて待ち合わせの居酒屋に走る。
男はもうすでに到着しており、退屈そうな顔でメニュー表を物色していた。
私は、「ごめんなさい」と大きな声で男に言って、演歌歌手の挨拶のように深々と頭を下げた。
「私、大切なことに時間を使いたいの。だから、もうデートは続けられない。今日はごめんなさい。」
男は、「えっ?」という顔をしていた。
でも、私はそんなこと御構い無しだった。
今日の締め切りに、いい作品を間に合わせなきゃ!!
何よりも、私の作品を楽しみにしている人いる!
そして、私は、切磋琢磨しているライバルたちには負けたくない。
少しでも読んでいる皆さんの期待を裏切れるような、そんなサービス精神に溢れる小気味好い作品を繰り出したい。
私は、男にもう一度浅く礼をして、居酒屋を飛び出した。
そして、目に止まった見知らぬカフェに入った。
カフェの席について、私は一目散にMacを開き、作品の途中を書こうとした。
その時の記事は、私の得意な作風である人の内臓をえぐるような性に満ちたドロドロとした粘液に満ちた記事だった。
だけど、今私が訴えたいのは、このトピックじゃない。
私は今、ABCユニットで人生を変えた、発案者の三浦氏の記事を越えた私のことをみんなに伝えたいと心から思った。
そして、この記事を読んだ方が市井の人が一人でも多く、「あ、これなら私でもやれるかも!」と思い立ち、これまでの自分とは違う扉を開けてくれたのなら、それだけで記事を書いた甲斐があるだろうと思ったのだ。
無意識にパソコンのキーボードを両手の五指が這う。
「とあるライティング・ゼミ受講者がABCユニット発案者である天狼院書店店主の記事をアクセス数で抜くまでのキセキについて」
とっさに打ったタイトルは、これだった。
よし、締め切りまであともう少し!
私の魂とエネルギーを乗せてこの記事を仕上げよう。
勢いに乗った私は、もし、存在するならば、創作の神様が降り立ってくれたかのような勢いで作品を紡ぎ始めた。
カフェのウエイターが注文を取りに来るまでの間で、作品の三分の一が埋められ、コーヒーを三口飲むまでの間にこの作品が出来上がった。

注釈:※黒佐藤〜焼酎「佐藤」の黒、の愛称。
    キリリとした飲み口が爽やかな印象をもたらす、焼酎界では愛好者の  
    多い飲み物。

    
***

この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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