大きくなっても何になりたいかわからない干物女が出会ったもの
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:まつしたひろみ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「なぜ、出会ってしまったのだろう……」
日曜日の午後のスタバは、とても混雑している。カップルで楽しく旅行計画をしている人たち、参考書とノートを開いて勉強をしている人たち、パソコンの画面をにらめっこしている人たち。次から次へとお客さんが来て、戦場状態の定員さんたち。
そんな空間の中で、私は両手でソイラテのカップを握り、ため息をついた。
こんな思いをするくらいなら、いっそ出会わなければよかった。
辛く苦しい思いなどはしたくなかった。
毎日会社へ行き、同僚とくだらない話をし、仕事をする。気付いたら2回目の成人式を迎えるまであと数年。一度も転職も結婚もしていないので、会社ではお局と呼ばれる年齢だろうか。幸い同じ年代の同僚が多いので、お局にはならずに済んでいるけれど。
休日はスイッチが切れたようにだらだら過ごす。休みの前日はいつもの晩酌よりも量が多くなるので、なかなか起きられない。起きたところでデートなどの予定は何もなく、テレビの前に座り、お茶をすする。携帯でSNSを見たりゲームをしているとすぐに晩御飯の時間で、いつもより早めに晩酌となる。そして寝るまでテレビを見るか、携帯でSNSを見たりゲームをする。
ごくフツーの会社員で、典型的な干物女子。
そんな日常の中に、出会いは突然やってきた。
突然なんていうとすごくドラマティックな感じだが、実際は道ですれ違うくらいさりげないものだった。
「ねえ、ちょっとこっち向いてごらん」
そんな言葉に乗せられて、振り向いてしまった。振り向いたら手招きされた。
ちょうどその時は、余裕があった。余裕がなければ、そんな言葉にも気付かなかったし振り向きもしなかったのに。
仕事で新システムが入るから、業務形態が変わるから、転勤するかもしれない。その予定だったが、大人の事情で新システムが入ることもなく、転勤もなくなり、そのままの業務を続けることになった。そんな時だったから、空けていた時間がぽっかり空いた。そんな隙間に入ってきた。パズルのピースを埋めるかのように、スポッとはまった。
なぜ振り向いてしまったのだろうと、その時のことを考えると後悔してもしきれない。
そんな出会いがあり、関わりを持つようになってからは、本当に優しく接してくれた。
手取り足取りいろんなことを教えてくれた。
初めて体験することも多かった。こんな大人になってから初体験だなんて、ちょっと恥ずかしいけれど、恥ずかしい思いを打ち消すほどいつも楽しく面白くしてくれて。こんなにドキドキワクワク心がときめいてしまうなんて、いつ以来だろう……。
振り向いたのは私だったのに、少しずつ振り向かせようとしている私がいる。
こっちを向いてほしくて、テレビや携帯ゲームの時間を減らし、本を読む時間が少し増えた。パソコンを開いて熱いメッセージを書こうと、休日の時間を費やした。
定期的にこちらから連絡はしていたけれど、時々忙しいのか返事がない時があった。
そんな時は不安で不安で仕方がなかった。絶対連絡をくれるはずだと信じていたから、前にもらったメッセージを読み返したり、先のことを考えて気を紛らわせた。次のメッセージはどうしようと考えたりもした。
それを見ていたかのように、仕事のあいまに携帯を開くと「頑張って!」とか「それいいね!」ってメッセージが入っている。その時は本当に嬉しくて、残りの仕事をいつも以上に頑張れた。早く終わらせて、次のメッセージを書かなくちゃ! と気合いが入った。
……別れが来ることはわかっていた。
わかっていたけれど、それでも頑張ろうと必死になった。
終わることを想像するだけで、悲しくなる。はまっていたパズルのピースが抜かれてしまう。それ以上に、パズルを全てバラバラにされてしまうような気分だ。
別れを意識するまで、こんなに私の中に入り込んでいることに気付かなかった。それほど私は夢中になっていたのだろう。
少し冷めたソイラテをひとくち飲み、またため息をつく。
別れの時間は刻一刻と迫っている。
まだ別れられない、離れたくない!
このままではダメだ。元の生活に戻ってしまう。
そんなの嫌だ!
出会ってしまったことを後悔している。
でも、出会う前の自分には戻りたくない……。
「4月からもライティング・ゼミを受講します!」
もう少し、続けることにしました。
始めた時は「なんとなく」でした。
なんとなく「面白い文章を書いてみたい」それだけでした。
書くことは嫌いではなかったので、少し教えてもらえばできるようになるんじゃないかと、軽い気持ちで始めました。
ちょっとしたコツを教えてもらい、頭では「なるほど」と思うのですが、いざ書いてみるとなかなかうまくいかないのです。うまくいかないのがなんだか悔しくて、書ける人たちに嫉妬もしました。嫉妬するのですが、記事を読むと笑ったり泣いたりして、読んでいる時間があっという間に過ぎてしまうのです。
そして「こんな文章が書いてみたい」とやっぱり思うのです。
特に日常を切り取っているような記事が好きです。
どんな風に切り取るんだろう? と思いながら書いてみるのですが、切り取り方がわからない。
まず、切り取る場所を間違える。野球の記事を切り取りたいのに政治のページで探してしまう。違うページだとわかり、スポーツの記事から野球の記事を探す。野球の記事を切り取ろうと思ったら、今度はサッカーの記事だった。そんな間違いを繰り返し、切り取る場所へ近付けるようになっていきました。
よし、野球の部分が切り取れた! と思ったら今度は切り取り方が雑なことに気付きます。切り取るつもりが、手で破いてしまって周りがビリビリになってしまったりします。ハサミで切れても余分な部分が付いていたり、逆に欲しい部分が切れてしまっていたり。
理想は、本当に切り取りたい部分を、よく切れるカッターで、サイズを間違わずに切り取ること。
それはなかなか難しく、できるようにはなれていません。
高度なことが続けるだけでできるようになれるか、わかりません。
でも、少しは「すごい!」と思う人たちに近付けないかなと思うのです。
ただ、なぜ書きたいと思うのか。
正直、自分でもわかっていないのです。
それでも「なんとなく」続けたいんです。
どうしてもライティングゼミを受けたいんです! なんて強い気持ちはないけれど、「日常」を「特別」なものにしたいから、目の前に映る景色をキラキラさせたいから、もうちょっと頑張ろうかな、って思います。
私にとっては「人生を変える」というよりも「自分探し」のライティングなのかもしれません。
大きくなっても何になりたいかわかっていない大人が、自分を探すことができたら、人生が変わっているかもしれません。
冷めきったソイラテを飲み干し、もう一度気持ちを立て直す。
4ヶ月後、どうなっているか。
私自身が一番楽しみにしている。
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