超保守派就活生だった私が、池袋の小さな小さな書店に就職した理由《アルバイト・スタッフ第1次募集開始》《東京/福岡/京都》
どうやら私は、来るところを間違えたようだ。
忘れもしない2年前、大学2年生の3月だった。
これまで、社員の誰にも言ったことはなかったけれど、正直なところ、それが私の、天狼院書店に対する第一印象だ。
ただなんとなく、もうすぐ就職活動だったから、というだけの理由だったのだ、最初は。就職活動をするんだったら、何か少しは変わった体験を積んでおいた方がいいのではないか……そんなことをうすぼんやりと考えている時に、天狼院書店のアルバイト募集の記事に行き当たった。
何か変わったことをしている本屋らしい。イベントをやっていたり、変わった本の売り方をしていたり、なんか色々本屋らしくないことをやっている。
こんな本屋で働いていました、なんて就活の面接で言ったら、わりと目立つに違いない。そしたら、お給料もそこそこでお休みもバッチリとれて、趣味も楽しめるような、ほどほどに安定した社会人人生送れるんではないだろうか。
そんな下心を抑えつつ説明会に行ってみて、うん、じゃあ採用ね、と言われて。
とりあえず初仕事、として呼び出されたのが、当時製作中だった映画・舞台「世界で一番美しい死体」の稽古場だった。
またお手伝いしてもらえるかな?と連絡を受けて行ったのは、飛鳥山公園で毎年やっている「お花見天狼院」。
そろそろ慣れてきたよね、じゃあまた別のことやってみよっか、と言われて取り組んだのは、ホームページに掲載する記事を書くこと。
……待て待て待て。違うぞ違うぞ。何か、おかしくないか?
私は確かにここで働きたいと言ったけれど、それは就職面接の時にちょっと目立つようなエピソードが欲しかっただけなのだぞ。私自身は別に、ここまで刺激的な日常を送りたいわけではない。私は刺激の少ない安らかな生活を将来送りたいがためにここにきただけであって、まさかここまで変わったことをやってる場所だとは思ってもいなかったぞ。
……私、来るところを間違えたんじゃないだろうか。
これは大人しく撤退を申し出たほうが……
と、私がそんなことを考えている間にも、天狼院書店が打ちまくる「変わったこと」は、次々と私を襲った。
本が好きなら読書会の司会やってみる?と言われ、初めて会うたくさんの大人の人たちと、本について熱く話をしたり。
「旅部」作りまーす、とか言って、日光や江ノ島に、お客さんとスタッフ一緒になって旅行に行ったり。
被写体がいないからモデルやってくれ、と言われて、街中で一般の人にジロジロ見られながら、写真のイベントで撮影をしてもらったり。
女性だけしか入れない「裏フォト部」に立ち会って、女性だけしか作れない世界観に感動(動揺)したり。
そんな日々を少しずつ重ねて、ようやく刺激的な日常にも慣れてきた頃。
私は大学3年生の3月を迎えていて、就職活動に専念するために、一旦天狼院で働くのをお休みすることになった。
働きたい会社や、将来の夢は特にない。ただ、ほどほどのお給料がもらえて、ほどほどに早く帰れて、刺激の少ない安らかな生活が送れればいい。その希望は変わっていない。
けれども、そう思って渋々始めた就職活動は、2ヶ月くらいで終了することになる。
内定が出たからではない。
嫌になってしまったのだ。
毎日毎日、授業の合間を縫ってはエントリーシートを埋め、郵便局に駆け込むという生活を繰り返して2ヶ月。
突然、
「自分、一体何をやっているんだろう」
という言葉が頭に浮かんで、それ以来まるっきり、就職活動と名のつく行動をするのが嫌になってしまった。
これは、就職活動をして、いい条件の内定先を見つけることは、本当に自分のやりたいことなんだろうか。
本当に自分のやりたいこと、送りたい生活ってなんだろう?
そう自分に問いかけると、「誰にも邪魔されずに、安らかな生活を送ることだ」という言葉が頭の中に浮かぶ。
確かに、その言葉は嘘ではない。
嘘ではないのだけれど、なぜかそれをモチベーションにして、行動を起こすことができない。
ということは、無意識下の世界に、現時点では言葉にすることができない「望み」のようなものが存在しているはずなのだ、と去年の私は思った。
私は必ず、自分の中に人生に対する「望み」を持っているはずで、今はそれを自覚できていないだけだ。
まだまだ生きてきた時間は短いけれども、22年の人生の中で体験した出来事を経て、今は自分の気持ちを素直に言葉にする術を忘れてしまっているだけなのだと。
その、心に鎧をまとったような状態も、これから毎日毎日、自分と向き合う時間を作っていけば、だんだんと柔らかな状態まで、いつかは戻っていけるようになるはずだ。
だから、今は焦らず、流れに身を任せてみよう。きっと、待ってさえいれば、行き着くところに行き着くのだ。自分の、本当に行きたかったところまで。
そうやって、ゆるい決意をしてから、1年弱。
私は大学を卒業した。
今でも、学生時代と同じように池袋駅で電車を降り、東通りを歩いて東京天狼院に通っている。
結局、フラフラしていたところを店主に見つかり、「仕方ないからおいでよ」と働かせてもらえることになったのである。
とりあえず、漂流を始めてから1年後に行き着いた場所は「天狼院書店」だった。
今は、めまぐるしい毎日に、自分なりのとっかかりを見つけては、自分のペースでついていけるように頑張っているつもりだ。
本当の自分の「望み」は、まだわからない。
わからないけれど、私のちょっといかれかけた羅針盤は、就職活動を続ける方角を指し示さなかった。
示した方角は、天狼院書店で働き続けること。本来なら望んでないはずの、刺激に満ち溢れた日々に舞い戻ること。
ならば、とりあえず今は、それが答えなんだろうと思う。
将来の私が何を望むかはわからないけれど、今の私は、安らかな生活を送ることよりも、小さくてかなり変わった本屋で、めまぐるしく刺激に満ち溢れた日々を送ることを選んだ。
ならば、今の私の、素直な気持ちはこういうことだったのではないかなと思う。
天狼院書店で働くことを、私は楽しんでいたのではなかったかと。
だから私は今こうしてここに残り、この文章を書いているのではないかと。
***
天狼院書店「東京天狼院」「福岡天狼院」「京都天狼院」では、新しいスタッフを募集しております。
アルバイト・スタッフと同時に、社員候補のスタッフも募集いたします。
いずれの場合も、まずはアルバイトとして採用します。
3ヶ月間の試用期間を経て、希望者の中から、相応しいと店主が判断するスタッフを契約社員に昇格させます。
契約社員としての契約期間6ヶ月間で、もし適性があると判断した場合は正社員への登用を決定いたします。
応募は、エントリー方式です。
まずは、天狼院の公式ホームページの「問い合わせ」
より、「天狼院書店アルバイト・スタッフへの応募」と記し、勤務を希望される「店舗名(東京・福岡・京都のいずれか)」を明記し、簡単な履歴を含めたメッセージを送付ください。担当より、メールを送付いたします。送付には数日かかる場合がございます。
そのメールの返信に、
1.履歴書(*写真付き)のPDFファイル
2.「天狼院書店アルバイト・スタッフ」に応募した理由(2,000字程度)を記したWordファイル
を添付してください。
それを「1次選考」とさせていただきます。
その中で、面接に進んだ方にのみ、担当者から連絡を差し上げます。
なお、募集は複数回開催させていただく予定ではございますが、募集人員に達した場合、予告なく募集を打ち切らせていただきますので、お早めのエントリーをお願いいたします。
皆様のご応募、お待ちしております。
■応募締め切り:5月31日水曜日
【条件】アルバイト・スタッフ
業務内容:店舗運営業務/イベント運営業務/編集補助など
応募資格:業務に支障がないレベルでパソコン・インターネットを扱える方/学生の方だけでなく、主婦の方も大歓迎/土日に入れる方大歓迎
給与:当社規定による出勤日数:週3日以上*完全シフト制
勤務時間:9:30〜22:15の間の3時間以上*シフト制
交通費:当社規定による
勤務地:天狼院書店「東京天狼院/福岡天狼院/京都天狼院」のいずれか
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業務内容:店舗運営業務/イベント運営業務/スタッフ教育/編集補助など天狼院の全ての業務
応募資格:大卒以上*応相談/業務に支障がないレベルでパソコン・インターネットを扱える方
給与:月給制*当社規定による/インセンティブ給与有/社会保険等完備
出勤日数:週休2日制
勤務時間:9:30〜18:30(実動8時間)/13:15〜22:15(実動8時間)シフト制*変更になる場合有
交通費:当社規定による
勤務地:天狼院書店「東京天狼院/福岡天狼院/京都天狼院」のいずれか
契約期間:6ヶ月(延長・社員登用の可能性有)
【条件】正社員
業務内容:店舗運営業務/イベント運営業務/スタッフ教育/編集補助など天狼院の全ての業務
応募資格:大卒以上*応相談/業務に支障がないレベルでパソコン・インターネットを扱える方
給与:月給制賞与有*当社規定による/インセンティブ給与有/社会保険等完備
出勤日数:週休2日制
勤務時間:9:30〜18:30(実動8時間)/13:15〜22:15(実動8時間)シフト制*変更になる場合有
交通費:当社規定による
勤務地:全国の天狼院書店(*転勤有)
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