メディアグランプリ

成績を上げる秘訣はライトノベルを読むことである。


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記事:中村響(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
(この物語はフィクションです)
「えええ、本屋行くのおおお?」
小さい頃、私の4つ下の弟は買い物ついでに本屋に行こうとすると大抵不機嫌になった。
当時はとにかく嫌いでも本を読めと無神経に言ってしまっていた。
しかし、今ならこう弟に言えるだろう。
「ライトノベルを読んでみよう。成績を上げる秘訣はライトノベルを読むことだ」と。
当時から、私と父は自他ともに認める活字の虫でよく本屋に行き、その時母は夕食の材料を買いに行った。
成績もそれなりだったので親としても誇らしかったらしい。
だが、私の弟はそんな私のようにはなりたくないと思ったのか、小学校の時から
毎日野球に明け暮れていた。
当然、テストの点数もそれなりの点数になる。
特に心配したのは母で、「お兄ちゃんみたいに本くらい読みなさい」と
うるさく言っていた。
中学になっても本人はどこ吹く風で、野球漬けだった。
しかしある時、転機がやってきた。
私が高校2年、弟が中学2年のある日、また母が弟に小言を言っていると、
「なんか兄ちゃんお勧めの本ないの?」と言ってきた。
こちらは自分の勉強で精いっぱいであるし、そもそも国語は読書量がモノを言うのであって今からやっても手遅れだとも当時は思っていた。
しかし、無下に断れば話がこじれることは目に見えていたので
当時読んでいたライトノベルの「バカとテストと召喚獣」というシリーズを弟に勧めた。
「そんな漫画みたいな表紙の本」と母は文句を言っていたが、
学園もので身近な内容だし、会話も多いから理解しやすいと押し切った。
数時間後、私が自室で勉強していると、弟が部屋に来て「兄ちゃん、これの続き持ってない?」と言ってきた。
私はしめしめと思いつつ自分の持っている巻を全て弟に貸した。
しばらくすると、他のシリーズにも手を出すようになっていた。
もうここまで来たら立派なオタクの完成である。
自分の楽しいものを人に勧めて共通の趣味を作り出すというプロセスを「布教」と
いう。
私が布教した結果、見事に弟はオタクに染まっていった。
 
そんなこんなで迎えた中間テスト。
弟の国語の点数がとんでもないことになっていた。
Before 42点→After 82点
ほんとうにマンガかと思うような展開である。
ラノベを読み始めたら点数が倍になったのだ。
これは心理的なものが大きいのではないかと思う。
勉強が嫌いという子は大体、能力的な問題よりもバツが付けられて自尊心が傷つけられることが問題となっている場合が多い。
バツが付く→怒られる→やらない→そもそも勉強を避ける→わからない→バツが付く
というループを繰り返していることが問題の本質である。
ラノベを読むことで、そもそも国語の問題文は大した量ではないと思えるようになる。
自信がつくことが最高の薬になるのだ。
なにせライトといっても1冊300ページはあるような文章が読めるようになるのだ、
圧倒的に分量はライトノベルの方が多い。
それ以来、中学高校と弟のカバンの中にはライトノベルが常備されることとなり、
国語に関してもそう悪い点数は取らなくなった。
そんな弟は、要領よく就職活動で内定を勝ち取り、今日も部活動に精を出している。
高い能力もライトノベルを読むことで培われたのだ。
本人曰く、小学校と中学校時代に一番腹が立ったことは母が出来もしないことを
自分に押し付けてきたことらしい。
実は母は理数系の頭で自分が本を読むことを苦手にしていた。
それを棚に上げて自分に押し付けてくることが何より嫌だったというのだ。
親というのは自分が出来なくて苦労したことを子供に「あなたが苦労しないように」
という言葉でオブラートに包んで押し付けるらしい。
だが、そんなものは見透かされて反発されるのがおちだろう。
もし子供に本を読んで欲しい、成績を上げて欲しいと思うのなら、
そんな不毛なやり取りではなく、
机の上にそっとライトノベルを置いておく方が良いと思う。
お子さんに勧めるのに「バカとテストと召喚獣」というシリーズは最適である。
このシリーズは「このライトノベルがすごい!!」というライトノベル版の本屋大賞にも選ばれている。
過去の歴代の受賞作に比べてもとっつきやすさと緻密な内容という
相反する要素を高いレベルで両立している。
会話調の文章が多く親しみやすい文体、ハードカバーに比べて安い価格。
ライトの名に似合わぬ、緻密なストーリー。
主人公たちのまっすぐな青春に虜になること請け合いである。
敷居は通常の本よりずっと低い。
そして、何より成績が上がる実績がある。
もし、同じクラスや部活動の中にライトノベルを読んでいる友達がいたら、
もう成功はほぼ確約されたようなものだ。
できれば小学校高学年、中学2年生までがベストタイミングだ。
是非とも世の親御さん方がライトノベルを通じて、読書の楽しみをお子さん方と共有してくれたら望外の喜びだ。
最後に注意ですが、布教しようなんて微塵も思っていません。ええ勿論ですとも。
 
 
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2017-05-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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