雑誌『READING LIFE』の「博多美人特集」を読んで手に入れられるものは、美しさとは限らない
記事:中村 美香(マーケティング・ライティング特講)
雑誌『READING LIFE』2017夏号が我が家に届いてから、10日経った。
私が、この雑誌を買った理由は、天狼院書店の客の立場にも関わらず、編集部員として企画に参加したからだった。
思い入れもあったし、読みたい記事もあった。
特集の「『本』の再定義」は、買ってすぐに読んだ。
なるほど! と、思って読み進んで、その通りだと実感し、これからも、再定義された「本」と上手に付き合いながら、人生を切り開いていこうと、鼻息を荒くした。
期間限定で、WEBに公開された「書籍は『本』の劣化版である」という天狼院書店の店主、三浦さんの記事も、Facebookでシェアをした。
私の大切な友だちの感性のアンテナでも、受信してもらえたらいいなと願ったからだった。
ああ、この雑誌は、写真も、装丁も美しく、フルカラーでいいな!
特集「『本』の再定義」も最高だ!
買ってよかった!
そう思った。
しかし、この本には、まだ、たくさんの記事がある。
だけど、正直に言わせてもらうと、私は、まだ、全部を熟読していない。
雑誌の購入を勧める記事を何本も書いて、「ぜひ、買って、読んで、人生を変えましょうよ!」と、呼びかけている私が、10日も経っているのに、全部は読んでいないなんて、どういうことだ! と、叱られてしまうかもしれない。
あんたがいいって言うから、買ってみたのに……。
そんな風に言ってくれる人が、もし、いたら、私は「ありがとう」と「ごめんなさい」の両方を言わないといけない。
嘘はついていない。本当にいい雑誌だと思っている。
それなのに、私が、その他の記事を素直に読めないのには、理由がある。
特集「『本』の再定義」は、3回読んだ。
だから、特集2「博多美人はなぜ美人なのか?」を読めていない理由は、時間がないせいではない。
じゃあ何か? と言うと……
それは、嫉妬だ。
それも、2種類の嫉妬。
ひとつは、仲間への嫉妬。
最初に、雑誌『READING LIFE』2017夏号をお勧めする記事“雑誌のライターになるチャンスをものにできなかった私が、もう一度、恋をしたいのは……”に、書かせてもらったけれど、この天狼院書店のライティング・ゼミ・プロフェッショナルコースに在籍しながらも、力不足により、記事を採用してもらえなかった。
一緒に学んだ仲間の記事が、この素敵な雑誌に載っているかと思うと、羨ましくて、悔しくてたまらなかった。
お勧めする記事を書いて、この悔しさをエネルギーに変えて昇華させたつもりだったけれど、やっぱり、まだ、悔しさはどうしても残っていたのだ。
素晴らしいのはわかっているけれど、一読者として、楽しめる冷静さを失っているとわかっていたので、もう少し、気持ちを落ち着かせたかった。
もうひとつは、美人への嫉妬。
「博多美人はなぜ美人なのか?」
は? 正直、そんなのどうでもいい。
悪態をつく私がいる。
そして、私は、知っている。博多の人は美人だということを……。
天狼院書店のライティング・ゼミ・プロフェッショナルコースの仲間だって、福岡勢は美人だらけだった。
前期までは、京都天狼院に受講者が居なくて、福岡天狼院と、東京天狼院の二元中継だったけれど、私が受講している東京天狼院のスクリーンや、都合が悪く、家で通信で受講している時の自宅のテレビ画面から、福岡勢の女の色気は、いつも滲み出てくるようだった。
博多の人は美人だということくらい知ってはいるけれど、その理由を知ったって、自分が美人になれるわけではない。
これは、男性のためだけの特集なんじゃないか?
女の私が読んだって、仕方がないじゃないか?
とても言いにくいけれど、みんなに勧める一方で、そんな風にも思っていた。
そんな一筋縄ではいかない、この雑誌への私の思いは、晴れることのないまま、月日は流れた。
3000冊限定。重版はしない。
先日、そう聞いた。
そうか、それならば、みんなが躍起になって、お勧めする記事を書かなくったって、そのうちいいものだから売れるに違いない!
もうそろそろ、雑誌『READING LIFE』2017夏号のことなど忘れて、未来へ向かって歩き始めよう!
そう思った。
でも……
本当にそれでいいの?
私の中で、声がした。
全部読まないままでいいの?
一緒に学んだ大切な仲間が書いた記事を、やっぱり、ちゃんと読みたいと思った。
「博多美人はなぜ美人なのか?」ちゃんと知ってから、美人になれないって諦めればいいと思った。
読んだ。
あ、こんな記事だったんだ……すごい……。
私は、編集部に所属していたから、彼女たちの記事を、随分前から読める環境にあったのだ。だけど、素直に読めなかった。
さらっとは、目を通してはいたけれど、しっかりとは読んでいなかった。
天狼院書店のスタッフさんで、筆力抜群の川代紗生さんによる「博多美人をつくる職人」という記事。
「あなたは、どの博多美人タイプ?」というチャート。
そして、4人のライターたちによる小説。
最後に、三浦さんによる「私家版『博多美人論』~『空気』が美人を作っている~」と続く……。
三浦さんの記事は、期間限定で、Webに公開していたから、もしかしたら、読んだ方もいるかもしれないけれど、私は、これを読んで気がついたことがあった。
東京のファッションの中心の表参道には、当然のことながら、「S」クラスの美人がたくさんいる。だけど、池袋にはそれほどいない。
博多には「S」クラスはそうそういないまでも、「A」クラス、もしくは「B」クラスの美人はたくさんいる。
ようは、「美人率」の問題とのこと。
天狼院のある東京・京都には、「美人でなくてもいられる」優しい空気が、同じく天狼院のある福岡には、「美人でなければいられない」厳しい空気があるという。
あ、そう言うことか。
天狼院書店のライティング・ゼミ・プロフェッショナルコースには、文章のうまい猛者たちが集まっている。
彼らと机を一緒に並べて、学んでいると、とても楽しい反面、努力して面白い作品を生み出さなくてはならないという厳しい空気も感じた。
仲間の才能を羨ましく思いながらも、どうしたら、そうなれるのか秘訣を聞けることも少なくなくて、とても勉強になった。
時には、反対に、私のことも聞かれて、自分のやっていることなんて、大したことないと思い、恐縮しながらも、話をすると、「参考になった」とか「真似してみる」なんて言われて、悪い気はしなかった。
あ! これは、美人たちが、自分が使ってる化粧品を教え合ったり、行っている美容院を教え合ったりしているのと似ている気がする!
もちろん、本当の秘訣は、お互いに、出し合っていないかもしれないけれど……。
これらのことは、「美人」にも言えるし、「うまい文章」にも言えるし、もしかしたら、「仕事」にも言えるのかもしれない。
ライバルが多いということは、その分、そこには、厳しい空気が流れていて、その厳しい空気こそが、人を成長させるのかもしれない。
そうは言っても、全てのことにおいて、ずっと厳しい空気の中にいることは、とても難しいと思う。
だけど、これぞ! と思うことにおいては、自らを厳しい空気の中に放り込むことで、結果的に、効率よく、自分の伸ばしたい力を伸ばすことができるのではないだろうか?
ああ、せっかくの「美人」の話だったのに、「うまい文章」の話にすり替えてしまった。
これでは、私は「美人」にはなれそうもない。
だけど、こうやって、ひとつの話から、全然関係のない話に、自然に、すり替えてしまうということは、きっと、今、私の中には「うまい文章」を書きたいという気持ちが充満しているからかもしれない。
雑誌『READING LIFE』2017夏号のどのページが、手に取ったひとりひとりのどの部分に触れ、自分事にすり替えられて、人生を変えるスイッチを押すことになるのかは、実際に手に取ってもらわないとわからない。
だから、まだ、全部読み終えていない私だけれど、やはり、ひとりでも多くの人に、手に取ってみてもらうことをお勧めしたいと思う。
少しでもピンときたら、ぜひ!
【雑誌『READING LIFE』予約する際の注意と通信販売について】
いつもありがとうございます。雑誌『READING LIFE』副編集長の川代でございます。
『READING LIFE』は3,000部作りますが、発売日にお渡しできる分の数に限りがございます。確実に手に入れたい方はご予約をおすすめ致します。初回限定特典として、ご予約先着順にて、雑誌『READING LIFE創刊号』(2160円相当)を差し上げます。この創刊号のお渡しは、なくなり次第終了となります。ご了承ください。
また、万が一予約が殺到した場合、予約順でのお渡しとなりますのでご了承くださいませ。
店頭、お電話、メール、下の問い合わせフォーム、Facebookメッセージなど、あらゆる方法で予約受付致します。
雑誌『READING LIFE2017夏号』2,000円+税
6月17日(土)19時から東京天狼院、福岡天狼院、京都天狼院各店にて発売開始・予約順のお渡し
今回は通信販売も同時に受付開始します。通販での受付も予約受付順の発送となります。PayPalでの決済完了時間が予約受付時間となります。
通信販売の場合、送料・手数料として500円別途頂きますが、その代わりに天狼院書店でご利用頂ける「コーヒーチケット(360円相当)」をおつけしますので、店舗に来る際に、ぜひ、天狼院でご利用頂ければと思います。
通信販売分は、発売日より、予約順に順次発送致します。
《一般・店舗受け取り》*雑誌『READING LIFE創刊号』つき
雑誌『READING LIFE2017夏号』2,000円+税
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雑誌『READING LIFE2017夏号』2,000円+税
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