ABCユニットのいい塩梅
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:すーちゃん(ライティング・ゼミ 平日コース)
私は、ずっと文章を書けない人間だと思って生きてきた。
私の文章黒歴史は、
小学校低学年のころから始まる。
20代の人には、伝わるだろうか。小学校の頃に宿題でよく出た「先生あのね」ノート。
「先生あのね、」から書き始めて、自分の思ったことや気づいたことを書く、
日記のような宿題。
私は、この宿題が苦痛過ぎて、見かねた母が、私の横で語ってくれるのを
必死に書き取りをしていた。
この「自分で文章は考えられない」という思い込みは、中学校以降も続く。
中学の頃の読書感想文は、母がワードで書いた文章を丸写し。
高校になると、少し知恵をつけて、インターネットでそれらしい文章を見つけて、
自分らしくアレンジをして、提出するありさま。
「文章は、私の書くものではない」と思い
その書き方を全く知らないまま、社会人になってしまった。。
しかし、世は「誰もが発信する」時代。
FacebookやInstagramのようなSNS、YouTubeのような動画、ブログ……
この世に存在するには、自分を発信することが必要で
そのためには、「書くこと」は避けられないものになってしまった。
「Facebookの投稿は流れてしまうから、ストックできるブログがいいよ」
と何人かの友人に言われ、ブログを立ち上げてみたものの、
何を、どう書いたらいいかがわからない。
仕方ないから、いろんなブロガーさんが書いている「ブログの書き方」を
いくつも読んでみる。
けど、結局、みんな、自分のいいと思う方法を書いているだけで
(もちろん親切で、しかも実績も伴って説明してくれているのだけれど)
いろんな主張がありすぎてむしろ迷子になってしまった。
そこで、藁にもすがる思いで申し込んだのが
今回の「天狼院書店 ライティングゼミ」だ。
いろんな人のやり方をつまみ食いしすぎて迷子になったのであれば、
一度、型をしっかりと習ってみようと。
その第一回目の講義で出てきたのが「ABCユニット」。
「ABCユニット」について詳細に説明はしないけれど
簡単に言えば、文章を書くための公式のようなもの。
ただ、たいていの数学の公式がそうであるように
公式を覚えること自体は難しくないのだけれど
公式をうまく使って、文章を書くことが、とっても難しい。
数学の公式は、その文字にどんな数字をあてはめたらいいかさえわかれば
計算をすれば解ける。
けれども、ABCユニットは、その公式に要素をあてはめてからがスタート。
その要素をどのように使って文章を書いていくかも重要な部分なのだ。
ABCユニットをどうやって文章に活かせばいいのか……。
それをベッドの中で悩んでいて、ふと思い出したのが、祖母との会話。
大学1年生のちょうど今頃の季節。
「初めての一人暮らしで、寒くなってきたし、あったかい煮物でも食べたいな」
祖母の作ってくれた、あのほっこりする味が食べたいと思い、
煮物の作り方を聞くために祖母に電話をかけた。
そのとき、祖母から返ってきた答えは、
「昆布でだしを取って、しょうゆと酒とみりんをいい塩梅に入れれば大丈夫」
私が期待していたのは、
よく料理本にあるような、だし汁何MLに、醤油大匙何杯のような具体的なものだった。
「ありがとう、やってみる」と口ではお礼を言いながら
「入ってるものは知ってても、
その「いい塩梅」がわからなくて電話したんだよ、おばあちゃん!!!」
心の中で叫んだ。
正直、和食の味付けは、だしと醤油、酒、みりんの分量の違いだけ。
入っているものがわかっても、
いきなり「いい塩梅」がわかるはずもなく。
とりあえず、クックパッドで祖母のレシピに近いものを探し
まずは型どおりに作ってみて。
ちょっと違うなと思ったら、足りないものを足してみて、メモを残す。
次に煮物を作るときは、別のレシピを試して。
足りないものを足して、メモを取る……。
その繰り返し。
作って、調整して、覚えて、作って、調整して、覚えてを繰り返していくと
自分の中で「いい塩梅」が構築されていく。
今は、味見をしながらではあるけれど、自分の好きな煮物の味付けを
自分のなかの「いい塩梅」でできるようになっている。
それは、あの時祖母の言ったように「いい塩梅」としか言い表せない、
具体的な数字では言えないものである。
なぜって、その時の具材の種類や、性質によって味が変わるから。
文章を書くことを考えていて、祖母の言葉を思い出したのは、
「いい塩梅」は試行錯誤の中からしか生まれないということに気づいたからだろう。
文章という料理を作るために、
ABCユニットという、煮物でいう醤油・酒・みりんの調味料セットがあって
調味料として何を入れるのか、まではわかったけれど
それ使って「いい塩梅」の文章にするには、
型どおりに書いて、考えて
考えて、型どおりに書いて、考えて
を繰り返すうちに、私の文章としての「いい塩梅」がきっと見つかる
そのためには、頭の中でただ、どうすればいいのだろうか
と悩むだけでなく、まずは恥ずかしがらずに文章にしていくこと。
怖がらずに書いていこう。
煮物が、私の血肉となっているように
文章もきっと私の財産になるはず。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/42175
天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。