私のライティング、セカンドステージはここから
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:一宮ルミ(ライティング・ゼミ日曜コース)
「泣いても、笑っても最後の一回か」
天狼院書店のライティング・ゼミ、とうとう記事の投稿も最後になった。
始まった時は、お盆の残暑厳しい時だった。
私の住んでいる徳島市では「阿波おどり」の真っ最中だった。賑やかな太鼓や鉦の音と光の渦と人の波に脇目もふらず、一目散に家に帰り、パソコンに向かい課題の記事を書くことに没頭した。
そうやって書いた記事はどれも大切な自分の分身のようで、愛おしくてたまらない。
仕事がうまくいかず、悩んで悩んで、本気で仕事を辞めるつもりで、ライティング・ゼミに申し込んだんだった。
「人生を変えるライティング・ゼミ」
この講座はそう銘打たれていた。
私の人生は変わったのだろうか。
このライティング・ゼミを受けるにあたって、自分に課していたのは、課題を絶対、締め切りまでに提出することだった。
苦しかった。
書きたいことはあっても、言葉にならない。
書きたいことが、思いつかない。
書いていたら自分の本音が飛び出してきて、泣けて来て、筆が進まなくなったこともあった。
掲載されなくて、想像以上に落ち込んだこともあった。
毎週やってくる締め切りのために、四六時中、書くことを探した。
寝ている間さえ、夢の中で記事のネタを探していた。
リビング、寝室、カフェ、ファミレス、旅行先のホテル、いろんなところで書いた。家の庭で書いたこともあった。
書く時間を作るために、週末はほとんど引きこもりになった。
最後の1ヶ月は、仕事の繁忙期と重なって、休む暇さえない。
なんでこんなこと始めてしまったのだろう。
記事が書けない、時間がないとぼやいていたら、
「どうしてそんなに自分を追い込んでいるの?」
と、友人に呆れられた。
「追い込んでるつもりはないよ。ただ好きでやってるだけ」
としか答えられなかった。
けれど、本当のところはどうだろう。
こんなにしんどいと思いながらも、それでもやって来られたのは、自分の書いた記事が認められて、少しずつ、「自分も書けるのでは」と言う自信が芽生え始めていたからだ。
ふとこんなことを思い出した。
今から20年以上前のことだ。
自動車運転免許を取るために、自動車教習所へ通っていた。
教習車に乗って実技の練習をする時は、助手席に教習所の先生が乗って運転する私に指示を出してくれる。時には事故にならないように助手席についたブレーキで、車を止めてくれる。
「はい、次は右ですよ。ウインカーを出して、左後方を確認して、ゆっくり曲がりましょう」
と、丁寧に指示を出してくれる。
私は、先生の言う通りにすれば、安全に左へ曲がることができる。
車庫入れだって、先生の指示通りにすれば、すっと入れることができる。
教習所の卒業試験のときでさえ、先生の指示はないものの、本当に危ない時は先生がどうにか車を止めて、事故にならないようにしてくれるのだ。
それに、毎回設定された課題をクリアすれば、次のステップに進める。自分の運転技術のレベルを確認することができた。
でも教習所を卒業し、免許を取ってしまえば、誰も安全走行のための指示は出してくれない。知らない道でも、どんな道路事情でも、自分の運転技術が低くても、事故にならないよう、自分で考えて、運転しなければならない。どんな袋小路に迷い込んでも、自力で脱出しなければならないのだ。それが免許を持って独り立ちすると言うことだ。
ライティング・ゼミはそんな自動車の教習所に似ている。
講義で、ライティングのやり方を教わる。それから自分で書いて、提出してみる。すると毎回、天狼院書店のスタッフさんが講評をしてくれて、文章のいいところや問題点を的確に把握して、コメントをくださる。自分では気づかない点の指摘を受け、目から鱗が落ちた。まるで、教習所の先生のように、学んだこととズレていれば、軌道修正してくれて、正しい方へと導いてくれた。
けれど、それもとうとう今回で終わりなのだ。
これからは、自分でどうにかしていかなければならない。
もうこんなしんどい思いはやめようと、ペーパードライバーになって、もう書かないと言う選択肢もあるだろうが、私は、そうはしたくない。
せっかく手にした免許なら、乗りこなしてみたい。
どんなに袋小路に迷い込んでも、結果が伴わなくて落ち込んでも、自分で考え、自分で軌道修正しながら、書き続けていきたいと思うのだ。
いや、もう書かずにいられない人間になってしまったかもしれない。
街を歩いても、テレビを見ても、本を読んでも、書くネタとして考えてしまっている。どうすればこの面白さを伝えられるだろう。自分の考えとどこが同じでどこが違っているのだろう。そんなことばっかり考えてしまうようになってしまった。
「ただ好きで書いているだけ」
友人に返した言葉は、真実だった。
「人生を変えるライティング・ゼミ」
人生の舵が大きくきられた訳ではない。
今も、同じ仕事を続けている。辞めたいと思うこともあるけれど、まだ辞める勇気は出ない。家族や友人との関係に大きな変化もない。
でも、私の中に、新しい「好き」が見つかった。
さあ、私のライティング、セカンドステージの始まりだ。
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