人生を「学ぶ」ライティング・ゼミ
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:中原優香(ライティング・ゼミ平日コース)
物事を終わらせるのが苦手だ。
惰性で続けているようなアルバイトも、ずいぶん長い間行っていないサークルも、もうだめかもしれない恋愛も。
やめどきが分からないのだ。終わらせる決心がつかない、と言ってもいい。
しかし、こっちの都合などおかまいなしに、終わりを迎えることはたくさんある。
たとえばそれは、一年間。あわただしい年の瀬や誕生日の前日、訳もなくわたしはそわそわしてしまう。
なにかやり残したことはないだろうか、などと焦って考えるうちに時間はどんどん進み、気づくと一年が終わってしまうのだ。
天狼院書店のライティング・ゼミだって、そのうちの1つなのである。
はじめて店舗で受講したのは、たしか第二講めのことだ。
おそるおそる足を踏み入れた京都天狼院の二階には、すでにさまざまな年齢の人たちが集っていた。
全身で緊張しながら席に着き、ノートをひらいて背をのばす。
周りをざっと見る限り、わたしと同年代の人はいなさそうだった。
ちゃんと、うまく話せるだろうか。そう不安に思いながら講義を受けるうち、グループワークの時間がやってきた。
その時わたしのテーブルにいたのは、たしか全員女性だったと記憶している。
母と似た雰囲気の方、祖母と同じくらいの年齢に見える方、バリバリに仕事ができそうな方。
外見から受ける印象はそれぞれ違ったけれど、全員が人生の先輩であることは間違いない。わたしは、背筋に力を入れなおした。
しかし、まったく案ずる必要はなかった。
こんな若造の意見にも、皆さんは全力で耳を傾けてくださり、さらには褒めてくださったのだ。
そのことももちろん嬉しかったのだけれど、それ以上に興味深かったのは今の状況、つまり、さまざまな立場の人と意見を交わすということ自体。
大学では少なくとも週三日程度、講義を受けているのだけど、それとは全然違ったからだ。
教授が話して学生が聞く形式とも違うし、同年代のグループでディスカッションをするのともまた違う。
年齢も立場も職業も違う人たちと、こうやって一堂に会して意見を交換できる場など、めったにあるものではない。
講義終了後、わたしはえもいわれぬ満足感でいっぱいになっていた。
翌々週、第三講めのグループワークで、わたしはその想いをますます強くすることとなる。
その日は、先週とは打って変わり、男性お二人と同じグループになった。
頭の切れそうな男性と、優し気な初老の男性。またしても、わたしが一番の若造である。
にも拘わらず、この日も本当に楽しかった。
わたしが発言するたび、お二人は「あーなるほど!」「そんな視点もありますね」などと、本当に感心したように言ってくださるのだ。
人生の大先輩と、対等な関係で話ができる。真っ向から意見をぶつけることができる。
それは、わたしにとって、とても新鮮なよろこびだったのだ。
後日、実家に帰ったとき、母にその話をした。
講義の内容だけじゃない、いろんな年齢や立場の人たちと意見を交わせるということ自体が、すごく楽しくて充実しているのだと。
すると、母はこんな話をしてくれた。
母の友人で、英会話教室に通っている人がいる。
その教室には、高校生から年配の方まで、さまざまな年齢層の人がいるらしい。
その人が、こう言っていたそうだ。
「私、英語じゃなくて人生を習いに行ってるような気がするわ」
人生を習う、か。
その言葉は、今のわたしの気持ちにすごくぴったりだった。
わたしたちが支払ったライティング・ゼミの受講料には、多分講義の内容だけじゃない、たくさんのものが含まれていたのだと思う。
正直、学生の身にはちょっと痛い出費だった。
でも、実際に店舗に出向き、ほかの受講生の方と言葉を交わしたあの時間には、きっと確かな価値があったのだ。
四か月間ずっと、前向きにポジティブにがんばれたわけでは決してなかった。
ぜったい全部出すぞ! と意気込んだ初期の決意はどこへやら、課題を出せなかったことも数回あった。
自信のあった記事にダメ出しを食らい、「もう書きたくねー!」ってなったこともしばしばだった。
でも、と思う。
最終講、久しぶりに店舗で受講していると、やっぱりとても意味のある経験ができたんだと思えてならなかった。
年齢も立場も職業も違う。でもこの人たちはみんなわたしと同じ、書きたくて、伝えたくてここへやってきたんだと思うと、否応なしに胸が熱くなるのを感じた。
ライティングの技術や伝え方のコツ、だけじゃない。
わたしはこのライティング・ゼミで、人生を学んだような気がしている。
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