いまどきの若者って全然わかってないくせに
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:西嶋祐子(ライティング・ゼミ平日コース)
「いいねが欲しくて、インスタあげてんの? いいね病じゃないのそれ。
オレが目の前にいるのに、さびしいわけ?」
大学生風にみえる
耳にピアスをした茶髪の男の子の発言が意外で
思わず、顔を上げそうになる。
「だって、オレと話してるのが面白くないって
言ってるようなもんじゃん。
なんかイヤだ。
今ここにいるの、オレら。
この時間楽しもうや」
とあるカフェで
私もランチを待っているそばで
どんどん白熱してくる。
ぱっと見の、ちゃらさで判断して、
関わらないようにしようと思ったはずだった。
でも、耳は、確実に、会話をひろっていて、
なんか分かるよ分かるよ、っていう気持ちと
あっ、私も、それやってるっていう恥ずかしい気持ちと両方が入り混じる。
同じ場所にいて、誰かと一緒にいるのに、
SNSにあがっている投稿を、別々の携帯でみながら
コメントしあうなんてことも、しょっちゅうあるからだ。
確かに、この場所にはいるのだが、いないような気持ちになることもある。
そうだよね、と、自分が言われているみたいに、思わず反省モードになる。
「○○なんかさー、インスタのためにバイトしてるようなもんでさ。
バイト代もらったら、いいねいっぱいもらうために、
わざわざ遠出しながら、美味しいもの写真に撮ってるらしいよ。
いいねの数って、そんなにうれしいのかな?」
「オレは、うれしいけどね。
特に知らない人が、いいね押してくれると、
興味がある人とつながれたみたいで、うれしい」
へえ、そうなんだと、頷きそうになる。
「認めてほしいっていうのとは違う何かがあってさ。
自分の周りの友達とは、別の意味合いがあってさ、単に、興味があるものだけをアップして、
それを、いいなって思ってもらえる人が世界にいるっていうのが、うれしい」
いまどきの若者って、こんなに素直なんだという驚きと、
見た目がちゃらいとか、ぱっと見で、判断してしまうくらい
頭が固い自分にがっかりした。
全然わかってないのは、むしろ私じゃないか。
なんか年をとったことを実感させられてしまう。
なんか、いろいろしっかり考えているんだな。
ただスマホばっかりみてるわけじゃなくて、
ちゃんとコミュニケーションの1つとして、使いこなしているだけなんだ。
なんかいいなって思えた。
スマホ依存などという言葉もある中で、
いまいち時代についていけてない私でさえ、
今目の前から、スマホが消えてしまったら、
きっとパニックになるだろう。
それくらい、便利さが生活の中に入りこんでいる。
私は、旅が好きで、あちこちふらりと出かけることがある。
大学生の頃は、携帯もメールもない時代だったから、
事前準備が大変だった。
ふらりとでかけるなんて
不安で不安で、とてもそんなことはできなかった。
図書館へ行って、地図をコピーすることが、
旅のはじまり。
いざというときは、それを現地の人に見せて
目的地へたどり着くためだった。
新幹線の時間も、事前に調べて、それに乗ることしかできなかった。
旅を楽しむどころか、時間に遅れたらどうしようかと、
緊張して、おなかが痛いまま、新幹線に乗ることも
しょっちゅうだった。
今は、スマホがあるおかげで、
宿泊先も、新幹線や飛行機も旅行先で予約変更もするし、
旅先の情報も、移動しながら、どんどん調べることができる。
むしろ情報が、あふれかえっているくらいだ。
私は、スケジュールに余裕があって、
行った先で、情報を聞いて、
ふらふらするのが好きなタイプだということがわかってきた。
田舎者で方向音痴の私が、
国内旅行なら、なんとかなると安心できるのも
スマホで、友達とつながっていられるからだ。
フェイスブックなどに、
今ここにいます
と、投稿しておいたら、
それならここに行くといいよ、きっと好きだと思うから
と、教えてもらえることも多く
自分では、思いつかなかった情報から、
想定外の場所へたどり着けるのがいい。
お気に入りの場所がみつかると、
写真にとって、ネット上にアップしては
コメントのやりとりを楽しむ。
新幹線を乗り過ごしそうになったことも、
笑い話のいい思い出になる。
一番助かるのが、
道に迷って困っていたり、
災害などで、新幹線が遅れているときなど、
ネット上から、コメントをもらって、助けてもらえることだ。
なんだか、さっきの大学生風の男の子たちと、同じではないか。
使いこなせている度が、違うだけで。
結局、
自分がどのようなスタンスでいるのかを、
決めておけばいいだけの話だ。
そしたら、コミュニケーションをとれる1つの手段として、もっと楽しめる。
「じゃあ、あとでアップするからさ、インスタに。今、写真だけ撮らせてよ」
「じゃあ、オレもあとで観るわ」
「結局、観るんか。ホントは、お前が、さびしいんじゃないんか」
なんだか微笑ましい笑い声が、聞こえてくる。
ここでのランチの写真を、私もインスタにアップしてみようかとも思っていたが
あのとき、あの席にいた、おばちゃんって言われそうな気がして恥ずかしくて
今日は、やめることにした。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
http://tenro-in.com/zemi/47691
天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら
天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
【天狼院書店へのお問い合わせ】
【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。