天狼院は池袋になければいけなかった。 《プロフェッショナル・ゼミ》
*この記事は、「ライティング・ゼミ プロフェッショナル」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:土井智世(プロフェッショナル・ゼミ)
「池袋が好きだーー!!!!」
と叫んでもいいくらいには私は池袋が好きだ。
例えば「I LOVE TOKYO」って書かれたTシャツは着れないけど「I LOVE IKEBUKURO」ならいいかなって思えるくらい。
元々家が近くて通っていたこともあったが、引っ越して離れてしまった今でも通ってしまう。
ここにいると自分の家みたいに落ち着くことも度々ある。
それは通いすぎたからかなとも思うけど、数回行った時点で落ち着くと確かに思った。
なんでだろうと思うけど理由は単純だ。
池袋を包み込む「混沌」みたいなもののせいだと思う。
一歩道を外れると全然違う景色になる。
ギラギラとゲームセンターがたくさん並んでいると思ったら、ひっそり居酒屋ばかり立ち並ぶ道、その近くには公園があって、
本屋も珍しいくらいたくさんあって、劇場も大小様々なものが入り乱れている、コスプレした人の横をスーツの集団が通り過ぎる、そんな中を色んな人が闊歩していく。
池袋はそんなに広くない、でもその中にないものなんてないんじゃないかってくらい色んなものがぎゅっと詰まっている。
本当に混沌としている。そしてどこか熱をはらんでいる。
それこそ、全然自分の知らない未知の世界がすぐ隣にあるような。
この混沌さに懐の深さを私は感じたのだった。
池袋には流行がないなと思う、というかあるししっかりと池袋を流行は流れているのだけど、自分にとっていいものはこっちだからとさっぱりと割り切っている人が多いような気がする。
うまく言えないけど、流行りがマジョリティではない感じ。
中高と教室の中で誰かに合わせようとしてしまっていた自分が、家では「良い子」でいたい自分が、等身大でいられたのが池袋だったのかもしれない。
池袋はいつだって私に「君もここにいていいんだよ」と言ってくれている気がする。
そして混沌と懐の深さは「池袋ウエストゲートパーク」や「デュラララ!!」と言った池袋を舞台にした小説でも色濃く感じる。
そんな中、池袋をふらふら歩いていた私は、天狼院書店に出会った。
東京天狼院に初めて行った時、ぎゅっと何かが詰まっていることを感じて幸せな気持ちになって、ほっとした。
行ってみればわかると思うのだけど、狭い店内にはギュギュッと本が並べられている。
小説に出てくる本を高く積み上げた不思議な書店を連想してしまうような。
そんな柔らかい熱を帯びた空間の中に「秘本」と呼ばれる黒いブックカバーに包まれた題名も分からない、ポップだけが書かれた本がどっしりと構えていてワクワクする。
結構本屋をぐるぐるぼんやり見てまわることが私は好きだったからか、なんか品揃えが普通とは違うことを感じ取っていた。
よくある本屋に平積みされているのとはラインナップが全然違う。
しかも面白そうなのだ。
そんな中にあるテーブルやこたつ。すごく面白くて秘密基地みたいでドキドキしたのを覚えている。
その勢いのまま駅前店にも行った。
こっちも負けず劣らず面白かった。
ぎゅうと詰まった本に一冊一冊丁寧に書かれた愛が伝わるポップ。
全然知らない本ばかりなのに、暖かいポップが私と本を繋いでいて、落ち着いた。全ての本がぴかぴかと輝いて見えた。
旅行棚の隣に「秘めフォト」なる女性をセクシーに撮ってくれるイベントにちなんだ本が置いてあって、村田沙耶香の授乳を青山裕企の<彼女>の撮り方が並んでいた。
混沌としている。授乳から数歩進めば、きちっと並んだビジネス書がいる。
じいっと見入っていたら店員さんが柔らかい声音で言った。
「ここにある本は、誰かスタッフや社員がいいな! と思った厳選された本たちなんですよ」みたいなことを言った。
確かにそうだろう、あの空間に入る本はあまりにも限られている。
本にだって、こういう本が人気とか流行は確かにあると思う。
天狼院だって、それを無視しているわけでもなくしっかりと並べているのだけど 、その隣に普通じゃあまり見ない本が置いてある。
なによりも、自分の好き、良いに忠実なんだろうと思った。
その好きが伝わってくるのだ、店内でひしめき合う愛に囲まれながら、私はその中にいた。
久しぶりに本をたくさん買った。全然選べなかった。
そしてすごく買うときにドキドキした、買った後にワクワクした。
天狼院に並ぶ本は誰かが、好きだとか良いと心の底から思った本たちだ。
それってすごく幸せなことだと最近になって思った。
誰かの好きな本に囲まれているのだ。
天狼院の中で感じる天狼院らしさって、そういう暖かみなのかもしれない。
天狼院の中に詰まっているのは溢れんばかりの愛だったのかと書いていて思った。
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