メディアグランプリ

自分で管理・運用できないのならWordPressは使わない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:太田晴信(ライティング・ゼミ木曜コース)
 
 
12月に一冊のブログ集客本が出た。
 
私は仕事柄そういう本は買うのだが、その本にも書かれていた。
 
「これからブログをするには、WordPress一択しかありません」
 
実は、ブログやホームページを持つなら「WordPress一択しかない」という人がとても多い。
 
しかし、私はこれに対しては、異論を言う。
 
 
確かにブログやホームページを作るのにWordPressはメリットの多いソフトウェアだ。
 
ブログソフトウェアなので、ブログを作るには便利な機能をたくさん備えている。使い方も簡単だ。
 
その他にも、「使っている人が多いので情報が多い」「コミュニティ活動が盛んで、いろんなところで勉強会が行われている」「豊富なテーマ、プラグインでカスタマイズが簡単」
 
などなど、WordPressは非常に優れたソフトウェアだ。
 
私もWordPressの恩恵をたくさん受けている。WordPressがあるから今の仕事ができていると言っても過言ではない。
 
しかし、デメリットもある。
 
 
WordPressは「フリーで使えるオープンソースのソフトウェアです」と紹介されることが多い。
 
「オープンソース」は専門用語なのでここでの説明は割愛するが、今回話題にするのは、最初の「フリー」の部分である。
 
一般に「フリー」というと無料というイメージがある。
 
しかし、WordPressの母体になっている団体が言う「フリー」は「無料」ではなく「自由」という意味で使っている。
 
そう、WordPressは自由に使っていいソフトウェアなのだ。
 
自由にダウンロードしてインストールしていいし、どのテーマ、プラグインを使うのも自由だし、カスタマイズも自由。
 
自由はとても便利である。
 
しかし、自由には責任が伴うのが常識である。
 
そう、何かあったときの責任も自分なのである。
 
WordPressはすべてが自己責任なソフトウェアなのだ。
 
「画面が真っ白になった」「変なエラーが出ている」「正しく表示されなくなった」「管理画面に記事が出てこない」
 
すべて自分で解決してください。開発元に責任はありませんし対処しないといけないという義務もありません。というのがWordPressなのである。
 
WordPressは諸刃の剣なのだ。
 
ブログソフトウェアとしてメリットも多く自由が認められているのに対し、すべてが自己責任というのがWordPressなのである。
 
 
「WordPress一択しかない」という人がよく言うのに、WordPressはお金もかからないと言われる。
 
その話を聞くと、「サーバー代とドメイン代だけ、1年で10,000円~20,000円だよ」と言われる。
 
一見正しいようだが、正しくないのである。
 
WordPressを管理・運用するにはランニングコストがかかるのだ。
 
先ほどすべてが自己責任と行ったように、セキュリティ対策も自己責任である。
 
「アップデートをきちんとする」「パスワード管理する」「不正アクセスをされないようにする」のはWordPressを使っている人の必須項目だ。
 
WordPressは進化が早いのでアップデートは頻繁に来る。WordPress本体、テーマ、プラグインのすべてを最新版にしておく必要がある。
 
アップデートをすると、バージョンの兼ね合いなどから正しく表示されなかったり、動きがおかしくなる時がある。
 
その時の対処も自分である。原因を探して代替えのテーマやプラグインを探すなどしないといけない。
 
バックアップも大切である。
 
簡単にバックアップは取れるとはいえ、定期的に取ってないと、トラブルが起きたときに困る。
もしWordPressをもう一度入れ直さないといけないとなった場合、どんな凄腕の人でもバックアップを取ったところまでしか戻せない。
 
1回もバックアップを取ってなければ、初期状態にしか戻せないのである。
 
大切な資産である記事を守るためにはバックアップも必要である。
 
「WordPressは記事が全部、自分の資産として残りますよ」と言う人が多いが、これはきちんとバックアップを取ってあってのことなのだ。
 
その他にも集客のためのアクセス解析やSNSとの連携。SEO対策などやるべきことはたくさんある。
 
これらの作業を全部自分でした場合、自分という人件費がかかっているのである。
 
この「自分で作業をしたときの自分という人件費」を忘れてしまう人が多い。
 
あなたがもし時給3000円だとして、月に20時間WordPressの管理や運用に時間を割いたら、ざっと60,000円である。
 
トラブルが起きて解決する場合には、もっと時間がかかるだろう。
 
 
「仕事をしながら、WordPressの管理や運用をすべて自分でするのはとても無理」というのならWordPressは使わない方が良い。
 
無料ブログならセキュリティ対策やバックアップといった管理・運用はほとんどいらない。
 
ブログではなくホームページを作りたいのなら、WixやJimdo、アメーバオウンドといったホームページ作成サービスがある。
 
これらは管理・運用はほとんどサービスを提供している側がやってくれる。
 
どうしても自前で持ちたい場合は、営利企業がサポート体制を敷いているサービスがある。
 
「Movable Type」はシックスアパートが「a-blog cms」はアップルップルという会社が運営していて、サポート体制も取っている。
 
 
よく、それらのサービスを使っていて、もしサービスが終わっちゃったら自分の資産も終わりじゃないか?
 
と言われるが、サービスが終わる前には「終わる」という通知が来るはずである。
 
通知が来たら、バックアップを取って記事を引き上げて、別のサービスに移ればいい。
 
毎月かかるWordPressのランニングコストよりもずっと安いし作業も少ないはずだ。
 
 
最初に述べた本の著者も「WordPress一択しかない」という人も、こういったWordPressという剣の裏側の刃のことを当然知っているだろう。
 
でも言わないのである。言ったら売れないから……
 
自ら、売れなくすることをあえて言わないのである。
 
 
だからといって、「WordPressを使うな」と言っているのではない。
 
WordPressはブログ作成・ホームページ作成として、とても素晴らしいソフトウェアだ。
 
「すべての管理・運用を自分でできます。自己責任でできます」という人が、WordPressを使うのだ。

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2018-12-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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