メディアグランプリ

子育てって、本当にドラクエ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:あらや のぶとし(ライティング・ゼミ特講)

 
 
息子が生まれてもうすぐ1年と4カ月が経とうとしています。
彼が生まれてくるまでは、男親の僕にとって、子育ては「せっせとサポートする感じ」だと思っていた。
風呂に入れ、離乳食を食べさせ、休みの日はドラッグストアにオムツを買いに行き、時には寝かしつけ……。せっせと成長をサポートする。妻の手助けになるように、洗濯をし、ゴミを捨てに行き、食事を作る。
そんなイメージだったのです。
 
ところが、最近はつくづく痛感させられます。
サポートだなんて、とんでもない!
子育てって、ドラクエなんですよね。
 
つい先週の日曜日のこと。
夕飯の食材を買いに、近所のスーパーへ出かけた僕たち家族。普段はベビー椅子付きのカートに乗せて買い物をするのですが、たまたま椅子付きのカートは全て出払っていました。
 
日曜の夕方なので、買い物ラッシュだったのでしょう。抱っこひもを持ってこなかったことを後悔しつつ、買い物を終えるまで抱っこする覚悟を決めた僕。
家に抱っこひもを取りに戻っても5分かからないのですが、それすら面倒だったのです。
 
息子の体重は約8kg! 買い物の間中、ずっと抱っこしていると、二の腕に負担がくる。それ相応のダメージは仕方がありません。
と、その時、ある考えが浮かびました。
 「そうだ、歩きで行こう!」と。
 
家の中では、小走りもできる息子。靴を履かせて外を歩かせたことはあまりないけれど、やってやれないことはないだろう。
そう思ったんです。
 
息子に聞いてみました。
「抱っこやめて、歩いてみる?」
 
息子は答えました。
「う」 (「うん!」と言っているつもり)
 
床におろし、手を繋ぐと、ほんの一瞬心細そうにこちらを見上げた息子。けれど、すぐに気を取り直したようにスタスタ歩き始めました。
息子の目の高さからは棚の下段しか見えないだろうに、たまに背伸びしながら楽しそうに歩くんです。
 
あまりに楽しそうに歩くので、そっと手を離してみると……たまに後ろを振り返りつつ、前へ前へと進むじゃないですか!
 
そんな息子の後ろ姿を見ていて思いました。
「子育てって、本当にドラクエだ!」と。
 
我々夫婦が結婚して約4年。
新しく仲間に加わってくれた息子。
元々2人だったパーティーは、3人に増えました。
 
初めは「寝る」、「泣く」、「乳を飲む」くらいしかできなかった新入りメンバー。
時には、「夜泣き」で仲間の体力や精神力を削ってくることもあるし、「出かけ際のうんち」で、我々の出足を止めることもある。
イライラさせられる時もあるけれど、「笑顔」で癒してくれる貴重な存在なんです。
 
半年たち、「寝返り」を覚え、11ヵ月を超えると「歩く」を覚え……ついには、パーティーの先頭に立って進むんですから!
成長のスピードに驚かされます。そして、我々パーティーの機動力は飛躍的に高まりました。これまで行けなかったダンジョンにもトライできる! そんな感動が湧いてきます。
 
子育てがドラクエだなぁと思ったのには、もう一つ理由があって、親は親でレベル上げしないといけないんですよね。親は子を守り育てる。その考えは大間違え! パーティーのメンバーである以上、現状維持は許されないのです。
 
今までと違う「時間の使い方」を身につけないといけない。
それには、「働き方」を変えていかないといけない。
短時間で効率的にアウトプットを出さないといけません。
もちろん、年齢と共に役席は上がるし、部下も増えます。
「新しいスキル」を身につけ、「部下とのコミュニケーション」も進化させる必要がある。
 
場合によっては、「転職」が必要になることだってありますよね。
それに、「転生」する必要だってあるかも! それまで自分中心で回っていた人生を、パーティーの仲間と共有することになるのですから!
 
ここまで考えると、子育てはドラクエ感に溢れています。
ただの手伝いと捉えていると、時間を持って行かれるイメージになるけれど、ドラクエと捉えるとエキサイティング! 男親だからこその楽しみが生まれます。
 
ドラクエである以上、チャレンジ度の高いダンジョンに、息子一人で送り込まないと行けない時もあることでしょう。親は心配な気持ちをグッとこらえて、見守る。無事に帰ってきた息子は、レベルをいくつも上げ、誇らしい表情を見せてくれることでしょう。父も、パーティーのお荷物にならないように、カッコいい姿を見せ続けなければいけませんよね。
 
こんなことを考えている間にも、息子は着実に前進。目を離したすきに棚からアボカドをゲットしていました。しかも2つも。
アボカドはそっとカゴに入れてあげました。
まだ食べられないけれど、彼の初めての戦利品ですから。

 
 
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2019-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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