予定調和をぶっ壊せ!
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記事:延原恒平(ライティング・ゼミ 平日コース)
「あちゃー、今日はいつもと違う席だ……」
お盆休みが終わり、単身赴任地である、福岡に戻る列車に飛び乗った時にそれを知る。
どうやら、Uターンラッシュで、いつもの座席が取れなかったらしい。
いつもと違う車両に向かって、新大阪駅の長いホームを歩いていった。
ラッキーなことに、博多駅に到着すると、その車両は出口付近に到着し、直ぐに在来線に乗り継ぎすることができた。
「へー、ここから乗ると、こんなにも便利だったんだ! 知らなかった」
いつもと違う場所から乗ることによって、新たな発見があった。
そこから、単身赴任先のマンションに辿り着くと、また新しい発見があった!
お盆前に改装工事をするとは聞いていたが、改装が始まったマンションは、「明るさ」が一変していた。
古ぼけたマンションが、内装が変わることで、とても煌びやかな雰囲気になっていたのである。
「明るさ一つで、印象って、こんなにも変わるものなんだ」と目を見張った!
すると、この2つの出来事に遭遇し、私の中で、ある考えが頭に浮かんできた。
「予定調和が崩れた時、人は、新しい発見に出会うんだ!」という考えだ。
新幹線の座席で、自分の中では試行錯誤を繰り返し、最適と考えていた座席が、たまたま、いつもの席が取れなかった時、新たな最適な場所が見つかった。
また、こんなもんだろうと半ばあきらめかかっていた、マンションであっても、照明が変わったことで、私のマンションへの印象が見違えるように変わった。
つまり、誰しも、いつも自分の中に、「これはこういうものだ!」という予定調和がある。
その予定調和が塗り重なった時に、それが常識や信念といった、「当たり前」になる。
そして、その予定調和が、いい意味で裏切られた時、人は、新しい発見や驚きに出会えるんじゃないか? と興味を覚えた。
「早速、実験だ!」
ということで、帰り道の予定調和を崩してみることにした。
普段、自宅までの帰路は、最短距離で帰れる道を追求してきた。だが、今日は、回り道をするために、いつもと違う路地を通り抜け、人通りの少ない道を歩いてみることにした。
「あっ、こんな所にあったんだ!」
以前、友人から紹介された、美味しい、とんかつ屋をそこで見つけた。
いつかは行ってみたいと思っていたが、場所がわかりづらく、わざわざ探すことも面倒で、行けず仕舞いになっていた、お店にばったり遭遇したのである。
早速、入店し、食事をすると、やっぱり、友人がすすめるだけあって、とても美味しい!回り道のおかげで、いつもの行動パターンであれば、決して辿り着かなかった、お店に遭遇する機会に恵まれた。
「やっぱり、効率性を追求すると、自分の行動がパターン化し、パターン外のことには、気づけなくなるんだ!」とあらためて認識した。
なので、人は、意識的に、自らの予定調和となっているパターンを崩す大切さを痛感した。
ただ、どちらかといえば、予定調和が崩れることが多いのは、自らと言うよりは、外からもたらされる出来事によって、起こることが多いのではないかという疑問が湧いてきた。
例えば、以前、私は、急に、声が出なくなり、長期入院することがあった。
話好きの私にとっては、死活問題の出来事であった。
体の変化は、突然現れ、自分の日常という、予定調和を容赦なく崩していった。
ただ、その時、私は、絶望するだけではなくて、予定調和が崩れた意味を少し探してみた。
「ひょっとしたら、自分は、人よりも話過ぎていて、人の話を聴けていないから、声が出なくなったのでは?」という考えが頭を過った。
そして、退院後、人と話せないだけに、いつも以上に、人の話を聴く機会が増えた。
その結果、「話す」以上に、「聴く」ことの大切さをあらためて思い知ったのである。
外部からもたらされる、意図しない予定調和を崩す出来事、特に、自分にとって、不運と思える出来事に遭遇した際、その出来事に対して、悲観するだけでなく、自分の予定調和が崩れた意図を考えてみることで、その出来事は、自分にとって、新たな自分の認知を呼び起こし、次なる成長の機会をもたらしてくれるかもしれない。
何か自分のパターンを追求し過ぎて、うまく行かなくなって崩れる予定調和。
出会い頭の事故のように、突然降りかかってきた出来事によって崩れる予定調和。
いずれの「予定調和が崩れる」タイミングも、考え方一つで、新たなスタートのきっかけになるかもしれない。
そう思えると、自分の予定調和が崩れることも、強ち悪くはない!
起こってしまった過去は変えられない。でも、過去の意味づけは、今からの行動パターンの変容で変えることができる!
自分の予定調和が崩れた時こそ、そこには、新たな自分の可能性が潜んでいる。
だからこそ、予定調和をぶっ壊せ!
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