プロフェッショナル・ゼミ

精神世界にはまった私が、今だから言えること《プロフェッショナル・ゼミ》


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記事:万葉(ライティング・ゼミ)

20代後半から30代にかけて精神世界にはまったことがある。
ちょうどアメリカから精神性を重んじるニューエージムーブメントがじわじわとやって来ていた。

霊視がチャネリング、玄米菜食がマクロビオティック、癒しがヒーリングなど、ちょっと怪しい雰囲気がやわらいで感じられたものだ。

20代後半から30代というのはウィルスにおかされるように人生に迷う時期でもある。
私は、そのころ一部上場企業でOLをやっていた。外から見ると、バブル時代をおう歌しているように見えたかもしれない。あの頃は、すべてがしょぼん玉のように華やいでいた。

だけど、自分自身の内情は本当にお粗末で、華やかな生活なんてほど遠く、コピー取りとお茶出し、仕事も補助的なものばかりだった。それはもちろん、自分の努力不足なのだが、退屈でつまらない毎日をどのように変えたらいいのか全く分からなかったのだ。

もちろん、たくさんいた同期の女子社員も同じような状況だった。

私が入社したとき、その会社は初めて女性総合職を採用した。これからは女性の時代。男性と平等に女性も働く時代、とかなんとか人事部の人が言っていた。
それで、女性は総合職と一般職に分けられた。私はもちろん、一般職入社だ。だけど頑張れば総合職にもなれるという。

女性をどのように活用すればいいのか、人事部も試行錯誤だったのだろう。
だから、総合職として鳴り物入りで入社した国立大学卒の才媛が、1年もたたないうちに結婚退社してしまったときには、私たち一般職も唖然とした。人事部は困っただろう。さらに追い打ちをかけるように、翌年、再チャレンジで一人だけ採用した総合職の子が、セクハラを訴えて、一年もたたずにやめてしまった。
女性の時代があっという間に終わってしまったというわけだ。

だからというわけではないが、一般職の女子は、たいてい仕事が終わると、合コンや遊びに精を出し、早く優秀な男をつかまえて、この退屈な日々から一抜けしようとしていた。

もちろん、頑張る子もいて、会社が終わってから英語の学校へ行ったり、習い事をしている子もいた。いずれにせよ、一日の大半を過ごす職場に心がなかった。

私は、完全にどちらにも乗り遅れていた。「人生を変えたい」と強く思っていたが、男探しをしている彼女たちを半ばバカにしていたし、強い心で、会社帰りに学校へ行くほどにやりたいことも見つからなかった。

ただ、「私の人生、このままでいいのだろうか」「人はどうして生まれてきたのだろうか」「どこにも所属できない私は変わっているのではないか」などという答えの出ない問いを延々と考え続けていたのだ。

一言でいえば、あからさまに男をゲットしようとする女性たちとも一線を画し、かといってキャリア組にも乗り切れない。中途半端な自分にイライラしていた。
一日退屈な仕事を乗り切るのが精いっぱい。仕事をやめて何か新しいことをする勇気もない。本当にあの頃は生きにくかった。

そんな私は、会社が終わると、一人本屋をさまよっていた。

私は今でも、なんとなく壁を感じると本屋を歩く。
本屋は、私にとって、新しい人生の扉を開いてくれる場所だ。

あの頃も、今の自分を変えるきっかけの本を探して、あてもなく毎日さまよっていた。
今のように、カフェが併設されている本屋はなかった。
だから、会社帰りの重い足を引きずりながら、何時間もぐるぐる回っていた。

ある日、いつも降りている駅の一つ前の駅で降りたことがある。
その駅を降りて、横道に入る。なんとなく歩いていると、とてもわかりづらいところに、ちょっと雰囲気のある変わった本屋があった。

「あ、本屋だ!」
私はなぜか運命を感じて、胸をときめかせながらその小さな本屋に入った。

人もまばらな店をぶらぶらしていると、奥の一角が光って見えた。

近寄ってみると、そこにひっそりと「精神世界」というコーナーがあった。
「なに? 精神世界って?」
私は、それまでその言葉を知らなかった。
ただ、そこには、近寄りがたい、怪しい雰囲気がただよっている。
行ってはいけない場所のような。宗教関係か何かか?

周りに人の目がないのを確認し、私は目を凝らして眺め始めた。

そこには、これまで全く目にしたことのない言葉がちりばめられていた。
意味はよくわからない。だけど、自分が知りたかったことがあるような、強い磁力を感じる。

ポジティブシンキング、真理、天使、宇宙人、神、前世、過去世、悟り、カルマ、チャネリング、セラピー、ヒーリング、占い、インナーチャイルド療法、プレアデス、マクロビオティック、アダルトチルドレン、死後の世界、引き寄せの法則、チャクラ、世界の秘密、原始仏教、瞑想、心理学、シュタイナー教育

怪しい響きにドキドキしながら最初に手に取ったのは、
シャーリー・マクレーンの「アウト・オン・アリム」だった。

なんとなく、一番手に取りやすいところに平積みされていたからだ。
ベストセラーとポップが立っていた。光って見えたのはこのポップだった。

著者は、名声のあるアメリカの女優だ。
当時のアメリカだって、精神世界のことを言うのは偏見を持たれた時代だ。そんな中、自身の神秘体験や精神の遍歴を正直に書いた衝撃的な本だった。彼女のプライベートや、怪しみながらも、生まれ変わりを信じていく様子が赤裸々に描かれていた。当時、アメリカで大ベストセラーだったらしい。何よりも、有名な女優がこのような本を出版するのは相当な勇気だったと思う。もちろん内容に関して賛否両論だが、この本がきっかけでスピリチュアリティに目覚めていった人はたくさんいたのだった。それまでは日陰でひっそり言われていたことが、メジャーな女優が大胆にも公開したのだ。流行をつくった本と言ってもいいだろう。

その中の一人が私だ。

それ以来、私は、恐る恐る精神世界系の本を読み始めた。

死後の世界を精神の発達段階に分けて解説した本や、前世療法の本。これまで、500冊以上の精神世界の本をむさぼるように読んだだろうか。それらの本のどれもが、物質主義の時代の終焉と、精神世界の時代の始まりを予言していた。そして、このことに気づく人たちが限界点に達したとき、地球は一気に次元上昇するという。

現実逃避? ぶっちゃけ、その通りだ。
でも当時の私は、あらゆることに壁を感じていたのでドストライクだったのだ。

それでも小心者なので、隠れて、ひっそりと本を読み続けた。
男でもキャリアでもなく、自分自身を探求する。
隠れキリシタンの気分だ。私はますます自分を変わり者だと思い始めた。

言っておくが、今でこそ、精神世界は一分野として確立しているが、そのころは、キワモノ扱いで、話し相手がいなかったのだ。

ただ面白いもので、少しずつ同じような人との出会いが増えていく。
「本当は私も興味があるの」こんな告白を何度しただろう。
これこそ引き寄せだと興奮したものだ。

やがて、海外から講師がやってきて、セミナーやチャネリングといったことをしているということがだんだんわかってきた。
日本人の講師は胡散臭いと思うくせに、外国人だと距離があるだけに理想的な賢者のような気がするから、人間心理は面白い。とにかく、私はせっせとセミナーに通うようになった。

そこから私の休日は、目に見えない世界を探究することに費やされていく。
瞑想へ行ったり、セラピーを受けたり、前世療法を受けたり。

ただ、目に見えない世界は玉石混交だ。
一歩間違えば、とんでもない世界なのだが、そのころの私にとって、好奇心に任せて、誘われるとホイホイと行ったものだ。

そして、私は特別な存在なんじゃないかと思ったりもした。

あの頃のセミナーには、そんなタイプの若者がたくさんいたと思う。
皆、自分探しをしていた。

S君と出会ったのも、友人に誘われた、「一元の愛を感じるセミナー」だった。
S君はフリーターで、10代の頃から、自分には特別な力があると思っていた。
人のオーラが見えるという。だから、周りの学校の友達が幼すぎて話ができないと感じていたそうだ。学校での勉強もばからしい。就職しても、すぐに飛びだしてしまった。それ以来、不定期でアルバイトをしながら、日本と海外を行ったり来たりしていた。

腕にはパワーストーンの数珠をつけ、開運グッズをたくさん身に着けていた。
自分にはカルマを溶かすパワーがあると言っていた。
いろいろな占いにも精通していた。

S君はハンサムだ。
そして、なぜか女性を見るとき、遠い記憶をまさぐるような、ちょっとぼやけたような熱い視線を送るのだ。S君に言わせれば、それは相手のカルマを見ているという。

彼に生年月日を教えると、華麗な占いトークが始まる。
だから、彼の周りには「私も見て」という女性たちがいつもむらがっていた。

現状に不満や不安がある女性たちの中で、彼は入れ食い状態だった。
いつも相手を変えていた。一人に決めるのはできないそうだ。
いつの間にか、女性同士の醜い争いに発展していく。それでも彼は選ばない。そう、自分は誰のものでもないと言いたいのだ。とんでもない無責任男だった。

なぜか女性関係にだらしない男性が多かったように思う。口ではエラそうなことを言うのに、行動が伴わない男が多かった。

あの頃、「結婚するなら絶対精神世界系の男性だけは嫌」と友人が言っていたが、私も同感だった。
男性には普通の人を求めるのだから自分勝手な話だが、それが本音だったのだ。

精神世界はそのころの私にとって必要だったと思う。
勉強になったし、素晴らしい知識にも触れることができた。
そして、それを通してしか、見えないものがあったのも確かだ。

ただ、どうしても依存を助長する世界でもあった。
今なら、精神があるから物質もあるし、それは特別なことではないとわかるのだが、あの頃は、何かを期待する気持ちが強かったのだ。
そして、男はスケベな人はどこでもスケベだった。

私にとって、あの熱狂の日々は、人間心理というものを深く理解することに役だった。

スピリチュアルな世界では、闇がなく光が強いという幻想が強い。だからこそ、人間臭い闇が際立って見える。自分が天使だと思えば思うほど悪魔だったと知ることになる。

まさに、人の心を隠すことなく鮮やかに見せてくれる場所だった。

いろいろなチャネラーを見たが、彼らに共通することは何かが今ならよくわかる。
それはチャネラーに限らないのだが、人前でスピーチする人に共通するものだった。

場の支配力なのだ。

人をコントロールする力。

それは、チャネラーも、社長も、営業マンも、先生も、詐欺師も同じように必要な力なのだ。

人を動かすこと。
ある人は感動させて、ある人は脅して、ある人はやさしく癒しながら。

私も、「このセミナーを受けないと自分は変われない」とずいぶん不自由な考えを持ったこともある。
今、確信をもってあの頃の自分に言いたい。

「そんなものないから安心しろ!」

先日、がちがちの菜食主義者だった友人と久しぶりに会った。
その彼女がなんと、ハンバーグが食べたいという。

二人で巨大なハンバーグを食べながら、聞いてみた。

「菜食主義者だったよね?」

「あははは! あの頃の私何だったんだろうね。
なんでもバランスよく食べればいいんじゃない?
だって、お肉もおいしいんだもん!」

彼女は自分に厳しいストイックな人だったのに、
もりもり肉を食べている。

「うっそう! あんなに玄米にみそつけて、ぼそぼそ100回かんでいたのに!」

すると理由もなく、二人とも笑いが止まらなくなった。
「あははは! 何だったんだろうね。私たち!」

「あははは!
真面目に探求していたよね~! 生真面目に!」

「あはは!」

「振り出しに戻ったってわけ?」

「あはははは!そう、一回りして元に戻ったの!
青い鳥症候群のおばさんが二人!」

「うははは。光の時代が来て、世界が変わるはずだったのに!」

「あはは~」

「変わったのは……!」

 

 

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