TERNO-IN FESTA

【9/26 1周年記念日】福岡天狼院1周年記念パーティー!感謝の気持ちを込めて大イベントを開催します!常連の方も始めての方も一緒になって楽しもう!食べて飲んで語り合う特別な1日!《初心者/お一人様参加大歓迎》


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「面白い本屋があるんだって」

何気なく、長い付き合いの親友がそう言った。テレビで放送されているのをたまたま見かけたのだと言う。

「あんたさ、本好きでしょ。行ってみれば?」

私は、たまにとれた休みの日、その店を訪れることにした。

店は、天神駅から程近い、今泉の三角公園の前にあるという。
三角公園なら、何度かデートで行った事がある。きっとグーグルマップに頼らずともたどり着く事ができるだろう。

天神駅から、今泉までの道をゆっくりと歩く。楽しそうに歩く人で街は溢れている。

ぼんやりと、その人たちを横目に、私はその本屋までの道を歩く。

別に何も期待していない。
そこに行ったからって、今の生活が変わるわけじゃない。
ただ、ちょっと気分転換くらいにはなるかな、と思ったから、こうして歩いているのだ。

タリーズの横の細道を進む。

最近、仕事で大きな失敗をした。
自分では頑張っているつもりだった。きちんと仕事をこなしているつもりだった。
でもそれはあくまでも「つもり」になっているだけで、成果につながっていなかった。目標値にはとても追いつかず、上司にこっぴどく叱られた。

しかも、それだけじゃない。
泣きっ面に蜂、とでもいうかのように、2年付き合ってきた彼氏に振られた。理由は「仕事にばっかり夢中になっているから、俺がいなくても生きていけるんだろうなと思った」ということだった。

なんだよそれ、と思った。私の人生、なんなんだよ。

別に仕事にばっかり夢中になっているつもりなんかなかった。ただ自分の身に起こる物事を、中途半端に終わらせられない性格なのだ。だから任されたことはきちんと遂行したかったし、みんなに頼られる事は誇らしいことだと思った。それに、彼は前から「頑張ってる子が好き」と言っていたのだ。きっと仕事を一生懸命頑張っている私を見るのが好きなんだろうと思っていた。でも現実は違った。

別に私、一人でなんか生きてけないよ、とつぶやく。

でもその言葉を彼に向かって言う事はなかった。ただ「うん、わかった。別れよう」とだけ返事をした。そんなことないよ、違うよ、あなたがいないとだめなの。言いたい事はいくらでも浮かんできたけれど、何も口にする気が起きなかった。

なんか、疲れた。

そう、もう私は疲れてしまったのだ。疲れきってしまったのだ。一生懸命努力をしたり、人の期待に応えようとしたり、自分を良く見せようとしたりすることに。

「面白い本屋があるんだって」

そんなときに、親友がそう言ってきたのは、なんだか運命のような気がして。

もともと本屋さんが好きな私は、そこを訪れる事にした。

三角公園の前に着くと、すぐにその店はわかった。

クレミアの大きな看板。たしかどこかの観光地で一度だけ食べた事がある。濃厚なソフトクリームのことだ。

「福岡天狼院」

看板にはそう書いてあった。天狼院って変な名前、とつぶやきながら、階段を上る。

明るい光が全体に広がっている。思ったよりもアットホームな雰囲気を感じる。

「いらっしゃいませ」

ドアを開けると、ふわっと木の香りと、紙やインクが混じり合ったような、淡い本の空気が私の鼻腔をくすぐった。

「当店ははじめてですか?」

想像したよりもずっと、書店員らしくない店員さんが、私に話しかけてくる。

「は、はい……」

とりあえず、コーヒーとさっき見たクレミアを注文し、三角公園が見えるカウンター席に座る。

甘いクレミアと苦いコーヒー。

交互に口にしながら、ぼんやりと三角公園を見つめていた。

三角公園のベンチには、若いカップルが座っていた。
手をつないで、楽しそうに話している。

何を話しているのだろう。
きっと他愛もないことなんだろうと思った。

「何か、おすすめの本ありますか?」

とりあえず、何か読んでみたくて、何気なくカウンターにいる店員さんに聞いてみる。

「どんな本を読みたいですか?」

「えっと……小説、かな」

「小説ですね。どんな気分になれるのがいいとかって、あります? 気分が上がるのがいいとか、とことん考えさせられるのがいいとか」

どんな気分に。
この人と本の趣味が合う保証はない。
でも、せっかく来たのだから、聞いてみてもいいと思った。

「元気が出るような……励まされるような、小説が、いいです」

ぽつりと言った私に、彼女は、すぐさまそばの棚にあった文庫本を差し出す。

「これ、結構好き嫌いが分かれると思うので、私、おすすめする人は、限られてるんですけど」

わりと分厚めの文庫だ。最近有名な作家だが、読んだ事はない。

「直感ですけど、きっと、お好きだと思います。めちゃくちゃ面白いことだけは保証します」

本を受け取る。

席に座り、ページをめくる。

そしてすぐに、気がつく。
私だ。
これは、私だ。
私のことだ。

私はその本の世界にのめり込んでしまっていた。

なんで、こんなに頑張ってるのにうまくいかないの。
なんで、誰も認めてくれないの。
なんで、こんな一気に嫌な事がふりかかってこなくても、別にいいじゃん。

なんで、どうして。

本を読んでいるはずなのに、それは小説の中の話のはずなのに、まるで私のことばかりが浮かんでくる。これは私の物語なんじゃないかという気がする。

最後に近づけば近づくほど、私は怖くなってくる。
幸せになってほしい。

主人公の幸せを、ただ祈る。

幸せに。
幸せに。
幸せになりたい、だけなのに。

気がついたら、私は、泣いていた。

幸せになりたい。
もっとちゃんとがんばりたい。
自分のことを、認めてあげたい。

思いが、溢れて、止まらない。

止まらない。

ただ、私は、誰かに受け容れて欲しかったのだ。
私は、このままでもいい、と言ってくれる誰かに、会いたかっただけなのだ。
それが、私にとっては、この本だった。

本を読み終わり、ページを閉じる。

窓の外を見ると、真っ暗だった。時計は21時50分を指している。店員さんはもう締め作業を始めていた。

まさか、こんなに時間になるまでずっと本を読んでいるとは、思わなかった。

「すみません、こんな時間まで……」

私は、赤らんだ目がバレていないか心配しながら、彼女に声をかける。

「大丈夫ですよ。それ、面白かったですか?」

「いや、もう、めっちゃくちゃ面白かったです。まだ買えますか?」

「もちろんです。ありがとうございます」

本を買い、外に出る。私が最後の客のようだった。

彼女は、ドアの外まで来て、私を見送ってくれる。

「またいつでも来てくださいね。お待ちしてます」

にっこりと笑う彼女に手を振って、私は階段を降りた。

空を見上げる。

今日は月が明るい。
まんまるではないけれど、いびつなところがまた、味があって綺麗だと思った。

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福岡天狼院店長の川代です。

福岡天狼院には、毎日、さまざまなお客様がいらっしゃいます。
カフェでのんびりお仕事される方、カップルで来られる方、本を探しに来る方……。
本当に色々な方がいらっしゃいますが、私はその方達が、どのような経緯で天狼院にたどり着いたのかを知りません。

だから、毎回、妄想します。
この人は、どんなことを思って、天狼院に来たんだろう、とか。
どうしてここにたどり着いたんだろう、とか。
もしかしたら、今、辛い気分でいるのかな、とか。
何かあったんだろうか、とか、傷ついているのだろうか、とか。

ふらりと歩いていて、通りすがりに天狼院にきた、という方は、案外多くありません。
ほとんどの方は、何かしらのページで天狼院を見つけたり、人から聞いたり、テレビで見たりと、ただ、なんとなく、ではなく、天狼院に来るために、天狼院に来てくださる方ばかりです。

だから、せっかく来てくださった方には、何かしらの思い出を持って帰ってほしいなと思い、私はいつも、お客様がくると、妄想します。上の文章のように、事細かに妄想します。

天狼院で、人生を変えてほしいとは思わない。
ただ、天狼院があることによって、何かしら、新しい出会いがあったり、ちょっと物事の見方が変わったり、少し自分に自信が持てたり、そういう風に、ちょっとずつでもいいから、来てくださった方に、何かしら持って帰ってほしいと思っています。

今回のこの機会は、いつもそんな思いを抱えながら接客している私にとって、すばらしいチャンスです。

福岡天狼院は、2015年9月26日にオープンしました。

この2016年9月26日で、ちょうど1周年。
今までたくさんの方に支えてきていただいた、福岡天狼院。
1周年記念パーティーをすることにいたしました。

家族のように支えてくださる方から、これから天狼院に来る方まで、様々な方に、恩返しをできる機会にしたいと思っています。

今までの思い出を振り返るとともに、福岡天狼院をこれからどうしていきたいのか、今後、どのようなことをやっていきたいのかも、聞かせていただければと思います。

今回のために、特別コンテンツもご用意いたしました。

ーcontentsー
★食べ放題、飲み放題の立食パーティー!
今回は立食形式のパーティーとなります!ささやかながらお食事、アルコールともにご用意させていただきました!みなさんで大いに盛り上がっていきましょう!

★福岡天狼院1周年ギャラリー展示!
この1年間で様々なことがあった天狼院。本当に多くのストーリーがありました。今回はそんな思い出たちをギャラリーボードにまとめます!しかし、これは、私たちスタッフの思い出だけでは決して完成致しません!是非お越し頂く皆様にもご協力いただきたい!そこで、お持ちの方は天狼院の思い出の写真を印刷してお持ちください!写真がないという方は、思い出の品や、思い出の1冊をお持ちください!当日写真を撮影して、ギャラリーボードにプラスしていきます!会の終盤には天狼院の1年間が詰まったギャラリーボードが完成です!

★今までありがとう。これからもよろしくね。福岡天狼院ムービー作成!
パーティーの途中で皆様の動画を撮影させていただきます!
テーマは「今までありがとう。これからもよろしくね。」皆様それぞれ天狼院へメッセージをお願い致します!集まった動画で、後日ムービーを作成致します!

★ファナティック読書会開催!テーマは「天狼院で出会った特別な一冊」
もちろんパーティーの一角では天狼院書店名物ファナティック読書会を開催致します!
テーマは「天狼院で出会った特別な一冊」。皆様それぞれに天狼院だからこそ出会えた特別な一冊があるのではないでしょうか?そんな一冊をファナティック(熱狂的に)紹介!ご参加希望の方は紹介したい本をお持ちください!

★天狼院スタッフオリジナル福袋限定販売!
天狼院スタッフ選書したオリジナル福袋(2000円)を販売!スタッフが厳選した書籍プラス天狼院オリジナルグッズの入ったこの日だけの特別福袋です!各スタッフ限定3セットになりますので、ご希望の方はお早めに!

★東京天狼院と生中継!
なんと9月26日は東京天狼院も開店記念日!一部中継をつないで一緒にお祝いしちゃいます!画面を通して店主三浦ともお話できますよ!

★天狼院1周年記念福袋(5000円相当)プレゼント!
当日書籍を2000円以上お買い上げ頂いた方に天狼院1周年記念福袋(5000円相当)をプレゼント!皆様お楽しみに!

普段は店内でのご注文のみの飲食となる天狼院書店ですが、この日ばかりはオススメのスイーツやお酒など、持ち込み・差し入れOKでございます!

★初の試み! 本が人をつなぐブックリレー開催!
前の人がおすすめした本を次の人が受け取り、また次の人がおすすめした本を……という具合に、本が人をつないでいくブックリレーを開催! 最終的に選ばれた本は店主三浦に届きます!
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今回はアニバーサリーということで、ドレスコードも決定!
天狼院のイメージカラー【黒】とさせていただきます!

天狼院に来たことがある人も、ない人も。
常連の人も、初めての人も。
今回のパーティーが、何かのきっかけになるのではないかと。
新しい何かが生まれるのではないかと、これもまた直感ですが、思っています。

天狼院に来るからには、面白いことを体験してほしい。
ワクワクしたり、ドキドキしたり、新しい自分を発見したり。
今まで知らない自分を知ることができたり。

そんな体験を、福岡天狼院で提供できればと思っています。

みなさまのご参加を、スタッフ一同、心よりお待ちしております。

【概要】
日時:2015年9月26日(月)
19:15 受付開始
19:30 パーティー開始
21:30 終了
定員:30名
費用:3,500円(天狼院プラチナクラス、天狼院各種ゼミご参加の方、読/書部ご参加の方3,000円)
持ち物:天狼院の思い出の写真、思い出の品、(天狼院ギャラリーボードに展示させていただきます!※写真のご返却できませんのでご注意ください)
ファナティック読書会で紹介する本
テーマ:「天狼院で出会った特別な一冊」(こちらの読書会のご参加は希望者のみです。天狼院書店でもご購入いただけます。事前に指定していただければ、当日できる限り店頭にてご用意いたします)
*差し入れも大歓迎です!
場所:天狼院書店「福岡天狼院」

【参加チケット】

【注意事項】

・参加者への他のイベント、セミナー、グループ、店、企業、その他への勧誘は固く禁じます。また、勧誘を見かけた場合はスタッフまでご一報ください。
・本イベントの内容の著作権は、天狼院書店に帰属します。本イベントの内容を他で利用することを、あらゆる面で、固く禁じます。

【天狼院書店へのお問い合わせ】

TEL:03-6914-3618

天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F

TEL:03-6914-3618
FAX:03-6914-3619

東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021

福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

TEL 092-518-7435 FAX 092-518-4941

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2016-09-21 | Posted in TERNO-IN FESTA, イベント情報

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