旅部

屋久島が江ノ島になっちゃった。島つながりですが。


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写真 : 山本昌平(天狼院書店、バックシーターズ)

記事 : 楠田誠一(天狼院旅部、バックシーターズ)

 

「あの3人はどうですか?」

 

カップル取材をしていたのだが、

同じチームのデザインを学ぶ女子大生二人が、

女性3人組の取材を推薦した。

 

僕は、取材を断られるのを覚悟して、3人組の女性に近づいた。

 

「えぇ、いいですよ」

 

あっさりと取材OKに。

 

「3人は、どんなつながりなんですか?」

「あ、職場仲間です」

「職場が一緒で、休みの日まで一緒に行動するって、ずいぶん仲良しなんですね」

「えぇ、まぁ」

「どんなお仕事なんでしょう?」

「・・・・・・」

 

ちょっと、そればかりは明かしてくれなかった。

 

 

「今日はどうして江ノ島にみんなで来ようと思ったのでしょうか?」

「実は、ちょっとしたトラブルで」

「えっ? トラブル? 何かトラブルがあって江ノ島になったんですか?」

 

いったいどんなトラブルで、江ノ島に来ることなってしまったのだろう。

 

これは、もうこちらで想像力を働かせるしかなかった。

 

なんらかのトラブルがあって当初予定していた場所に行くことは出来ず、

もともと3人で旅行する予定だったので、場所を変更して江ノ島にしたのだろう。

 

チームのメンバーで、そのもともと行こうとしていた場所を想像した。

 

「もしかしたら、屋久島だったんじゃない?」

 

 

ニュースでご存知の通り、屋久島のすぐ近く、西に約12kmほど離れたところにある

口永良部島(くちのえらぶじま)の新岳が噴火した。

 

その影響もあって、屋久島への旅行を中止したり、延期したりする観光客が出た。

 

噴火した島と屋久島とは離れているので直接的な影響はないのだが、

不安に思う人は、旅をキャンセルしたのだろう。

 

 

何らかのトラブルがあって、今日こうして江ノ島に来た女性3人組が

どこに行こうとしていたかは、残念ながら本当のことは分からない。

 

予定変更での江ノ島。

 

それでも充分に彼女らは、江ノ島を楽しんでいた。

 

3人はそれぞれおみくじを手に持っていた。

 

「おみくじ、何を引かれたんですか?」

そう質問すると、それぞれが、大吉、中吉、末吉を引いていた。

 

「よかったですね、誰も凶を引かずで」

3人は、大笑い。

それが、この写真の一瞬である。

 

 

恋の願いだろうか。

彼女らは、その後、そのおみくじを丁寧にしっかりと結んでいた。

 

 

屋久島が江ノ島に。

島つながりではある。

それを満喫する3人の女性だった。

 

なにがあろうと、場所がどこであろうとも、

3人で旅することそのものが楽しい時間なのだ。

 

 

そのことを3人は教えてくれた。

 

***

この記事は、5/30天狼院旅部にご参加いただいたお客様に特別企画として書いていただいております。

また、ライティング・ラボのメンバーになると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

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2015-06-02 | Posted in 旅部

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