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メディアグランプリ

初めての子連れ海外旅行なら、ぜったいマレーシアをおすすめしたい


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:和田凪(ライティング・ゼミ秋の9日間集中コース)
 
 
「やばい……なんか臭うぞ……」
 
 
私と夫は、顔を見合わせてお互いが同じ危機感に襲われていることを確認した。
二人とも顔面蒼白。
マレーシア航空の飛行機で成田からコタキナバルに向かう途中、私たちはまだ上空数千フィートにいた。
 
 
2歳11か月、イヤイヤ期真っ盛りの娘をつれて、初めての海外旅行である。
6時間のフライトのうち、5時間半をなんとかやりすごしたが、あとは着陸するだけという段になって、娘から異臭がただよってきた。
娘のおしりを確認する。まぎれもなく、うんちである。
どういうわけか、おむつを突破し、今まさに服をも突破し、外に流れ出ようとしていた。
 
 
トイレに行こうとしたが、CAから座っててくださいの指示。
着陸までまだ20分あるのだが、すでにシートベルトサインが点灯しており、立ち上がることが許されない。
うんちは、もうそこまできている。
 
 
しかしながら、「うんち漏れてますから、どうか行かせてください!」とは言えない。
そんな泣きつき方をしたら、周りの人が動揺するだろう。
この臭い、うんちなのかと。この臭いの中で我々は20分も過ごすのかと。
臭いの拡散は止められないが、せめて混乱は避けたい。
私は、娘のおしりを素手でおさえた。
私の手はどうなってもいい。
とにかく外に流れ出してくるのだけは防がなければ……!
 
 
すると、私たちの動転ぶりから状況を悟ったマレーシア人のCAが、ひざ掛けを2・3枚持ってきてくれた。これで包んではどうかと。
 
 
「でもこれ、使えなくなりますよ……」私たちが躊躇すると、「だいじょうぶ!」という表情で背中を押してくれた。
私たちは素早く娘の下半身をひざ掛けでくるみ、残りの15分ほどをやりすごした。
マレーシア航空のひざ掛けは、きめの細かいフェルトみたいな生地でできていて、うんちが毛布を突破して浸透してくることはなかった。
着陸するやいなや、みの虫もしくはミイラ状態の娘を抱えて全速力で飛行機を降り、トイレに駆け込んだのであった。
 
 
お礼を言う暇も全然なかったけれど、あのマレーシア航空のCAには、感謝してもしきれない。
よく考えてみると、乗客の多くがマレーシア人らしき人達だったが、子どもが騒いでもうんちを漏らしても、いやな顔をしたり舌打ちしたり文句をつけたりする人はいなかった。
 
 
マレーシア人って優しいな。
これがマレーシアという国の第一印象だった。
 
 
旅の目的は、マレーシアに住んでいる、私の姉ファミリーに会いに行くことだった。
コタキナバル4日間、ジョホールバル5日間、計9日間の旅。
飛行機でうんちを漏らして、さんざんな出だしになったけれど、なんとか取り戻したい。
 
 
マレーシアでまず驚いたのは、バナナがおいしいことだった。
マレーシアには、バナナだけを売っている八百屋(というか、もはやバナナ屋)があちこちにある。
そこには、日本で見かける一般的なバナナの半分くらいの、ちいさいバナナが売っている。
 
 
天井からぶら下がるバナナ、バナナ、バナナ……。
「マレーシアのバナナはめちゃくちゃ美味しいよ」と姉に勧められて、試しに食べてみた。
 
 
うん、香りがよい。そして味が濃い。完熟状態で売っているためか。
これは子連れ旅行にとってもありがたいことだ。
初めての国で、何が入っているかわからない現地の料理を食べるのは勇気がいる。
香辛料もバンバン入っているので、2歳の娘には食べられないものも多い。
そんな時にバナナが大活躍した。
 
 
とはいえ、ちょっとは現地の料理も娘に食べさせたい。
姉がおすすめしてくれたのは「肉骨茶(バクテー)」という、マレーシアを代表する鍋料理だった。
十種類以上の漢方薬を煮出した醤油ベースのスープに、スペアリブやきのこ・肉団子・湯葉などが入っている。
かなりクセのある薬膳スープなのだが、これが不思議と子どもたちに受けた。
姉の息子(2歳5か月)なんて、この薬膳スープを10回くらいおかわりして爆食いしていた。
現地の料理を堪能したうえに身体にもよいなんて、最高だ。
 
 
飲食店でさらに感動したのは、子どもNGの店がなかったことだ。
けっこう高級な店にも行ったが、子どもはすんなり受け入れてもらえた。
それどころか、どの店に行っても、店員が子どもの相手をしてくれる。
サービスでやっているというより、可愛くて仕方ないからやっているという感じ。
子どもが泣くと、すかさずあやしに来てくれる。
 
 
逆に、子どもが騒ぐので叱っていると、「子どもがかわいそう……」という顔で見られる。
なんでも、マレーシア人は子どもを叱らないらしい。
姉によると、マレーシアでは「怒ることは恥ずかしいこと」という考え方をするそうだ。
ちなみに、日本人旅行者や、駐在の日本人たちはよく怒るので、「アングリー・バード」と呼ばれていることも知った。
 
 
そうか、日本だと、子どもが人様にご迷惑をかけないか、ビクビクしながら飲食店に行く。
 
 
「親はしっかりしつけてますよ」ということをアピールするために、わざと口うるさく叱ることもある。
でも、マレーシアでそれは必要ないのだ。
マレーシアの飲食店では、肩身の狭い思いを一度もしなかった。
まさにストレスフリーだった。
 
 
子連れで海外旅行なんて無理。
そう諦めている人がいるなら、マレーシアをぜひおすすめしたい。
人も、料理も最高である。それだけでなく、子育てに対する考え方も変わること間違いなしである。
日本社会で窮屈な思いをしながら子育てしている人なら、きっと開放的な気分を味わえるだろう。
あなたが子どもを叱ってばかりいる「アングリー・バード」なら、その苦しみからも解放されるだろう。
少なくとも子育てという面では、マレーシアの方が日本よりずっと先進国だと私は感じた。
 
 
ただし、いくらマレーシア人が優しくても、飛行機でのおもらしは親の寿命が縮まるので、重々対策を講じることをおすすめする。

 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-10-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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